「ん、ふぁあ。・・・少し・・・休もうか。エポナ。」
緑の帽子。緑の服。
明らかに目立つ色の服の少年は、自らの身を乗せている愛馬に声をかけた。
見てくれ十代前半。
しかし歳に似合わない剣と盾を背中に背負っていた。
鈍色に光る盾が、面積の狭い彼の背中にしがみつく様にしてぶら下がっている。
「これからはもう、「この盾も剣も、使う事なんて無いんだ」な・・・。」
その言葉が平和を意味するのであろう事は、自分自身でも分かっていた。
旅の途中で別れた友の最後の言葉。
それは友との別れを切り出されたも同然の話だった。
友―――ナビィは、ハイラルの平和を守るために仕えられた妖精だ。
その平和が守れれば、ナビィの仕事は終わる。
ハイラルを地獄の底に堕とし入れようとした大魔王、ガノンドロフを倒した時、そ
の役目を終え一人旅立った。
「ナビィは・・・。」
独り言のように小さく呟く。
「やっぱりどこにもいないのかな・・・・・・。なぁ、エポナ・・・。」
誰に問い掛けるわけでもなく言った彼の手前、愛馬のエポナは一声悲しげに鳴い
た。
彼は、独りだった。
|