- ゼルダの伝説 オリジナル小説 -
第二十章 伝説の始まり 作者:クレア


光の眩しさにリンクは今まで目を閉じていた……

「目を開けなさい、リンク」
聞き覚えのある声だった。リンクは目を開ける………

見えたのは賢者の間ではなかった。とてつもなく広がる、空と水面だ…。
水面を見ると、懐かしい自分の…大人の自分が映っていた。

「初めまして、リンク」
目の前には、コキリの森で見た、あのヘレンがいた。
「ここはもう…七年後の世界なのか?」
「その通りです。リンク…今、あなたに話さねばいけない事があるのです。
  心して聞いてくれますか?」
「……勿論」
ヘレンは悲しむように話し始めた。
「ガノンドロフ…やつは闇の狭間のなかで、
 邪悪な力の聖三角である、ダークトライフォースを手に入れてしまい…
 さらには、闇の使者をハイラルに連れ込みました。
 その使者…ガブリエルはあなたが眠っている間…
  闇の賢者以外の賢者をみな封印してしまったのです…」
「な、なんだと…!?」
リンクはショックを隠しきる事ができなかった。
「そのせいで」
ヘレンは続ける。
「いまハイラルにある神の加護の力は…この私のわすがな力と、
 インパの力、クレアのまだ未熟な力しかないのです。
 クレアと私とインパが滅ぶとき…ハイラルはどうなるかお察しですね?」
頷くリンク。
「さらにガノンドロフは、クレアの中に眠る女神の力をつかい…
 ダークトライフォースとトライフォースを融合させたもの…
 いわば、本物の神の力をつくりだそうとしているのです…
 それをガノンドロフが手に入れた時。
 …やつは不死身の力を手に入れてしまうでしょう。
 もはや倒すことなど不可能になるのです…。
 その女神の力は私にはないもの。だからクレアを狙ったのでしょう」
「ヘレンさん…私たちはどうすれば…?」
「あなた達がすべき事は……賢者の素質をもつ者…
 いわば、新たな賢者を目覚めさせる必要があります。
 そして…新たな六人の賢者がもっている六つのオーブを集めるのです。」
「オーブを集める…?」
「今は知るべき時ではない…ですが、じきその意味が分かるときが来るでしょう。その時こそ、再びガノンドロフを倒すときなのです!
 そして、私は光の賢者として、あなたにオーブを授けます」

ヘレンは、オーブと呼ばれる宝石を手渡した。

「あっ!ちょっとまって!ダークトライフォースとは何なノ?」
ナビィ聞く。
「伝説の話ですけどダークトライフォースとは………
  ― 遥か昔、三人の魔神がつくりだした、邪悪な力の源の事です…
        強欲のラルフ―因業のガブリエル―傲慢のレクライト ――」

「ガブリエル!?じゃああいつが因業のダークトライフォースを…しかも魔神なのか?」
「そのとおり。そしてガノンドロフは強欲のダークトライフォース、幹部の一人が傲慢を持っているはずです…リンク…私は今、命からがら逃げているクレアが心配です。どうか、クレアを見つけたら…共に旅をしてください…」

決意の固まったリンクの切れ長く蒼い目が鋭く光った。
「…わかった。今やるべきことは、出来るだけ早くクレアを捜し出して…
 新たな賢者を目覚めさせ、六つのオーブを集める。そうだな?」
「はい。……時の勇者よ…ハイラルの運命はすべてあなたにかかっています。 どうかご無事で……!」

そういうと、再びリンクを柔かい光が包んだ………


第二十章 伝説の始まり
 2005年5月15日 作者:クレア