暦注。
暦注とは暦本(要するに暦)に記入される事項。暦によっては日付の脇にいろいろごちゃごちゃ書いてるでしょう、アレ。上・中・下段にわかれていて天象・七曜・干支・朔望・潮汐・二十四節気・十二直・二十八宿・九星・六輝・雑説などこれらもろもろが暦注に該当するのだが、今回用いるのは九星・六輝・干支・二十四節気。あと三隣亡。知っておくとよいかも。というより、社会的に常識の範疇に入ることばばかり。意味までわからないまでも読めないとただの恥っかき。 用いている表現のうち、九星・六輝・干支はある一定のサイクルを持っている(例外あり、特に六輝)。すべての日はそれぞれの要素が組み合わさって生まれている、といえなくもない。サイクル、ということは基本的に特定の日の九星・六輝・干支がわかりさえすれば別な日のそれもある程度は予想がつくはず。ただ先述のようにたまにサイクルに乗らないこともあるわけで。何故そうなるのか。わからない。占いの本とか専門書でも読まないとダメかな。 暦注には吉凶に関するものが多いけど、わたし個人はとくに信じているわけではない。凶日だからといって何か控えるってのは、ない。単に語の響き・語そのものが昔から大好きなので使うのだ。 ここでは、用いている九星・六輝・干支・二十四節気・三隣亡について解説。解説にあたっては岩波書店の広辞苑第四版の記述をばしばし無断引用。上の暦注に関する記述もほぼ引用。 |
まず九星。
九星はそれぞれが配する星(五行)と方位を持ち、
方位に対応する八卦も持つ。
方位については一番下の図を参照のこと。
八卦は改装場所の記述に直接関係しないので解説は割愛。
よみ | 五行 | 八卦 | 八卦のよみ | |
一白 | いっぱく | 水星 | 坎 | かん |
二黒 | じこく | 土星 | 坤 | こん |
三碧 | さんぺき | 木星 | 震 | しん |
四緑 | しろく | 木星 | 巽 | そん |
五黄 | ごおう | 土星 | − | − |
六白 | ろっぱく | 金星 | 乾 | けん |
七赤 | しちせき | 金星 | 兌 | だ |
八白 | はっぱく | 土星 | 艮 | ごん |
九紫 | きゅうし | 火星 | 離 | り |
なお一白は方位・配偶などに配すれば吉。
五黄の生まれは性質寛仁で運気が強いのだそうな。
六輝。
六曜とも。六曜のほうが馴染んでるけど。敢えて六輝。
九星はまだしも、六輝がすべて読めないと社会に出られんのでは。頻度も多いし。
よみ | いみ | |
大安 | たいあん | 吉日。万事進んでよし。 |
赤口 | しゃっこう | 大凶の日。正午のみ吉。公事・訴訟・契約などにも凶と。 |
先勝 | せんしょう | 午前は吉、午後は凶。急いで吉。 |
友引 | ともびき | 相引で勝負なし。朝晩は吉、昼は凶。葬式を営むことを忌む。 |
先負 | せんぶ | 平静を守って吉、午前は凶、午後は吉。公事や急用に忌む。 |
仏滅 | ぶつめつ | 勝負なし。万事に凶である悪日。 |
わたしは中学生の頃辞書をひいて以来赤口を「しゃっく」と読んでいたが、
「しゃっこう」の方が実は一般的らしいと知ってショック。
でも間違いじゃないし、今後も個人的には「しゃっく」と読む。そっちのほうが好き。
干支。
はっきりいって書くまでもないので割愛。
方位だけは一番下の図に記載。
二十四節気。
ニュースでもよく読まれる季節の変わり目を表す語。
太陽年を二十四等分した時の等分点が相当。一部は祝日としてもおなじみ。
文献によるとこれらをさらに3つずつ割った七十二候というのがあるそうな。
七十二候には季節感を簡潔に表現した漢詩が掲げられていると。
そこでここでは七十二候を示すことで二十四節気に包含される季節を感じようと。
よみ | 七十二候 | |
立春 | りっしゅん | 東風凍を解く。鶯鳴く。魚氷に上る。 |
雨水 | うすい | 土脉潤い起こる。霞始めてたなびく。草木萌え動く。 |
啓蟄 | けいちつ | 蟄虫戸を啓く。桃始めて咲く。菜の虫蝶となる。 |
春分 | しゅんぶん | 雀始めて巣つくる。桜始めて開く。雷声を発す。 |
清明 | せいめい | 玄鳥来る。雁北に行く。虹始めてあらわる。 |
穀雨 | こくう | 葭始めて生ず。霜やみて苗出ずる。牡丹咲く。 |
立夏 | りっか | 蛙始めて鳴く。蚯蚓出る。筍生ず。 |
小満 | しょうまん | 蚕起きて桑を食う。紅花咲く。麦の穂出る。 |
芒種 | ぼうしゅ | 螳螂生まる。腐草螢となる。梅の実黄ばむ。 |
夏至 | げし | 乃東枯る。菖蒲咲く。半夏生ず。 |
小暑 | しょうしょ | 温風至る。蓮(註一)始めて咲く。鷹学を習う。 |
大暑 | たいしょ | 霧始めて花を結ぶ。土潤いて暑し。大雨時行。 |
立秋 | りっしゅう | 涼風至る。寒蝉(註ニ)鳴く。蒙き霧まとう。 |
処暑 | しょしょ | 綿の柎開く。天地始めて粛む。稲みのる。 |
白露 | はくろ | 草露白し。鶺鴒鳴く。玄鳥去る。 |
秋分 | しゅうぶん | 雷声を収む。蟄虫戸をふさぐ。水始めて涸る。 |
寒露 | かんろ | 鴻雁来る。菊花開く。蟋蟀戸に在り。 |
霜降 | そうこう | 霜始めて降る。小雨ときどき降る。楓蔦黄ばむ。 |
立冬 | りっとう | 山茶始めて開く。地始めて凍る。金盞香。 |
小雪 | しょうせつ | 虹かくれて見えず。北風葉を払う。橘始めて黄ばむ。 |
大雪 | たいせつ | 閉塞して冬となる。熊穴にかくる。鮭群れる。 |
冬至 | とうじ | 乃東生ず。麋の角解。雪の下に麦出る。 |
小寒 | しょうかん | 芹生ず。水泉動く。雉始めて鳴く。 |
大寒 | だいかん | 蕗の花咲く。沢水腹く堅し。鶏(註三)始めて乳。 |
註一…本来しんにゅうの点はふたつ。
註ニ…本来は蝉の旧字。
註三…本来は鶏を示す「ケイ」。
文献:落合正勝「七十二候」KKベストセラーズ;表記はこの書に倣う。無断引用。
三隣亡。
「三りんぼう」なら見たことあるでしょ。
この日に建築すると火災が起き、近隣三軒をも亡ぼすとか。字のまんま。
全くの迷信だと思うけど、今でもやっぱりその世界では守られてるのかなあ。
で、これです。図。
干支は三六〇割ることの一ニで三〇度間隔。
九星は三六〇割ることの(九引く一)で四五度間隔。
方位図にみる九星・八卦・干支