ゼルダの里/オリジナル小説：こたっきー

　ラーズは地面を殴りつけながら泣いていた。ラーズは電気ショックなどでリンクの心臓を動かそうと頑張った、がどれも駄目だった。その涙は、とても辛い涙だった。‘リンクは死んだ。’この言葉が一層ラーズを悲しませた。ラーズは、とても深く、絶対這い上がれないような悲しみのどん底にいた。リンクに会いたい、がもう二度とリンクには会えない。どうしたらいいか考えた。

　何時間もラーズは考えた。そして、そうだ！っと名案が浮かんだ。そういえば占い婆の奴が「１０年ほど昔にこの地にいる神６対が、異国の地からやってきた。イリシア王とイリシア女王とイリシア姫を相手に戦い、負けて、魔法陣の中に封印された。」と聞いたことがある。その神にリンクの魂をここに戻してもらうよう頼べばいい。ラーズは今から一番近い神殿(魔法陣)に行くことにした。ラーズの記憶が正しければ、イリシア城の丘の上に何個も置かれている樽の下の地面の中心にはイリシア王国のマーク、六望星(ろくぼうせい)が書かれている。その地面には鎖が付いていて開けられるようになっている。入ると魔法陣があるはずだ。

　ラーズはリンクを担ぐと、走って魔法陣のある樽のところに行った。ラーズの記憶は正しかった。樽はなくなっていて、六望星（ろくぼうせい）のマークは消えかかっていたが、マークが書かれている地面はあった。ラーズは鎖をひっぱて中に入ろうとした・・・・・・、が開かない。

　「うおぉぉぉぉぉぉぉぉ。」
と踏ん張って渾身の力を出したが・・・・・、開かない。ラーズは仕方なく召喚
印を書いて、精霊の力を借りる事にした。
　「この鎖をひっぱって中に入れるようにしろ！召喚！強靭の手足ビッグア
ーム！」
ビッグアームは鎖を引っ張る時に恐ろしいほえ声を上げた。そして、鎖が上
に上がり、中に入れるようになった。
　「ビッグアーム、ありがとう。もう戻っていいよ。」

　ラーズは、梯子(はしご)を下りて行った。中は薄暗く、気味が悪かった。すこし奥に行くと、光を発する虫、ライトスピング（別名　羽光蛾(はこうが)）と言う昆虫がランプの中に飼われていた。それが約二メートルくらい離れて置かれていて、とてもと言うほどではなかったが明るかった。奥のほうに行くと魔法陣があった。その魔法陣は血で書かれていた。
　『そこにいるのは誰なの？』
女性のきれいな声がした。
　「俺の名前は、ラーズ・・・、ラーズ・キシルトだ！頼みがある。数時間前や
った激闘の末、俺の友達、リンク・ロウストが死んでしまった。俺はもう一度リ
ンクに会いたい。リンクを復活させられないだろうか？」

　『私の名前はリラレジェス・ルオール・レジルオ・ミーラオ・レリア。長い名前でしょ？だからリラと呼んでください。私は生命の源の神、生源神(せいげんしん)神段４番目の神（神段〈しんだん〉とはここイリシア王国の神のランクのこと）、私の力を使えばリンク・ロウストを生き返すことができる。しかし、条件が必要だ。』

ラーズは息を飲んだ。今すぐにでもリラにリンクを復活させてもらいたい。しかし、その条件が・・・。ラーズは不安になった。ラーズは考えを変えた。不安じゃなく、希望を見つけるのだ。

　「その条件とは？」

　『まずは、この魔法陣の血を洗い流して、私の封印を解く。そして私の仲間の神たちを助けて、イリシア一家を滅ぼして欲しい。』

ラーズは、どっち道リンクを助けてもらってからやることと代わりねーな、と思い、
　「いいだろう。」
ラーズは続けた。
　「その代わり、絶対リンクを復活させてくれよ。」
　『わかったわ。これで交渉成立。』
　「よっしゃー、仕事開始ダー。」
とラーズは叫び自分の親指を噛み切り、血で召喚印を書いた。
　「この汚れている血を洗い流せ、召喚アクアマーメイド！」
印の中からアクアマーメイド（人魚）が出てきた。
　『ラーズちゃん、何のよう？』
　「この血の印を洗い流せ、それと・・・、」
ラーズの声が怖くなった。
　「俺をちゃんずけすんな！！」
　『はいはい、分かりました～。じゃあ行くわよ。』
アクアマーメイドは手を重ね、前に出し顔の色を変えた。さっきまでの陽気な顔とは全く違かった。
　『バブルウォーター！』
手からすごい量の水が出てきた。その水は見る見るうちに血を洗い流した。洗い流すために出した水は魔法陣の近くにある排水溝から出て行った。
　「アクアマーメイド、ありがとう。もう、戻っていいよ。」
　『じゃあねー、ラーズちゃん。』
　「ラーズ・・・、ちゃん？」
アクアマーメイドは足元から消えていった。
　『ラーズ・キシルト、血の魔法陣を消してくれてありがとう。』
そのとたん、きれいな声の主は姿を現した。とても美しい女性だ。髪の色は金髪のショートヘアーで、体はほっそりとしている。右腕にはクリスタルのブレスレットをつけ、左手の中指には紫色の指輪をしていた。膝辺りまである青色の絹をまとい、絹の間から金色に輝く服をのぞかせ、足は青色のリボンを巻きつけていた。ラーズはその美しい姿に見とれてしまった。
　「ぁあ、そうだ。さぁー、リンクを復活させてくれ。」
　『言われるまでもないわ。』

　その後、リラは意味不明な言葉を唱え始めた。ラーズは直感で呪文だと分かった。数分かしてリラは口を開いた。
　『体の傷がひどすぎる。姿かたちは少し変わるけどいい？』
　「リンクが治るならな。」
その後呪文は四時間も続いた。リラはその四時間絶えず口を動かしていた。
最初のうちはラーズはよく動く口だな～、とか、よくこんなに覚えられるなー、とかを思っていた。最後の方になるとラーズはぐっすりと寝ていた。最後の最後の呪文が言い終わった時、リンクの体が神秘的な色に染まった。その光の強さでラーズは起きた。とても綺麗な色だ。
　『ふぅー、後は私から出る体液で繭を作り、その中に体を入れ、安静にし
ていればリンク・ロウストは治るでしょう。』

リラは疲れ切った声で言った。その声でラーズは安心した。
そしてラーズはまた寝た。

To be continued.