- ゼルダの伝説 オリジナル小説 -
第二十八章 暴走した闇の力 作者:クレア

「なっ…何ぃ………!?」
ツインローバは驚きの声をあげた。
…一瞬の出来事だった。リンクの目の前に、バリアのような丸いモノが現れ、黒い光を吸収したのだ。
後ろを見れば、クレアが構えている。
「ツインローバ…!あなた達の弱点は、自ら放ったこの魔法よ!」
丸いバリアは、ツインローバにむかって放たれた。
「「ぎゃぁあぁぁあぁぁ!」」
ツインローバは悲鳴をあげる……
「クレア…杖無しでも魔法使えるのか…?」
リンクは安堵しながら聞いた。クレアは目線をツインローバから離さずに言う…。
「話は後でね…リンク。見て……すさまじいダークトライフォースの力を……」
リンクがツインローバを見たとき、奴は黒く光り輝きながら…魔物の姿になっていた。
[ゴガァァァァッッ!!]
「クレア!…これってまさか…ダークトライフォースの暴走なノ……!?」
ナビィはガノンドロフと同じ事が起きたと直感し、恐怖を感じる。
「そう……ヒドイ……ツインローバはダークトライフォースの力を使いこなせなかったせいで……人間だった頃の記憶を失っている……!!」

 

ツインローバはもう怪物と化していた。
……紫の冷たい瞳からは、ゾッとするほどの殺気があふれている…
「リンク、私がこいつを動けなくする!そうしたら額の宝石をくだいてっ!!」
「わかった!!」
怪物・ツインローバはリンクに鋭い爪をたてた。

 

 

 

 

 

 

ガキィン!! 爪と剣が重なり合った。
だが、ツインローバの方があきらかに押している……
―力が半端じゃない!クレア、急いでくれ……!―
「リンク、頑張って!!」
ナビィが叫ぶ中、クレアは背後に回り込み……不思議な青い光を手から放ち、ツインローバにあてた。
するとツインローバの爪は力が弱くなり、動かなくなった。
―そうか、金縛りだ!―
「リンク!!今よ!!」
「セィヤァァァァァァァ!」
リンクはツインローバの額にマスターソードを突き刺した。
[ギヤァァァァァァァ!!]
ツインローバは霧になり…消えていった…。
その直後、リンクはクレアの顔色がさっきよりも悪くなっていたのに気が付いた。
「リンク…ごめん、ちょっとヤバイか…も…」
「お、おいっ!?」
リンクがクレアの側に駆け寄ると、クレアはリンクにぐったりと寄り掛かってしまった。
「実はさっき…捕まる前に軽く戦ったから…魔力がほとんどないの………ゴメンね、まだ未熟で……」
「未熟なんかじゃないヨ!ナビィ、クレアの戦い方がすっごくかっこよく見えたんだから!!」
「そうだよ!クレア…俺、クレアのおかげで助かったよ…ありがとうな」
「うん…」
皆が一息付いた。
…だが、その安息はすぐに壊されてしまった…
「ツインローバ倒したんだって?なかなかやるじゃん…」
また邪悪な気配がたちこめる。あの不気味な声が聞こえ……。
神殿の空中にはあいつがいた……
「お前は…ガブリエル!?」
ガブリエルはリンク達と同じぐらいの年になっているようだった。寄り掛かったクレアから、震えている鼓動がよく聞こえる…
「お久しぶりだね!お邪魔虫に…かわいくなった子猫ちゃん♪」
「アムラスや、ツインローバを作ったのはまさか……」
「ボクさ☆凄いだろ?」
赤い目が細くなる。
「まあ、ツインローバを殺しちゃったから、傲慢のダークトライフォースはボクがもらうよ!用はそれだけだから!今日は運良く命を儲けたね」
そこでガブリエルは声をかえ、目付きを冷たくする。
「これ以上邪魔したり、またボクがあんたに会うときは…覚悟しなよ、リンク」
「まて!ガブリエル!!」

しかし、上に残ったのは白い霞とガブリエルの高笑いのこだまだけだった………


第二十八章 暴走した闇の力
 2005年6月26日  作者:クレア