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ひとりごと

ついに電車デビューしました
 
 考えてみたら、電車に乗れなくなってかれこれ5年になります。
我家は駅のそばですが、一昨年までは高架上の駅はエレベーターはありませんでした。
一日の駅の利用者は10万人を超える駅で、階段だらけの駅にエレベーターとエスカレーターを付けて欲しいと、10年以上前から近隣の多くの住民の粘り強い運動があり、やっと去年の1月に駅にエレベーターとエスカレーターがつきました。
設置直前に、交通バリアフリー法が施行されたこともあって、駅の3つあるホーム全部にもエレベーターがつきました。

 玄ちゃんに、エレベーターも出来てるしエレベーターがある天王寺までなら電車に乗ってみようと言われ続けましたが、私の心のバリアが邪魔をしてなかなか決心がつかないでいました。
 そんなご近所もまともに車椅子でお散歩出来なかった私ですが、4月に車椅子を電動に改造してもらい、玄ちゃんに散財させて申し訳ない気持ちになり、思い切ってご近所のお散歩連れて行ってもらうようになり、この間は町のバリアフリーチェックにも参加して、ご近所のバリアも少しづつ感じなくなりました。
ということでついに電車に乗ってみたいと思うようになりました。

 6月7日の土曜日に、ついに玄ちゃんと天王寺に出かけました。
家を出たのが9時半でした。
家から駅までは200メートルもなくてすぐです。
エレベーターに乗り駅の切符売り場へ行きました。
最後に電車に乗ったときも身障手帳を持ってたのですが、見栄を張って割引を使ったことがありませんでした。
初めてなので、身障者割引の切符をどうして買うのかがわからず、駅の窓口へ行きました。
窓口の人に身障手帳を見せて往復一人下さいと言うと、4枚の切符を渡されて往復一人分の料金。
玄ちゃんは大阪までの定期があるから、一人分ですと言ったのだけど、窓口の人は身障割引は介護者つきでなければ使えませんとのこと。
結局は玄ちゃんの切符も買って、割引にはなりませんでした。
後で帰って調べたら、105キロ以上でないと一人では身障者割引にならないそうで、近距離だと介護者と私と2人でないと割引にならないそうでした。

 切符を買って改札口へ行くと端っこに車椅子で通れるとこがありましたが、駅員さんがそこしかいないせいか、数人の乗客が駅員さんと話しに夢中でなかなか通してもらえそうにありません。
あまりにも話しが長いので玄ちゃんが、「通してもらえますか?」と言うと、やっと気づいてもらえたみたいでしたが、駅員さんに「ちょっと待ってください。」と言われさっきまでの乗客の人とまだ話しています。
「すぐの電車に乗りたいんですが。。。」と言うとやっと通路を空けてくれたのですが、今度は「向こうに連絡をつけますので。。。」となかなか改札をしてくれなくて。。。
玄ちゃんが、「私がいるので、乗り降りは大丈夫ですから。。。」と言ってるのに、駅員さんは「ちょっと待ってください。天王寺の駅に連絡してから電車に乗ってください。」って言うばかり。。。
駅員さんの親切はありがたいのですが、力持ちの玄ちゃんなので大丈夫ということを何度も説明してわかって貰い、やっとエレベーターに乗りホームへ。
結局、改札で思った以上に時間をとったため、電車に乗ったのが10時を過ぎてしまいました。

 電車とホームの段差は10cmばかりありましたが、玄ちゃんはなんなくクリア。
土曜なのかそう込んでなかったのですが、途中の駅から乗客が増えてきました。
線路がカーブに差し掛かると、車椅子が思った以上に揺れました。
ちょっと不安なので、玄ちゃんにずっとそばにいてもらいました。

 外の景色も少し変わってきていましたが、車内の様子がなんとなく変わったようにも思いました。
近くに立っている若い人たちが片手に携帯電話を持って黙々と指を動かしている。
電車の中では使ってはいけないのにと思ったけど。。。それにしても異様な光景です。

 17分で天王寺に着きました。
玄ちゃんはいつも通勤で電車に乗ってるから駅の場所を知りつくしているので、難なくエレベーターに乗り車椅子が通れる改札に行きました。
そこでも、同じようにおばちゃん数人が駅員さんに苦情を言ってるみたいで、声を掛けるまで気づいてもらえなかったです。

