- ゼルダの伝説 オリジナル小説 -
第三十章 牧場の危機 作者:クレア

「時の巫女に逃げられた上、あの小僧が巫女と再会しただと!?」
「そ。だから何?」
「だから何、だと!?ガブリエル、貴様何を勘違いしているんだ!?
時の巫女を捕えずに、さらに小僧も殺さな……」
「勘違いしてんのはオッサン。いい、今に奴らは俺たちの利益になる。
それを見据えたから何もしなかったんだ。時が来たら……ボクが殺るさ」
「……否。任せるぞ」

 

「おーーい!!」 魂の神殿から脱出したリンク達を迎えたのはカンナだった。
「カンナ!無事だったのネ」
砂漠をニコラで無事脱出したクレア達。
ハイラル平原にくりだす頃には、すでに夜は更けていた。
するとクレアが突然話題を切り出した。
「リンク、エポナを探さない?前ロンロン牧場で、淋しそうにしてたの…それに、ニコラはリンクをあまり乗せたくないみたい……」
「あ、ああ…………」
確かにそうだった。先程、リンクが前に乗りニコラに指示をしたのだが、クレアを救出したときとは違い、思い切り無視されてしまうのだ。
「わかった!……ならクレア、さっそくロンロン牧場へ向かおうぜ!」
「了解!ニコラ、行くよっ!」
「フルルゥ!」
ニコラは主人の命令を待っていたかの様に、すぐさま走りだしてくれた。
ロンロン牧場にむかって…

 

 

〜ロンロン牧場〜

「!?あなたは!」
「こんにちわ、マロン♪ちょっと最近物騒だから、ゲルド賊を置かせてもらうよ。ちなみに、インゴーとタロンって奴はもう洗脳済みだから。あとは君だけさ……」
「なっっ………」
―パチン!―
ガブリエルが指を鳴らすと…マロンは元の意識がなくなっていて、虚ろな目をしていた。 洗脳魔法をかけられたのだろう……
「時の巫女のペンダントを砕いてね」
マロンの耳元でそう囁くと、スルリと消え去った。

 

 

「おっ!見えたな…」
一方、リンク達は牧場の目の前にいた。
だが。
「!ニコラ、止まって!」
とっさにクレアがニコラを止まらせた。 
「ど、どうしたの?」
「…ロンロン牧場に沢山の人の気配がする…たぶん、ゲルド賊だ」
「……!どうしよう」
「少し様子を見ないか?」 リンクの提案に、クレアは反対した。
「うん、でもそれはマズいかも…マロン達が危険な目にあってるなら、早く助けてあげなきゃでしょ?……嫌な予感がする…リンク、正々堂々と入ろう」
大胆な発言をするクレア。もちろん、リンクは驚いた。
「へっっ!?クレア、体は平気なのか!?」
「私はもう魔力は元どおりよ。だいじょーぶ!心配なんかしなくて平気!」
心配だ……。元気そうなクレアを見て、余計心配になるリンク。
だが、どっちにしろマロン達が危ないかもとなると話は別。
「…よし、覚悟はいいな?」
「うん!じゃあリンク、ニコラをショレパスにするよ。一回おりてくれる?」
「?」
訳もよく分からず、リンクはニコラから降りた。 その瞬間。
ニコラの白い体は見えなくなり、角が一本から三本になる……そして青い炎を全身にまとう。ニコラは炎の馬、ショレパスと化した。
「ニコラ、リンクと一緒にゲルド賊を倒してね」
「なぁ〜…もしかして、ニコラは魔術馬なん!?」
本で見た幻の馬のことだ。リンクは、ニコラが魔術馬だと知らなかったのだ。
「そう♪魔力をもってるから、いろいろと変化できるの。そだ、リンクよく聞いて!いい? マロン達ははいま、どこかに捕らえられてるみたい。そこにゲルド賊はいない。だからリンクは外にいる全部…だいたい十六人のゲルド賊をニコラと倒して欲しいの!私はそのとき、マロン達を探すから。いい?」
「リンク!ワタシもサポートするワ!☆」
「フルル〜〜!!」
みんな気合い十分だ…!
リンクは一度、大きく深呼吸し、意気込んだ。
「みんな!行くぞ!!」
四人は牧場の戦場へとむかったのだった…


第三十章 牧場の危機
 2005年7月17日  作者:クレア