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京都嵐山ハイキングの思い出

 山が紅葉で色づく秋です。
友人が、この間ハイキングに行ってきたお土産話しを聞かせてくれました。
私も二十歳の時、一度だけハイキングに行ったことがあります。
この季節になると、今でも思い出されます。

 当時、髪もふさふさでスマートな玄ちゃんに組合の青年部の《嵐山ハイキング》に誘われました。
持久力がなくすぐダウンしてしまう私は断ったのですが、紅葉の美しさともみじのてんぷらの話しに、つい傾いてしまい参加しました。
 生まれて始めてお弁当を二人分作り、なんとかなるさと思い嵐山に出かけました。
出発点では、元気ハツラツでしたが、1km歩くか歩かないかというところで、足がガクガクしてきてついに顔面蒼白で動けなくなってしまいました。
あたりは民家もなく山と川でバスも通っていないところです。
みんなに迷惑をかけられないので、私はじっとしていて落ち着いたら元の道で帰ろうとしました。
まわりのみんなも、そうしないと仕方ないと思ったようでした。

 その時です。玄ちゃんが「おんぶする。」と言い出しました。
お昼の休憩までもあと3km、そのあと4kmの地点でです。
当然私は断りましたが、聞き入れてくれません。
とうとうおんぶしてもらうことになりました。その間、友人の代わってやろうとの言葉にも耳を貸さず、最終地点にゴールしました。
 私は、しんどさのあまりおんぶされているのも恥ずかしく思わないほどでしたが、玄ちゃんは、みんなのひやかしの中で大変だったと思います。

 それにしても、すごい人です。あらためて見直した嵐山ハイキングでした。
それ以来、ハイキングには誘ってくれなくなりましたが、私にとってかけがえのない人になりました。
 今では、すっかり髪の毛も薄くなりお腹も出て、昔ほどの体力もありませんが、あのころのやさしい玄ちゃん父さんのままです。
 車も新車になったことだし、今年は体調のいい日に、嵐山に紅葉を見に連れて行ってもらおうかと思っています。おんぶはしてもらわないかわり、車椅子を押してもらわないとならなくなりましたが、あのとき食べそこねた《もみじのてんぷら》も、食べてみたいです。
(2000/10/27)

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