―パァァァァ―
光に包まれたリンク達は、時の神殿…………もう破壊されてしまった神殿の前に現れた。
そして、同時に大量の邪気がリンク達の体に流れた。七年後の今。このハイラルは邪気に侵されてしまっていたのだ……
「くそ……!」
リンクが唖然として神殿を見る。
その時、ナビィに異変が起きた。
「リ…ンク……」
突然、ナビィはふらふらと落ちてしまった。リンクはあわてて手のひらで優しくナビィを受けとめる。
「ナ、ナビィっ!大丈夫か?」
どうやらあまりの邪気の強さに、ナビィは気絶してしまったようだ。
「ナビィ…俺の帽子に入って、休んでいてくれ…」
リンクはそっとナビィを帽子の中にいれた。
―城下町はどうなっているのだろう―
間違いなく無事ではないだろう。
それでもリンクは城下町にむかった。わずかな希望を信じ……
壊滅。それが城下町の第一印象……
―これがあの美しい城下町なのか!?前と同じ…いや、前よりもひどい……―
今の城下町に昔の活気はどこにもなかった。
それどころか、異臭…おそらく殺されてしまった人の腐敗臭がするし、立派だった家はガレキと化している。
ここはすでに死んでいる町だった……
リンクの脳裏に不安がよぎる。
『そんなにもガノンドロフは強くなってしまったのか…!?クレアは無事だろうか…』
そこでハッとする。
『サリアは封印された…だとしたら今コキリの森は無事なのだろうか!?』
リンクの顔に冷や汗がはしる。
―故郷が大変かもしれない!―
リンクはおおいそぎで町を出た。
だが。
「!!ゲルド賊…!!」
城下町と平原をつなぐ橋の先に、二つ結びの変わった髪型をした、一人のゲルド賊がいた。
リンクは剣に手を掛けた。
すると、ゲルド賊はリンクに気付き…両手をあげた。
「ひゃぁぁ!まったまった!ストップしてっ!あたい、今無防備なんだから!」
ゲルド賊は言う。確かに武器を持ってないようだ。
それを見て、剣をさやにもどしたリンク。もちろん、リンクだって無駄な戦いはしたくない。だからだ。
「よかったぁ、話が分かる人で。あんたさ、旅人でしょ?」
「だからなんだ?俺は急いでんの!」
「まあまあ、落ち着いて!あたしはカンナ。裏切りゲルドなのさ」
「裏切り…?」
リンクは怪しむ。
「そ。んで、ハイリア人や旅人ににうちらの情報を教えてあげるっていう仕事なわけ。もちろん情報料はいただくけどね。あたいはガノンドロフに恨みがあるのさ…あいつ、あたいらに金をくれたことなんかないんだ!こんな仕事でもしないと、生きていけないのさ。そうだ兄さん、あんたに一つ、情報やるよ!ただでさ。どうだい?」
リンクは悩んだ。
…ひょっとしたらこいつは俺に嘘を教えて、大変な目に遭わせるのが目的かもしれない…
だが、無料でならきくか…
「よし、教えてくれ」
「あいよ!兄さん。今入りたてだぜ。実はナ、さっきコキリの森に炎が放たれたんだ!!ガノンのじじぃの手下がやったのさ。むごいよな〜…って兄さん!何処いくんだ!?」
リンクはすでに駆け出していた。故郷の森へ…
「…ニコラ、ゲルド賊が追ってきた。逃げよう…」
同じ時、黄土色の髪の少女が、愛馬にまたがった。
第二十一章
裏切りの砂漠の民
2005年5月22日 作者:クレア
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