リンク「君は・・・誰?」
リンクは少女に問う。
少女「アミ・ノハンセン・ハイリア」
少女は冷静な声でリンクに答えた。
その瞳はリンクと同じ蒼い色だった。
耳も尖っているのでハイリア人であることが見て取れる。
リンク「え・・・?“ハイリア”って・・・?」
リンクはアミと名乗った少女のファミリーネームに驚き・・・
というより疑問がうかぶ。
アミ「それより・・・。」
リンク「な・・・何?」
アミ「普通人に名前を尋ねるときは自分から名乗るのが礼儀だろ?
そんなことも知らないのか?」
リンク「!」
リンクもそれくらいのことは知っている。
ただ、少女を見てやっと出てきた言葉が“問い”だっ
ただけで礼儀知らずではない。
リンク「そんな言い方ないだろ!!」
アミ「じゃあどんな言い方がある?」
リンク「っ・・・!」
言い返せない。言い返せそうで言い返せない言葉で、
リンクは俯き、黙り込んでしまう。
アミ「で、名前は?」
沈黙を破ったのはアミだ。
リンク「・・・リンク・・・。」
リンクは両親を亡くし、育ての親はデクの木だ。
誰にも教えてもらっていないため、自分ファミリーネームがわからない。
当然リンクは名前しか言えないし、今この場では両親
のこと、ファミリーネームのことなどはあまり言いたくなかった。
アミ「・・・・・・。」
普通は「ファミリーネームは?」と言うだろうがアミは言わずに黙る。
リンク「・・・?」
聞かれると思っていたリンクは顔を上げる。
アミは少し悲しそうな、辛そうな瞳をしていた。
リンク「あ・・あの・・・?」
自分が原因かと声をかけようとしたときだった。
チャット「私を忘れないでよーー!」
チャットの声が辺りに響き渡る。
この雰囲気をぶち壊すのにはちょうどよい一言だった。
リンク「チャット・・・空気読めよ・・・;」
チャット「だってあんた私のこと気にしてないじゃな
い!そこの子も気にしてくれないし!!」
リンク「だからって言うタイミングってもんがあるだろ!」
チャット「タイミングなんて」
アミ「おい!」
激しい言い合いになりかけた2人の言葉を遮ったのは
アミだった。
アミ「今度は俺が忘れられそうなんだけど。」
その言葉に自分たちの行動に恥を感じ2人は黙ってしまう。
アミ「・・・そっちの妖精の名前はチャットだよな?」
開いてやらねばいつまでも黙っているだろうという感じでアミが口を開く。
チャット「そうよ。」
アミ「よろしくな。どうせ宿も一緒だし。」
リンク「一緒?俺たちがどこに泊まってんのか知ってんの?」
アミ「知ってる。」
その言葉に2人は疑問を感じ2,3秒考え込む。
リンク「もしかして・・・。」
チャット「あ、そうか。」
リンクもチャットも理由がなんとなくわかったような声を出した。
リンク「超能力者とか?」
途端アミは座っていた石から落ち、チャットはへなへなと飛ぶ力をなくしたようだ。
リンク「へ?」
チャット「ずっと見てたの?とかでしょ!」
アミ「疲れる・・・。」
リンク「だって素直にそう思ったんだって!」
アミ「もういいから・・・。」
アミは自分の腰掛けていた石に手をかけ、立ち上がった。
アミ「詳しい話は宿でするから一旦戻ろう。」
アミはそう言って歩き出したので、2人もそれについて行った。
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