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22年目のヌカ床

 
私はこれでも見かけによらず料理をするのが好きで、かなりの凝り性の面もあります。
元気だった頃は、冷蔵庫の残り物で新作料理をよく作って、
昼友達を呼んで披露するのが楽しみでした。
美味しかったかどうかは、私には分かりませんが、結構自己満足に浸っていました。
今では筋力が落ちて、手間暇かけた十分な料理が出来なくなりましたが、炊事は私の最後の砦と思い楽しんでいます。

と言っても、固い野菜を切ったり重い鍋を持ったり、絞ったり、料理に長時間かけたりすることはできなくて、最近はレンジでチンの冷凍食品や、レトルト食品、野菜の冷凍や水煮を使って、何とか落ちこぼれ主婦を維持しています。
調理は考えてみると、便利グッズと工夫ででけっこう出来るものなんです。
今は、いかに手を抜いて調理をするか考えることが趣味になりました。


 
こんな私でも、一つだけこだわっていることがあります。
それは、ヌカ漬けです。

うちのヌカ床は22年物なんです。
誤解されてはいけませんが、ヌカ漬けは冷蔵庫でしていて、ヌカ床はきゅうりが3本も入ればいっぱいになるタッパー容器でしています。
このヌカ床は、22年前大阪から玄ちゃんの生まれ育った奈良に引越しした時、近所に住むお姉さん(兄嫁)に分けてもらった物なのです。
どちらかと言うと私は小さい頃から、お漬物はあんまり好きでなくて、特にあの独特の臭いのヌカ床はとても嫌でした。
その中に手を入れるなんて考えられませんでした。
でも、玄ちゃん父さんは大のお漬物好きです。
お姉さんに頂いたヌカ漬けを、美味しそうに食べるのを見て、そんなに好きならと思い、ヌカ床分けをしてもらい作り始めました。
食べる人は玄ちゃん父さんだけなので、タッパー容器で始めました。
ヌカ漬けは、水分が問題なんです。
かき混ぜないとすぐすっぱくなります。
最初はスポンジで吸い取っていましたが、それでもすっぱくなりますし色も悪くなります。
そこで、色々考えて一番いい方法にたどり着きました。
冷蔵庫に入れ、スポンジを野菜と一緒に漬け込むのです。
そして、ヌカ漬けを出すたびに、スポンジを絞って水抜きをします。
それだと、すっぱくもならず色も悪くならずかき混ぜなくてもいいんです。
ヌカ漬を始めて、引越しを2度経験しましたが、いつもヌカ床も一緒でした。
何回も数え切れないほどヌカも塩も昆布も唐辛子も足していって、たぶん最初のヌカ床はかすかにしか残っていませんが、22年間の味です。
今では、我が家の味になっています。

娘も一人暮らしをするにあたって、床分けし持っていきました。
ヌカ漬けが美味しいと娘の友達に好評、お漬物だけでご飯を食べて
たとか・・・・・・
私の友達数人にも、床分けしています。
夏場はきゅうりやナス、冬場は大根の残りや、白菜の葉、そしてキャベツなど色々楽しんでいます。

あんな
に嫌だったヌカ漬けも、最近は私もかかせなくなりました。

これからの季節はきゅうりの旬ですね。

今日も、きゅうりが3本入っています。
みなさんのご家庭では、ヌカ漬けしてますか?
これからも、このこだわりは続けたいと思います。
(2001/6/23)

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