 今回の電車デビューで天王寺へ行った目的は、実はミニオフ会とお買い物。
近くに住んでおられるメル友のきてぃちゃんに電話を掛け、少し待つと目印にピンクのキティちゃんの袋を下げたきてぃちゃん登場。
きてぃちゃんは、お父様を在宅で介護されていて、今日はダンナさんが午前中におられたので、お会いすることが出来ました。
きてぃちゃんにお会いしたのは初めてでしたが、最初からすっかりうちとけて頂いて、以前から知っているみたい。
お昼にリハビリの先生が来られるそうなので、11時半までの1時間お買い物をしながらのオフ会です。

 近鉄百貨店で絵手紙の画材を買う予定だと話すと、それならば天王寺ステーションの方が画材の専門店があって豊富そうだと教えていただき、駅の外に出ないまま迷わず楽にお買い物が出来ました。
画材の専門店はやはり便利な物がたくさんあって、前から欲しかったお出かけ用の絵手紙携帯セットや他にもいろんな種類の和紙の画仙紙などを買いました。
店員さんもとっても親切にしてもらって満足しました。
「たまのお買い物なので、またまた散財してしまったけど、ストレス発散したわ。」と言うと、玄ちゃんには「買い物せんでも、いつもストレス発散してるやん!」やって。。。
この会話に、きてぃちゃんは呆れてたかもです。
おしゃべりをしながらお買い物してるとあっという間に1時間でした。

 きてぃちゃんと別れて、玄ちゃんに食事をして帰りたいと言ったけど、そろそろ帰らないとまた調子崩すからと言われて、しぶしぶ帰る事にしました。
帰りの車椅子用の改札でも、また数人のおばちゃんが駅員さんに苦情をいってるらしくなかなか通してもらえなくて。。。
改札を通る度、大阪のおばちゃんパワーを感じました。

 エレベーターでホームに下りると人が込んでいて、ホームを移動するのも真ん中は動けなくて、仕方なく黄色線のホームよりを使って移動しました。
電動を解除して玄ちゃんに手動で押してもらったのですが、なんかホームに落ちそうな気分になり怖かったです。
ホームでは白い杖を持った目の不自由な方が、一人でおられました。
最近駅のホームでの転落事故をニュースでよく聞きますが、ホームの幅が狭いように思いました。

 電車が来て、着いた時に降りやすいよう最後尾の車両に乗りました。
そこには、先客の電動車椅子の方が一人でおられました。
大和路線でエレベーターを設置してる駅は王寺駅しかないので、てっきり同じところで降りるんやろなあと思ったのですが、もし違ってたら入り口の前にデンと居られたので下りられるか、駅に着く前の放送があってから玄ちゃんに聞いてもらいました。
下りるところは奈良駅だとか。。。
大きな電動車椅子同士ではすれ違うことが出来ないから、慌てて前のドアまで狭い通路を移動しました。
それにしても、エレベーターがなくて階段しかない奈良駅では、あの100キロ以上を駅員さんが持って階段を上られるんやろかと心配してしまいました。

 駅の改札もスムーズに通りました。
家に帰るとさすがに疲れたのか、頭が痛くてぐったりになっていたので、食事もしないで補助呼吸器をつけ横になりました。
どうやら電車でのお出かけは、この行き帰りの3時間が私には限界のようです。
横になってふとTVニュースを見たら、なんと大和路線で人身事故があり不通との速報が。。。。。
さっき電車で通過してたところでした。
もし時間がずれてたらと思うと。。。。危機一髪だったみたいでした。
やはり電車の旅はリスクもあると痛感しました。
私は時間おきに使ってる補助呼吸器のこともあり、長時間の電車のお出かけは無理はありますが、今回も久しぶりにワクワクドキドキを体験できました。
また調子のいいときにまた乗ってみようと思います。
今回のお出かけではさすが大阪、天王寺駅では1時間いた間に、なんと6人車椅子の人に出会いました。
私の住んでいる町では、まだまだお散歩中に車椅子同士ですれ違うことは稀です。
車椅子が町に溶け込み、当たり前の光景になっていくように、私も出来るだけ車椅子で出かけようと思います。

(2003/7/1)

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