仙叟宗室と月心寺


仙叟宗室画(月心寺蔵)


玄室時代

 仙叟宗室は元和8年(1622年)に利休居士の孫、宗旦(そうたん)の末子として誕生した。
幼名を長吉郎という。長吉郎ははじめ野間玄琢について医学を学び玄室と称した。
しかし、玄琢の急死に会い父、宗旦のもとに戻り、利休伝来の茶道の教えを受けることになる。


宗室改名

 利休流茶道の薫陶を受け、茶人として活躍し始めた玄室が大名家への有り付きを果たしたのが慶安4年(1651年)30歳とされる。言うまでもなく加賀前田家であった。
父宗旦はこの年の6月、宗左(宗旦の3男で、利休伝来の不審庵を継ぎ、表千家を興す)に宛てた消息の中で玄室の就職がうまくいった。これでいつ死んでも安心して死ねるとまで言っている。実は、この就職活動には小堀遠州の子で大徳寺184世の江雲和尚と遠州の弟である小堀左馬助正春の働きかけが非常に大きかったとされる。玄室はこの年の8月に改名したとされる。

利常公と三の丸

 前田家の3代を継承したのは初代藩主利家の4男利常であった。利常が47歳を迎えた年、長子光高の死に会うことになる。光高の長子綱紀はまだ3歳になったばかりであったので、再び藩政を見なければならなくなった。
かくして加賀に出仕した宗室は小松城内の三の丸に屋敷を給わることになる。その後、8年間を茶の湯を通して利常公に仕えた。万治元年(1658年)10月12日に利常公が66歳の生涯を閉じることになる。又この年の12月19日父宗旦が81歳の一期を終えている。
宗室にとっては寂しさばかりが募る日々であったであろう。

宗室金沢へ

 利常公が死去し藩政は5代藩主綱紀公となった。寛文元年(1661年)7月、綱紀公は初めて金沢に入ることになる。19歳の時であった。
この時、宗室には150石の扶持が与えられ、金沢城下の味噌蔵町に屋敷を与えられることになり、茶室臘月庵(ろうげつあん)を構えた。(仙叟宗室屋敷跡碑−現在大手町)

美術コ−ディネ−タ−としての宗室

 味噌蔵町に屋敷を与えられてからは、京都への往来が増えてきた。寛文6年(1666年)宗室が京都から連れて来たのが土師長左衛門(京都楽家4代一入の弟子)であり、近郊の大樋村に招き作陶に当らせたのが現在の大樋焼である。水指の蓋の撮(つまみ)に海老を用いた作品や渦巻きの文様やヘラで大胆に削った斬新な作品など大樋焼独特の飴釉と共に多くの作品を残す事になる。
又能登から鋳物師の寒雉を呼び、好みの釜を作らせている。中でも青海波と貝の地紋の塩屋釜、宗室と寒雉が卯辰山に茸狩りに出掛けた時の考案になる撮に茸を用いた焼飯釜など宗室と共に意匠した作品が多く出来上がる事になった。
又宗室は、前田家はもとより、広く加賀の茶道美術品の収集にも大きな役割を担ったと言えよう。 

常叟(じょうそう)の誕生と晩年

 宗室は金沢の地で後添えを迎える事になる。50歳を越えた当りとされている。そして延宝元年(1673年)には一子常叟宗室を設けている。後継ぎ誕生という事では宗室は安堵を覚えたに違いない。金沢で20数年間を過ごした宗室は、いよいよ京都に帰る事になる。
元禄6年頃とされる。宗室が先ずしなければならなかった事は利休居士100回忌と利休堂の建立であった。齢は72を超え、もう悟りの境涯に有ったのではなかろうか。
そして亡くなる一年前に、大徳寺215世伝心宗的和尚が宗室に仙叟の号を与えている。
元禄10年(1697年)1月23日76歳の生涯を終える事になる。
辞世の句
『虚空めが虚空に乗りて出でたてば いまつきかえす明方の鐘』
墓所は大徳寺聚光院と月心寺に建てられている。


仙叟宗室居士墓所

位牌

辞世の句碑

 明治8年11月から翌年1月の3ヶ月間、11代玄々斎は金沢滞在の折、月心寺に訪れ、仙叟宗室居士の位牌を直筆で納め、200回忌の法要と茶会を催した。その後明治42年10月に仙叟遺跡保存会が発足し、爾来居士命日である23日には流儀を問わず追善の茶会を催す事になった。その歴史ある茶会が昭和3年には茶道隆茗会と改名し会員制茶会となり現在に至っている。
尚、昭和24年(1948年)4月23日に淡々斎宗匠が仙叟居士250回忌を昭和44年(1969年)10月23日と平成8年(1996年)4月27日には現家元、鵬雲斎宗匠が270回忌と300回忌をそれぞれ勤められた。





●曹洞宗・月心寺年中行事案内と茶会案内

2003年度
年中行事 茶 会
 1月 正月三朝祈祷
 (一般参詣者の祈祷は午前9時より)
16日 道元禅師降誕会
23日 午前10時より
仙叟忌法要及び追善茶会
 2月 15日 釈迦涅槃会 
27日 御開山正当 
21日 22世大和尚正当
23日 月釜
 3月 21日 彼岸会中日 23日 月釜
 4月  8日 花祭り(釈迦降誕会) 23日 月釜
 5月 23日 21世大和尚正当 23日 月釜
 6月 21日 大施食供養会及び放生会
午後1時半より
23日 月釜
 7月 15日 盂蘭盆会(金沢) 23日 月釜
 8月 15日 旧盂蘭盆会
20日 地蔵祭り 夜7時より
23日 月釜
 9月 29日 両祖忌 23日 月釜
10月  5日 達磨忌  5日 淡交会支部物故者追善茶会
23日 月釜
11月 21日 瑩山禅師降誕会 23日 月釜
12月  8日 釈迦成道会 23日 月釜

☆当山の月釜は会員制になっておりますので一般の方は入席できません。
 尚、詳しくは茶道隆茗会(TEL076-262-0391)まで。
 茶室のご利用も上記までご連絡下さい。

☆当山は参禅道場となっております。
 参禅希望の方は下記TELかE-mailにてご連絡下さい。
 尚、原則として宿泊参禅会は致しておりません。

☆当山では茶道教室を開いております。
 毎週火曜日(午前10時より午後7時迄)土曜日(午後1時より午後7時迄)
 月4回の稽古となっております。
 希望の方は下記TELかE-mailにてご連絡下さい。

TEL 076-251-0492
FAX 076-251-0472
E-mail gesshin@sea.plala.or.jp