「リンク!しっかりつかまって!」
クレアはニコラにムチを打つ。
もう暗雲の上だった。雲の上は、赤帯がかかったかのように紅に染まりつつある。
リンクは慣れない空気の薄さに息苦しく感じる。
が、クレアの胸にある不安の息苦しさと比べたら…。そう思うと、苦しいのを忘れられた。
「プルル……」
「そんな…………!」
天の大地…タースの里に足を付けた瞬間、時の巫女は力を失うように座り込んでしまった。
七年前のコキリの里のように、タースの里は何もかもが破壊されていた。家も…泉の噴水も…馬小屋も…。
建物だけではない。大地は深くえぐられているし、小さく生えている木々は皆根こそぎになっている。
とても人間業とは思えない光景だ。
「誰か!!…お願いだから、誰か返事して……」
クレアが切羽詰まった声を出した瞬間だった。
ガサリ………
「?何の音だ?」
リンクはかすかに聞こえた音に、反応する。
「クレア!あれ!」
「な、何…!?」
ナビィが飛んでいく先に、音の源だろう…全壊の家に挟まれた状態の青年が倒れていたのだ。
今這い出てきたかのように。
蒼いバンダナに銀髪の青年…
―まさか―
「シド…?」
「うっ………」
シドと呼ばれた少年はずっと家に潰されていたのだろうか、頬には大きなアザがあった。
「シド!!」
「リンク、引っ張りだしてあげテ!家がもっと崩れそうだワ!!」
「わかってるさ!クレア、早く!」
「う、うん!」
リンクとクレアはシドを掴み、引く。
と同時に、今まで辛うじてたっていた柱が崩れた。
「間に合ったぁ〜…」
リンクが安心する一方、クレアは最悪の予想が頭をよぎっていた。
「ねぇ、シド…生きてるよね……死んじゃダメだよ…目を開けて…!」
「大丈夫ヨ、クレア…ちゃんと脈がある」
ナビィはシドの手首に触れながら、涙を流すクレアを慰める。
「そうだよ」リンクは落ち着き払った顔だった。
「少し休ませてから何が起きたかを聞こう…大丈夫、自分を攻めるなよ」
自分より人を大事に気遣うクレアのことだから、自分を責めてしまうだろう。そう思いながら、慰めのことばをかけたリンク。
「………うん。ありがとう」
濡れた頬に一筋の光が流れ、シドに滴った……
そのときだ。
「ん……あれ?君たちは…?」
…シドの瞳が開いた。
「………シド!!」 「…クレアかい?…それに……」
シドは上半身を起き上がらせると、リンクを見た。
「君はハイリア人だ…天の大地にに乗れるなんて…ただものじゃないな」
「あ…その、俺リンク。ガノンドロフを倒す旅をしているんだ」
「アタシ、ナビィ!リンクの相棒なの♪」
「そうか…俺はシド。タース族の長…っつっても、こんなザマじゃあな…」
そう言って、頬の怪我を指す。
「シド!みんなはっ…!?」「クレア、落ち着いて聞いて。皆は無事だ。きっと昨日の竜巻に飲み込まれて……天空の神殿につれていかれたんだ。…その魔物が「時の巫女と引き替えに皆を解放する」って、俺が眠っている間に夢で語り掛けてきたよ。ご丁寧に、人相まで教えてくれたさ……時の巫女さん」
シドは焦るクレアに冷静な言葉をかけ、頭をさすった。
「クレア、君のニコラを貸してくれるか?俺には長として、魔物を倒さなきゃいけない。天空の神殿は天に浮かぶ神殿だ。魔術馬の力がいる。…けど、君は来ては駄目だ」
「何で!?みんなは私と引き替えに解放してくれる…」
「クレアさぁ〜冗談はよせって!ペンダントの意味をもう忘れたのか?」
シドは昔と同じ口調で、クレアの発言を遮った。
途端、クレア頬に少し赤みが差す。
(そっか……シドはクレアを守りたいのネ……)
ナビィはシドがクレアに惚れているのを読み取った。
「リンク、オレに力を貸してくれないか?なんかリンクには不思議な力を感じる………それに相手はかなり強い…頼む」
「…よし」
リンクはシドの腰にある剣を見据え、答えた。
「そうだ!泉の中央に俺の盾があるハズ…オレはもう使わないし、リンク、是非とも使ってくれよ」
たしかに泉の中央には、ハイリアの盾に似た大きな盾があった。
「そんじゃ、有り難く貰っとくよ」
リンクはそれをさやにかけ……
「リンク、シド」
クレアはニコラに乗った二人を呼び止める。
「………無事に帰ってきてね」
少し哀しそうな笑顔をつくった。
「当たり前さ!!」
シドが言うと、ニコラはまた飛び立った……
おまけ★
作者のクレアでs(バキッ)痛っ!!
クレア「ハーイ説明して貰いましょう☆何でこんなに話が暗いんでしょうか〜?(黒い笑み)」
だ、だってそうゆう設定なんだから仕方ないぢゃん!(汗)
リンク「つーか最初の設定からかなりそれているような…‖」
気にしちゃいけない←ぇ
とにかく、ご愛読(?)ありがとうございます★だいたい後二十章でラストに…
ク「早っ!」
m(__)mスンマセン。
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