- ゼルダの伝説 オリジナル小説 -
第四章 獣の記憶 作者:ゆう


「おやおや…。子供が来たよぉ…おや?
まあまあ、キレイだねぇ…その妖精ぃ…。」

リンクはツバをのむ。
とてつもなくデカく、見たこともない竜のような生物だった。

「お、お前…名は!?」

「あたしかいぃ?あたしに名なんてないけどねぇ…
ダークリンク様が仮につけて下さった名前があるよぉ…。」

「その名でいい!!教えろ!!」

「威勢のいい坊やだねぇ…じゃあ教えてあげるよぉ…
あたしが仮につけられた名は、[ロックドラゴン]って言うんだよぉ…。」

『ロックドラゴン…鳥の羽を持ったドラゴンだからか…』
『あいつ…ネーミングセンスがないなぁ…』

「へぶし、へぶし!!」

「ダークリンク様…お風邪ですか?」

「いや…。二回だから誰かが悪口言ってるらしい…。」
なんてことをダークリンクがやっている時に、リンクは危機にさらされていた。

「ふっふっふっ…坊やの連れているその妖精ぃキレイだねぇ…
あたしにおくれよぉ…優しく食べてあげるからさぁ…。」

「何バカなこと言ってる!!ナビィをテメェなんかにやるわけねぇだろ!」

「威勢がいいねぇ…本当に…。じゃあ、駆け引きしないかいぃ?」

「駆け…引…き…?」

「そうよぉ…。」
ロックドラゴンは不気味に笑う

「あたしはあんたの探してる『記憶』を持っているのよぉ…。」

そして、手を差し出した。手には何かが乗っかっている。


ーリンク!!それです!!それが、記憶の一つです!ー
ゼルダの声が聞こえた。


「よし…。それで?オレは何をかければいい?!」

「勿論…その妖精さぁ…。」

「!!バカな!そんなこと、できな…」

「いいわ!私、行くワ!!」

「ナビィ…いいのか…?だってもしオレが負けたら、お前…食われちまうんだぞ!?」

「…アタシのリンクは絶対、負けないもん!」

はっとするリンク。

『そうだよな…負けちゃいけないんだ…オレは…』

「そろそろ話しは良いかぇ?それじゃあ、行くよぉ…。」

目つきが変わった。リンクは背中がゾクっとした。
だが、負ける訳にはいかない。リンクは剣を握り直す。

「いくぜ…怪物め…。」

だが、勝負は、リンクが圧倒的に不利だった。
なにせ、狭い。自由に動くことが出来ない。相手の攻撃を受け続けていた。

「リンクゥ!!」

はっとするリンク。

「リンク!!ソイツの弱点は、のどのところにある一つだけひっくり返ったウロコの部分よ!」

「よし!」

リンクは勢い良くジャンプする。
「ウオラァぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

ロックドラゴンは、体が大きいため、逃げられなかったらしい。

「あらぁ…やられちゃうのねぇ…じゃあねぇ、元気な坊や。」

ロックドラゴンはボソボソと、リンクに語ってきた。
と同時にリンクは逆さのウロコを斬りつけた。


次の瞬間リンクは、牧場に投げ飛ばされていた。
だが、さっきと違い、殺気は全く感じない。

ーリンク、早く、獣の記憶を出して太陽に向けて掲げて…ー
ゼルダが言う。


リンクは手元にあった獣の記憶を太陽に向け、掲げた。

すると…

まばゆい光が辺りを照らした。リンクはあまりの眩しさに耐えられず、目をつぶった。そして次に目を開けたとき広がっていたのは、もとの豊かなロンロン牧場だった。


ゼルダの声が聞こえた。
ーリンク、これが、記憶の力なのです。記憶を手に入れ、太陽に掲げると、今の荒れている所を昔と同じになおしてくれるのです。その調子で記憶を集め、ハイラルに平和を…。私は調べました。記憶は、このハイラルに全部で、8つあります。私の使いをそちらに向かわせます。記憶の在処は、その子が教えてくれるはずです。ハイラルを…よろしくお願いします…ー


「使い…?ゼルダからの?」

だが、すぐには来なかった。
少し、待つことにした。しばらくすると…

(ウわぁぁぁぁぁ!!)

「あれ?誰だ?もしかして…」

リンクは、その物体を受け止めた。何かがリンクの手のひらで動く。
(ウう…。イタタ…。)
そこにいたのは、人差し指ほどの人型の妖精だった。

「だ、大丈夫?」
(ンにゅ?あなた…あっ!もしかして、あなたが、リンクさん?)

「えっ?う、うん」
(ヤったー!わたくし、ゼルダひめのつかいの[リリィ]ともうします!
これから、よろしいおねがしますねぇ!)

「ん?う、うんよろしく…」

新しい仲間、リリィ、これからリンクの手助けをする頼もしい仲間!
リンクは、ゼルダの使いだからと喜んだ(?)
これから先、どんな敵、どんな運命が待っているかなど、誰も全く分からない。
でも、後ろを振り返っても何も始まらない。
リンクの冒険は、ただひたすら前を向いて前進するのみだった!




第四章 獣の記憶
 2005年3月20日 作者:ゆう