「リンク…あいつはなんで私を狙ってるはずなのに……何もしなかったのかな?…軽い手合いをするだけで…」
リンク達は動揺していた。それもそのはず。
「ああ…それに前、またあいつに会うときは「覚悟しな」っていわれたのに…見ていたのならなぜ何も……?」
ガブリエルの行動は、予測がつかないほど唐突だったのだ。
「おや、おぬし達は?」
そう相談している二人に、あの湖博士がはなしかけてきた。
「ここは毒水で危険だぞ?ワシの研究所に来るがよいぞ…茶をご馳走しようか」
「あ、はい…」
誘われるがままに、リンク達は研究所にむかった。
研究所に入るリンク。その目の先には、懐かしい顔があった。
「キ、キングゾーラ!?」
「おお!リンク!久しぶりだゾラ!」
キングゾーラは痩せていた。
魚がないからかもしれないが、普通のゾーラ族と変わりない体型にまで痩せている……だが威厳あるその顔は、間違いなくキングゾーラだ。
「どうして、こんなことに……?」
ナビィがきくと、キングゾーラは悲しそうに話しはじめる。
「おお………実は数年前、赤い目をした少年が、わが里にきて…毒水を流す恐ろしい魔物を泉においたのだゾラ…魚は皆死に、ゾーラも我以外みな死んでしもうた…余の可愛いルト姫は封印されて……もう…もう何もかもおしまいなんじゃ……!」
「今、その魔物はどこにいるんだ!?」
「いま…このみず」
キングゾーラが言い掛けたその時だった。
―グォォオォォォォォォォォォォォォォォ!!―
「なっ…何だ!?」
すさまじい雄叫びがとどろく。その振動は、研究所のガラス器具を机から叩き落とすほど強いものだった。
「来たんじゃ!例の魔物がキングゾーラを狙ってるんじゃ!!」
リンクとナビィ、クレアが大急ぎで研究所から出たときに見たのは………紫色をした巨大な海蛇だった。
「で…でかい……!!」 リンクが大きさに圧倒したのもつかの間、クレアは光り輝く玉を手から放っていた。
「こいつもガブリエルが創りだした魔物ね。あいつが創った魔物の弱点は……魂のこもった、あの赤い宝石よ!」
そう言い放ち、水中から飛び出た直後の毒海蛇の額にある…赤い宝石に魔法をあてた。
―グァァァッ!!!―
巨大な海蛇は痛烈な悲鳴をあげ…霧にならず、破裂した。
するとともに、海蛇の体内からたくさんの毒が飛び散った。
「リンク!クレア!これにあたったら…毒がうつるワ!気をつけて!」
ナビィは天に届きそうなほど高い声を出した。
「光、森、炎、水、魂、闇、星。すべてのオーブを早くそろえてくれよ、リンク。…クレアの秘密を説き明かし、更にクレアを利用するために……君を生かしてるんだからね…」
「ガブリエル様。ご報告にまいりました。ティラガルア様がタースの里を襲撃し終えたとの事です」
「了解。……さあ時の勇者。僕らのすばらしいパーティーを、これから始めようじゃないか…!」
宴の序曲はここから始まってゆくのだった………
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