ヘリコプター

 

 私が、ヘリコプターに乗ったのは、今までに二回しかない。

一回目は、ハードデスクを製作していたO工場が、茨城に工場を建設して、その連絡のため、日立と小田原の間にヘリを飛ばしていた時、もう一度は、アメリカでグランドキャニオンに行った時である。

 電力会社の仕事をずーとやっていて、何とかヘリに乗りたいとおもっていたが、安全上の問題や、管轄が違うなど、チャンスが無かった。

一方、当時我々の部門では、事業の拡張のため、イオンビームを応用したミリング装置をハードデスクの磁気ヘッド加工用にO工場に納入しており、はじめてヘリに乗瀬手もらった。その時は、茨城から小田原まで、常磐高速の上を飛んで、途中から多摩の方に進み、相模原から小田原へぬける。

 この時は初めてでもあり、一定の高さを飛ぶので、海外で小型飛行機に乗ったのと大差なく。ただし、騒音が大きく、股の間から下が見える。なかなか面白かったが、同行した設計のS君は、怖かったらしい。

 二回目は、 アメリカの合弁会社の取締役会時である。この会社は、GEとの合弁会社で、日立の技術で製作したGCBGISを米国内で販売する。

社長は、GE出身者、会長は日立であり、取締役会も米国と日本を持ち回りで、この時は、ラスベガスでやることになった。これは、ラスベガスのホテルの地下変電所にGISを納入しており、それを見学すると言う名目である。

もっとも、ラスベガスは、会議などの設備が整っていて、なまじ、会社のあるアトランタなどでやるより安上がりであり、GEの連中も、奥さんを連れてくるなど好都合である。

確かに、昼間は会議、夜は懇親会、終わればカジノと中々に快適である。

もっとも、カジノでは、ルーレットで散財させられてしまった。欧州でやれば、勝っていたのにと、反省しても遅い。
まあ、欧州のルーレットは、しかないが、ラスベガスでは、00があるなどと負け惜しみを言って自分を納得させた。

 さて、地下変電所も見学し取締役会も終わったところで、明日は、発電機用遮断器を納めているフーバーダムに行くと言う。

中々、仕事熱心である。ラスベガスから小型飛行機で行くと、途中にダムがあり、あれがフーバーダムだと言う。確かに、ダムの見学はしたということであろう。

さて、そこから飛行機でしばし飛んで、飛行場に着いた。ここから、バスか何かに乗るのかと思ったら、これから、ヘリに乗ってグランドキャニオンに行くのだと言う。

なにやら、紙を渡されて、サインをしろと言う。読んで見ると、万一の事故について、生命の保証はしないとか、色々と書いてある。

                

                        キャニオンの上                        

 小田原に行った時より一回り大きいヘリに乗せられ、いざ、出発である。地上数十メートルを飛ぶので、下を見ていると新幹線の土手を見ているような感じである。

そして、突然、全くの突然、地面が消えてしまった。下は、100メートル以上もある谷間であり、平地から、谷の上空に飛び出したのである。

これは、中々にスリルがあった。

そして、数kmも谷あいを飛んで、谷底に着陸した。まさに、西部劇の映画に出てくるような風景である。ここで、写真などとって、帰ってきた。

                 

                         キャニオンの下

 その後、この観光ヘリが墜落して、日本人が死んだとの記事が新聞に出ていた。

彼女達の保障は、どうなったのであろうか。