漢詩
7世紀のはじめ、中国を統一した唐王朝は、8世紀前半に最盛期を迎えたが、8世紀中頃の安禄山の乱で国が乱れ、9世紀後半、滅んでしまった。
8世紀前半、唐の都長安は100万都市といわれ、日本の阿倍仲麻呂なども活躍しその文化も最盛期を迎えた。
紀元前一世紀、「ローマと漢」が、そして、紀元八世紀に
「イスラムと唐」が世界の東西で最盛期を迎えたのは偶然では無く、地球の気温の変化が食糧生産に適するものとなったことによるものである。
漢詩とは言うが、詩というものは漢時代ではなく唐時代に最盛期を迎えたのである。
様々な詩があるが、この時代もまた周辺の民族との戦争、内乱などが絶えなかった。
私が好きな良く知られている詩を二つ以下に記してみる。
「古来征戦、幾人か回る」
この詩は、戦場に赴いた兵士の気持ちを表すものである。読まれた時代は、8世紀前半で、まさに唐が最も栄えた頃であり、周辺民族を打ち従えるために出兵したのである。
戦いに向かう兵士の心境をよくあらわしている。昔から戦いに行って何人無事で帰ってきただろうか?と言う心境を行動で鮮やかに描いている。
「一将功なって、万骨枯る」
これは、戦乱に巻き込まれた庶民に気持ちを表す。この詩が書かれたのは9世紀の半ば過ぎで、安禄山の乱で国が乱れ、各地に戦乱が広がって行った時代である。
国が戦場となり、安心して生活もできない。一旗あげて諸侯に封じられようなどという野心は持たないでくれ、一人の将が功績をあげるのにどれだけの人が死んでいったことかと言うことを訴えている。
日本は、戦後60年戦争をしていないが、ビジネスなどの面では戦争と似た様なところがある。今の人たちは、ここに書いた二つの心境、どちらに共感を思えるだろうか。