中国企業の魔よけ
今から15年以上も前?の話です
胡同と言われる昔の中国の住居は煉瓦の壁で囲まれ、正面に門がある。
この門を入るとすぐにまた塀があって、まっすぐ中に入れないようになっている。
そして、門の上には、扁額などがあり、左右の柱部分には、なにやら、魔よけの像が飾ってある。
新年ともなれば、赤い布にお祝いの文句を書いて門に掲げてある。
胡同の門
このような胡同には、幾つかの棟があり、主人の家族、使用人などが住んでいた。
北京などでは、この典型的な胡同は、戦後、共同住宅として、いく組かの家族で住むようになり、外観は残っていても、その中は変わってしまっている。
戦前から、北京に住んでいた日本人が郷愁を覚えるこのような建物も、近代化の中で消え去っていく運命にあるのであろう。
幸い、小生が始めていった頃の北京は、故宮の側でもこのような町並みが残っており、秋の天気の良い日など、塀で囲まれた古い町並みを歩いたりしたものである。
しかし、「北京の秋天」と言われたあのすばらしい天気も、自動車の急増と共にすっかり失われ、胡同もまた、取り壊されている。
しかし、最近では、人力車で残された胡同やら、鐘楼やら、古い庭園やらの観光が始まり、日本からの観光客が利用している。
胡同という塀で囲まれた住居の中で、召使なども含めた大家族が住むと言う形は明代の金瓶梅の描写を思わせる。
中国の企業もまた、規模こそ拡大しているが、昔の宗族といった一族郎党式の経営がなされていた。そして、それは基本的には国営であり、共産党員が幹部として弁公室を中心に対外的な折衝を行い、中では、大きな工場では、それこそ、食料、医療などあらゆるものをまかなってきた。
しかし、民営化が進み、海外企業との合弁も増え、経営のやり方も変わってきた。
全体で、網の目のように利権関係を張り巡らせ、相互に助け合い、利益を得ていくと言う構図が成り立たなくなったのである。
この為、何かと言うと、企業に税金やら、寄付金、上納金などを官の権威を傘に来て要求するようになってきている。
これにいちいち応えていたのでは、企業としての存続も危うくなるから、何らかの対抗策が必要となる。地方の状況に精通した人を雇って、TPOに色々な処理をすることも行われるが、権威を傘に来てやってくる魔物をよける魔よけも必要になる。
皆さんが、中国の企業、特に合弁企業などを訪問したとき、玄関を入ると大抵、製品や工場の写真が飾ってあることに気がつくでしょう。その中に、工場の幹部が、省の幹部、党の幹部などと親しげに握手をしたり並んでたっている写真があるのに気がつくはずである。
こういうのがあると最高
これが、魔よけである。この魔よけより力の弱い魔物は、中に入ることが出来ないのである。もっとも強い魔よけは何かって?勿論、江沢民であり李鵬、朱鎔基である。
(今は誰だろうか??)