- ゼルダの伝説 オリジナル小説 -
第二十五章 交換条件? 作者:クレア


「急げっ!ニコラ!!」
走り続けているリンク達。
気が付けば、もう夜だった。三時間は走っただろう…だがニコラはスピードを落とすどころか、ますます早くなっていく……クレアが近いのだろうか………

「プルッ!」
ニコラはとある場所で、足を止めた。
「ゲルドの谷…ここにクレアがいるのか?」
そう、リンク達はゲルドの谷についたのだ。
だがニコラがまだ不満そうな目をしている。
―どうやらクレアはこの先にいるようだ。
しかしそっと岩の陰から見てみると…
「リンク…ゲルド賊が多すぎるよ…!!」
なんと、つり橋の先には、数十人ものゲルド賊が警備をしていた……
リンクは考えた。
『クレアがいるという情報はこちらにも流れているのか……?入り口の警備が固すぎる…!しかしニコラは前にすすみたがっている。だからといって、突発的に進み、見つかったら面倒だ…』
「くそぉ、どうすりゃいいんだ!?」
パニックに陥った。
その時だった。
「おう、兄さん!お困りの様ですね?」
聞き覚えのある声がした。
うえからストンと降りてきたのはあの女だった……
「「カンナ!?」」
「よぉ!元気か?」
「カンナ!教えてくれ!!クレア…いや、時の巫女をこの辺で見たのか!?」
「こら、私の仕事を忘れたのかい?情報は20ルピーだよ」
「うっ……(汗)」
仕方なくリンクは、なけなしのお金を渡す。
「あい、確かに!見たんじゃないさ、もう捕まえたんだ」
「な、なんだって!?」
「本当だぜ。ひでぇもんさ…あの子をとことん追い詰めて、クリスタルに封じ込めちまいやがった。明日の朝ガノンに引き渡すらしいよ〜?そんで、あのババァ達はあの子がもってた賢者の石とやらを私によこしたよ。処分しろって」
そういってカンナはぶらりと赤い石のついた首飾り…間違いなくクレアが付けていたペンダントをリンクに見せた。
これで、カンナの話は真実である事が確実になった。
―間違いない、クレアはここにいる…!
明日の朝になるまでに助けられなかったら……―
するとカンナは、焦っているリンクを見て、何か閃いたかのように、クスリと笑った。
「兄さん、交換条件てのはどうだ?」
「‥‥へ!?」
突然の話にリンクは戸惑う。
―罠じゃないよな…?―
「あんた、巫女ちゃんを助けたいんだろ?」
「ああ…けど、内容によるさ」
「じゃあ、よく聞いてくれ!この賢者の石はそのクリスタルを壊す力があるんだと。渡してやってもいいが…そのかわり、あたいを仲間にいれてくれよ兄さん!…じゃねえな、マスターソードを持つ時の勇者サン♪」
「えっっ!?」
「もうあのオッサンにつくのはいやなのさ…それにあたいは今、ゲルドの長だ。何かと役に立つぜぇ☆」
「リンク、仲間にしてあげよう。どっちにしろ、カンナは手伝ってくれるよ」
ナビィはいう。
―ナビィの言う事なら信用出来るな―
「わかった…いいよ」
リンクはしぶしぶ承知した。
「やった♪じゃ、早速今日は時の巫女を捕えたんだから、パーティしようぜ!っていって、見張りを全員遊ばせてくるよ。そんで、時の巫女の所まであたいが案内するぜ♪じゃあ、さっそくいってきま〜ス!あたいが戻るまで、動くなよ〜☆」
リンクとナビィ茫然とする中、カンナは元気に走っていった。


二十分後
カンナが戻ってきた。
「早かったな、カンナ!」
気が付けば、警備のゲルド賊は一人もいなかった。
「ああ!今ミンナ、やぶさめ場でドンチャン騒ぎしてるぜ。砦はガラガラだい☆」
「ヒヒィン!!」
ニコラが待ちきれないように唸る。
「さあ、行こう。カンナも乗って!」
「あ、その前に。ほら、賢者の石だよ」
カンナがリンクに賢者の石を渡して、ニコラに乗る。
カンナが乗った次の瞬間、ニコラはすぐに走りだしていた。
砦へむかって……


第二十五章 交換条件?
 2005年6月5日  作者:クレア