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大唐西域壁画(平山郁夫画)の前で

 
一昨日、新潟からネットで知り合った新鋭陶芸家のメル友の方が、奈良に遊びに来られ、一緒に薬師寺に行きました。
 この夏に友人から、薬師寺で見た「大唐西域壁画」の話しを聞かされて以来、是非行きたいと思っていました。
 しかし私は車椅子を使っているためお寺の外出は迷惑をかけるのではないかと思い、行くきっかけを作れないままでいました。
それを、ネットが縁で拝観するきっかけができました。
また、私の世界が広がった感じです。

 「大唐西域壁画」は、平山郁夫画伯が、30年の歳月をかけ完成された玄奘三蔵求法の精神を描いたものです。
 東の「開けゆく長安大雁塔(だいがんとう)」(中国)から始まり、西の「ナーランダの月」(インド)で終わる7画面の構成になっています。
 中央の壁画は、雪を頂いた青空に映える真昼の須弥山(しゅみせん)です。
平山画伯は、始めに描いていたご本尊を途中で消されたそうで、見る人が見たら仏様が見えてくると言われたそうですが、私は煩悩だらけの人間なのか、やはり見えませんでしたが・・・・
 その左右は両脇待として、高昌故城(こうしょうこじょう)とバーミヤンの遺跡が描かれていました。
そのバーミヤンの遺跡も、世界中の非難を聞かず、今ではイスラム以外を認めないタリバンに破壊され、そのアフガニスタンの地で今戦争が起きていることに、複雑な思いになりました。
 また東西の壁画には、嘉峪関(かよくかん)とデカン高原が描かれていました。
群青色
に彩られた天井は、夜空になぞらえ無数の星が散りばめられ、散華も舞っていました。まるで宇宙規模の広大さを感じました。
その中を、玄奘三蔵が仏道を極めるため、何としてもの思いで天竺(インド)に向かわれた様子も感じられました。

 見終わった時、心が洗われた気分になりました。
拝観させてもらったとき、お寺の係員の方が、わざわざ車椅子で見やすくなるように、一番いい場所の柵を前に寄せて、その上解説までして頂き、温かい心配りにも感激しました。

 壁画を拝観してから、ますます平和の大切さや人間の愚かさも感じました。
私は無神論のため宗教のことはあまり分かりませんが、今回の壁画は言葉に表せないほどの感銘を受けました。
 皆さんも、奈良に旅行に来られた折には、是非ご覧下さい。

(2001/10/28)

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