蔵前科学技術セミナー

 水戸で蔵前工業会(東工大OBの社団法人)の「環境とエネルギー」のセミナーが有ると言うので出かけた。これは各地区でを廻って、毎年やっているとかで、今回は22回目とのこと。テーマは、3件である。

            

                   発表ポスター

まずは、学生「人力飛行機の設計、製造」の話。

発表は、マイスター代表(社長?金属工学)基田君と設計担当(制御システム工学)の稲川君

 今年の「鳥人間コンテスト」では残念ながら4位。プロペラを回すエンジン兼パイロットの出力は300W以下で、翼長31m長さ10mの機体を動かす。

その為、昨年優勝で最後に飛んだ東工大は、午後になって天候が荒れ、思うように飛べなかったとか(4位)。

しかし、NASAが以前に作った機体(各チームとも参考にしている)がベースとは言え、設計計算から製作まで、2−3年生になる約1年で40数名のマイスターと言う「物つくりクラブ活動」(別に電気自動車もある)の中でやるのはたいしたものである。

 これなら、会社を作ってもやっていけるよとほめてあげた。

          

                       発表

 

          機体の大きさ                      困ったことは皆同じ

 

次にホンダのハイブリッド研究部門(83年入社)の佐藤氏「環境とハイブリッド自動車の技術」

ホンダのハイブリッド技術の成果と各種の車の比較、技術達成への様々な研究開発についての話である。

元開発者の小生には分かりやすく現実的。問題はやはりコストだという。

最後に、質問を一つ「環境への製品としての対応は良く分かりましたが、売った後はどう考えていますか?幸い、野山に放置してあった廃車は皆中国に行ってしまいましたがーー」

いくつか、リサイクルしやすく考えている事例など答えてくれましたが、聞きたかったのは、従来の自動車も含めたホンダのエコの総合的ビジョン。

それは、無理か?とは言え、ハイブリッド車が問題解決の一助になればと言う熱意は分かる。

           

                       発表

             

      首都高など高いHC濃度の所を走ると排出HCは濃度が下がる。(ガス吸収車?)

 

    海面1m上昇で関東は水浸し           2015基準よりはるかに良い

             

 最後は東工大大学院教授でベンチャー社長でもある矢部氏「太陽光励起レーザーが拓くマグネシウム社会」

話の中身は

1.「フレネルレンズ」で太陽光を集光―効率よく励起するYAGレーザー(日本で開発)で効率10%台を達成

2.これを使って海水などからマグネシウムを抽出(4000度位にしてMgOを乖離し

  MgとOをうまく分離蒸発させてMg(金属)と酸素に分ける

 

 ここからの話が両方の応用に飛ぶので、いささか発散気味。ベンチャーとして、これ

らを企業化したいので止むを得ないか??

確かに、薪よりはガソリン、水素――となっていくと軽くて酸素との結合エネルギーも大きく効率は良いだろう。モンゴルなどで共同研究をしていると言うので、いくつか有った話の中のどれかは実用化されることを期待したい。

そうなると、サハラ、ゴビ砂漠も資源化されるかもしれないが、日本はどうなる?

             

                       発表

 

 久しぶりに、技術的な発表を聞いたが、最初にあった白石茨城支部長(茨城大学)の子供の理工系離れ、それ以前に先生の理工系離れが深刻と言う挨拶が身にしみた。