- ゼルダの伝説 オリジナル小説 -
第16話 幻覚の洞窟X 作者:桃木里枝

アミは剣を下に向け、リンクは横に振り構える。
「うおぉぉぉぉおおおお!」「あぁぁぁぁぁぁああああ!」
二人の咆哮がそろう。

ザンッ

アミの下突きは頭に深く刺さり、リンクは腹を真っ二つに切り裂いた。
アイアンナック「ぐおぉぉお!おのれえ!
これで我らの計画を阻止できたと思うなあ!!」
アミ「誰が」
リンク「思うかよ!」
アミが剣を抜き、今度はリンクがアイアンナックの上半身を縦に切った。
その瞬間アイアンナックは光に包まれ消え去った。
ナビィ「やったあ!」

ドサァ

2人がハッと音をした方を見るとマルシャが倒れていた。
アイアンナックが消えたことで、マルシャを貼り付けていたものが消えたらしい。
リンク「マルシャ!」
リンクが駆け寄ろうとしたとき、部屋の床が光りだす。
チャット「え?何!?」
アミ「これは・・・!」
その瞬間5人は光に包まれた。


気がつくと洞窟の入り口に戻されていた。
リンク「・・・外?」
アミ「洞窟が礼をしたんじゃないのか?」
チャット「なにそれ。」
アミ「ここの洞窟は本当は聖なる洞窟だったんだ。
でもいつしか闇に犯され、“幻覚の洞窟”と称されるようになった。」
ナビィ「え?でもそんなこと、最初言ってなかったよね?」
ナビィの台詞にアミは洞窟を見た。
アミ「今光に包まれたときに・・・見えたんだ。」
マルシャ「う・・・。」
マルシャが声を出す。
リンク「マルシャ!」
マルシャ「ここは・・・?」
ナビィ「洞窟の入り口だよ。」
マルシャ「え・・・?」
リンク「この洞窟の魔物を倒した。もう心配ない。」
マルシャは黙り込む。
マルシャ「・・・それでもかーちゃんは・・・。」
アミ「そうでもないぜ?」
アミの声に一同の視線が降り注ぐ。
アミはフッと笑い、自分の後ろを指し示す。
キリア「マルシャ!」
マルシャ「か・・・かーちゃん!?」
マルシャはキリアに向かって走り出す。
リンク「え?」
ナビィ「なんで?」
アミ「洞窟のちからでさ。元に戻ったんだ。
マルシャの中の力も使ってさ。」
チャット「なんでそんなことわかんのよ。」
チャットの言葉にアミは再び洞窟を見る。
アミ「自分の力では闇を払えなかった。
被害を出してしまった償い・・・だとさ。」
アミがそういった瞬間風が吹いた。
まるで“ありがとう”と言うように。


キリア「もう行くの?」
アミ「長居していると次の被害が出てしまいますから。」
キリア「そう・・・。」
マルシャ「ごめん・・・。疑って。」
マルシャが謝るとアミは
アミ「いいって。それよりさ。頼みがあるんだけど。」
マルシャ「頼み?」
アミ「定期的にあの洞窟に行ってくれないか?
あそこは聖なる洞窟。お前が行けばこの村の平和は保たれるだろうからさ。」
キリア「?マルシャが行けば?」
アミ「あ・・いや。マルシャみたいな正義感の強い人が願えば叶えてくれるはずってことです。」
苦笑いのアミにキリアは気にすることなく納得した。
リンク「マルシャ。本当はお前の力と洞窟の力を合わせれば強力な結界がはれるってことだから。」
とリンクはマルシャにこっそり教えた。
マルシャ「そっか。オイラがんばって皆を守るよ!」
と意気込んだマルシャをみてその場にいた全員が笑った。


リンク「次はどこ行くんだ?」
村を出てリンクはアミに尋ねた。
アミ「この辺で一番高い塔だ。」
「はあ?」と3人は声をそろえたが、アミは気にせず歩き続けた。

 


第16話 幻覚の洞窟X
 2006年4月11日  作者:桃木里枝