- ゼルダの伝説 オリジナル小説 -
第二十六章 時をこえての再会 作者:クレア


リンク達は静かな砦にまんまと侵入できた。やぶさめ場からは笑い声が聞こえる……カンナがうまく騙したゲルド賊が、名の通りドンチャン騒ぎをしているのだと、リンクは思った。

「フルルゥ…」 砦の前まできたニコラは二階のとある場所の窓を見て、悲しそうな目を見せる…
―あそこにクレアが捕えられているんだ!―
とでも言うように…
「大丈夫だ、ニコラ。クレアは絶対助けだすから!お前はここでおとなしく待っててくれ…。」
「リンク!こっちだ、いくよ!!」 カンナとリンクは砦に入っていった。

見覚えのある曲がりくねった廊下…さっきまでゲルド賊がいたと思われる暖炉…牢屋…そして……
「ここだよ、リンク」
小さな部屋がそこにあった。
リンクは、クリスタルを見た瞬間息をのんだ。  


「クレア…!」

まさしくクレアだった。腰まである黄土色の髪、左側の机にある女神のフルート……だが、何よりもその顔立ちがクレアだった。天使のような風貌は大人びていたが、七年前のあの面影がしっかり残っていた。
カンナの言葉を思い出すリンク。
―賢者の石にはクリスタルを割る力があるんだと―
「よし…!」
リンクは意気込むと、石をクリスタルに軽く押し当てた。
その瞬間。
―パリィィン!―
「わっ!」
リンクは間一髪でクレアを受けとめた。クリスタルが砕けた瞬間、なかにいたクレアは放り出される感じになってしまったのだ。

「クレア!…平気か?」
「……………」
「意識がないみたいだね…さ、あんたが持ってる賢者の石を付けてあげな!早く逃げるぞ」
「あ…ああ」
クレアを一度降ろし、賢者の石を付ける。そしてリンクは再びクレアを抱きかかえて足早に出口へとむかった。


カンナとリンクとクレアは砦の外へ出た
…誰もがもう安全だと思い、気が緩んだ一瞬……
「ヒィッヒッヒ…よくも裏切ったなカンナ……!!」
「そして時の勇者…よくもクリスタルを砕いたな……」
不気味な声の主は…
「ツインローバッ!?」 「そんな…リンクが倒したはずヨ……!?」
「ヒィーッヒッヒッヒ…私たちはピンピンしてるさ!ガブリエル様の力で、作り直してもらったのさ…」
「カンナ…私たちを裏切った罪は死あるのみ。さあ!ここがお前らの墓場だよ……」
見れば、リンク達の前にはは三十人近くのゲルド賊が立ちはだかっていた。
カンナは一歩進み出る。 「リンク…あたいはこのザコには負けない。時間稼ぎしてやるから、その子を連れて砂漠に逃げろ!」
「でも…カン」
「いいから早く!!」
「一人も逃がしゃしないよ!」
ツインローバが叫ぶと、ゲルド賊は皆襲い掛かってきた!
「ニコラ!くるんだ!」
「プルルルゥ!」
ニコラはリンクにむかって喜んで走ってきた。
さっとリンクと意識のないクレアが乗る。
「ニコラ、魂の神殿へいってくれ!」
「ヒヒィィン!!」 ニコラが声をあげた瞬間、ニコラはとてつもなく早く走りだした。 


「おのれ…だがな、私たちにはダークトライフォースの力があるのさ…砂嵐を起こしてやるわ!!ヒッヒッヒ…」


リンク達が砂漠の中腹をを走っている頃には、砂嵐はすでに起きていた。
「……運悪ぃ……!!」
「プルゥ!!」
するとニコラに翼が生え…ペガサスになった。そして空へ高く舞い上がった。
魔術馬ニコラ。この馬は、ペガサスに変化できるのだ。
「うわぁぁぁ!」
あっと言う間にニコラは砂嵐の上…つまり、神殿がよく見える場所まで飛ぶと、神殿へ一直線で飛んでいった……


第二十六章 時をこえての再会
 2005年6月11日  作者:クレア