名前

 小生の名前は、鹿島芳丈だと極く最近まで信じていたのであるが、実は違うと言うことが分かった。

それは、会社をやめるに当たり、持ち株会の株を証券会社に預託するので新しい口座を開くことにした時のことである。書類を記載し、住所氏名を記入した。身分を証明するものとして、車の免許証を出すと、名前が鹿島芳丈ではないと言う。

」ではなく、「丈に点がある」という。確かに詳細に見れば点がある。これをつけないと、受付が出来ませんと言われた。じゃあ付けてと気楽に言って、書類に記入した。

 それでは、申請してきますと書類を持っていったが、しばらくして戻ってきて、今度は会社の郵便番号が違いますとの御宣託である。

そんなことは無いだろう、いつもこれを使っているんだからと言うと、貴方の記入した番号は、492−8622となっているが、492−8221が正しいと郵便番号簿を見せられた。
確かに、郵便番号簿での地名の番号は492−8221である。何でだろう??

 すったもんだして、ようやく契約が出来たのであるが、家に帰って、俺の名前は点があったのかと言うことで「」と言う字を、ワードで変換してみようとすると出てこない。ワードパットの手書き入力をすると、点の無い「」か、「」になってしまうではないか
漢字を検索しても、少なくともJIS第三水準までの中には含まれていなかった。

 思い起こして見ると、昔、お袋が「お前の名前を付けるとき、親父が字画が駄目だから点をつけた」といっていた様な気がする。

しかし、小学校時代から漢字等というものは、学校で習った記憶が無く、皆本を読んで適当に覚えたもので、習字をやっていた女房からお父さんは漢字の書き順が出鱈目だと冷やかされている。

 こんなものは記号だからどうでも良いとは思っていたが、よもや、自分の名前の漢字が違っているとは思わなかった。 小学校以来、70年の人生を「点なし男」で過ごしてきて何ら問題が無かったというのも不思議な話である。

大体、小生の名前は、大抵の場合、「芳丈」でなく、「芳文」と間違えられる。この間違いがあまりにも多く、いちいち、文句を言ったことは無い。名刺を渡せば済んでいたのである。
 したがって、点の無い「」と言う字を書いていたのは正解であったのかもしれない。
もし点をつけていたら「芳犬」と間違えられていたかも?!

その後、「字源」で「」を調べると、点を付けるのは俗字で非とあるではないか!!