先生は真正面から剣を振り上げ、
リゼラの頭めがけて思いっきり振り下ろした。
リゼラはその攻撃を軽く横っ飛びでかわし、
次に仕掛けてきた横斬りの攻撃もバック転でかわした。
そのバック転の衝撃を利用し、足のつま先を引っかけるように
急所の顎に直撃させて蹴り上げた。手応えは充分にあった。
（ボクシングでいうアッパーの足バージョンと思ってください）

身軽と知能を持ち合わせた相手。自分とはまるで違う戦闘方法。
先生は思いがけない強力な攻撃にひるんだが、体勢を立て直し、
まるで剣を振り回しているかのように次々と攻撃してくる。
よほど顎が頑丈なのだろう、リゼラはそう思った。
先生がどんどん攻撃していく中で、リゼラは先ほどの攻撃以来何も攻撃していない。
攻撃を自分の剣で受け止め防御をするなりバック転や回転アタックなど、
まるでマット運動か新体操をやっているかのように軽やかにかわしていった。

避けられないような攻撃も、軽くかわしていく。
そのたびに観衆から歓声が上がる。
対戦し始めてからもう１０分ほど経っていた。
まだリゼラは攻撃を仕掛けてはいなく、ただかわしていた。
それだけでもかなりの運動量なのに疲れている様子は全くない。
まだまだ余裕の顔をしていた。
逆に先生のほうは重たく大きな剣を思いっきり振り回していたせいか、
あるいはまるでサルのようにちょこまか避けられる敵を相手にしてるせいか、
または歳のせいか、息はかなり荒かった。

先生「この・・・・・ちょこまかと・・・・くそっ・・・」
先生は攻撃をいったん止めた。
リゼラ「では、今度は私の番ですね・・・。」
リゼラはそう言うと、地面を強く蹴りいなくなったかと思うと、
すぐ先生の目の前に現れて回転斬りを繰り出した。
先生は辛くもそれを防いだが、
１２歳の少女とは思えないほどの攻撃力の強さ（剣圧）に圧倒され、
後ろ側に倒されてしまった。

先生「・・・・・何という強さだ！・・・ぐっ！？」
起き上がろうとしたときはもう遅かった。
リゼラ「・・・・・・・・・・終わりですね。」
リゼラが大きな体を足で押さえつけ、剣をのど元に突き立てたからだった。

先生「・・・私の負けだ・・・・。」
先生がそう言うと、リゼラの目つきが元の優しい感じに戻り、
突き立てていた剣をのど元から離した。
そして剣を地面に置いて先生が起き上がるのを手伝った。
対戦はリゼラの圧勝で終わった―――――。