アルコール

 昨年の冬に2階の部屋の畳替えをした。

新しい青い畳は、気持ちが良い。畳屋は家を立てたときからの付き合いで、親父は、70過ぎで息子が家を継いでいる。

畳の仕事も減ったでしょうと言うと、減ってはいるが職人もヘリ、旅館などの大きな部屋の畳を替える時は、出張してやるのだと言う。
しかし、最近は、「畳まがい」が増えて、困ったものだと言う。

さて、長くて暑い夏となり、子供達が来て泊ったりした後、女房が部屋を掃除すると、畳に青カビが生えたようだと言う。

本箱などを動かして見ると、やはり青カビが生えている。さて、どうすべきか?

例によって、ネットで調べると、困っている人が多いらしく、色々なカビ除去の方法が書かれている。かびの発生は、水分と温度、発生するのは一年目でと言うので、今年はこの条件にあっている。

 さて、除去法だが、色々あるが、一番簡単なのはアルコールで拭くということらしい。

そこで、アルコールを買いに行くことにした。アルコールと言っても、消毒に使うのは、エタノール(酒精)すなわちエチルアルコールである。

 まずは、DIYの店に行って見た。若い店員に聞くとなかなかの知識である。同じようなことを聞く人がいるのであろう。

「ここでは、工業用アルコール薬用アルコールは扱っていません」「コーヒーなどをサイフォンで沸かすための燃料用アルコールや、台所の消毒用のアルコールならあります」と言う。そこで、燃料用アルコールを見てみると、95%がメタノール(木精)すなわち、メチルアルコールで5%がエタノールである。台所の消毒用アルコールはと見ると、65%がエタノールで残りは水である。これでは水分が残ってしまう。

工業用アルコールは取り寄せになるようである。これでは仕方がない。

 次に、薬の量販店に行って見た。ここには薬用アルコールがあり、一つは、昔からの消毒用アルコールで80%前後がエタノールである。「飲んでも死ぬことはない」などとそこの薬剤師らしき店員が言う。もう一つは、エタノールと別の高級アルコール(ブタノールなどか?)の混合物らしい。

単純にアルコールと思って買いに行ったが、こんなに種類があるとは思わなかった。

 燃料用アルコールなどは、昔は、酒に混ぜたりされないように、メタノールを添加していたと思っていたが、95%がメタノールだと言う。酒に混ぜて飲んだら、則、目が見えなくなったりするだろう。道理で、中国でそんな事件が起こったのだなと納得したのである。

 薬用アルコールを買って帰り、たんすやら本箱やらを動かして、汗だくになってカビをふき取り、終って、自分もアルコール消毒をしたのである