光の眩しさにリンクは今まで目を閉じていた……
「目を開けなさい、リンク」
聞き覚えのある声だった。リンクは目を開ける………
見えたのは賢者の間ではなかった。とてつもなく広がる、空と水面だ…。
水面を見ると、懐かしい自分の…大人の自分が映っていた。
「初めまして、リンク」
目の前には、コキリの森で見た、あのヘレンがいた。
「ここはもう…七年後の世界なのか?」
「その通りです。リンク…今、あなたに話さねばいけない事があるのです。
心して聞いてくれますか?」
「……勿論」
ヘレンは悲しむように話し始めた。
「ガノンドロフ…やつは闇の狭間のなかで、
邪悪な力の聖三角である、ダークトライフォースを手に入れてしまい…
さらには、闇の使者をハイラルに連れ込みました。
その使者…ガブリエルはあなたが眠っている間…
闇の賢者以外の賢者をみな封印してしまったのです…」
「な、なんだと…!?」
リンクはショックを隠しきる事ができなかった。
「そのせいで」
ヘレンは続ける。
「いまハイラルにある神の加護の力は…この私のわすがな力と、
インパの力、クレアのまだ未熟な力しかないのです。
クレアと私とインパが滅ぶとき…ハイラルはどうなるかお察しですね?」
頷くリンク。
「さらにガノンドロフは、クレアの中に眠る女神の力をつかい…
ダークトライフォースとトライフォースを融合させたもの…
いわば、本物の神の力をつくりだそうとしているのです…
それをガノンドロフが手に入れた時。
…やつは不死身の力を手に入れてしまうでしょう。
もはや倒すことなど不可能になるのです…。
その女神の力は私にはないもの。だからクレアを狙ったのでしょう」
「ヘレンさん…私たちはどうすれば…?」
「あなた達がすべき事は……賢者の素質をもつ者…
いわば、新たな賢者を目覚めさせる必要があります。
そして…新たな六人の賢者がもっている六つのオーブを集めるのです。」
「オーブを集める…?」
「今は知るべき時ではない…ですが、じきその意味が分かるときが来るでしょう。その時こそ、再びガノンドロフを倒すときなのです!
そして、私は光の賢者として、あなたにオーブを授けます」
ヘレンは、オーブと呼ばれる宝石を手渡した。
「あっ!ちょっとまって!ダークトライフォースとは何なノ?」
ナビィ聞く。
「伝説の話ですけどダークトライフォースとは………
― 遥か昔、三人の魔神がつくりだした、邪悪な力の源の事です…
強欲のラルフ―因業のガブリエル―傲慢のレクライト ――」
「ガブリエル!?じゃああいつが因業のダークトライフォースを…しかも魔神なのか?」
「そのとおり。そしてガノンドロフは強欲のダークトライフォース、幹部の一人が傲慢を持っているはずです…リンク…私は今、命からがら逃げているクレアが心配です。どうか、クレアを見つけたら…共に旅をしてください…」
決意の固まったリンクの切れ長く蒼い目が鋭く光った。
「…わかった。今やるべきことは、出来るだけ早くクレアを捜し出して…
新たな賢者を目覚めさせ、六つのオーブを集める。そうだな?」
「はい。……時の勇者よ…ハイラルの運命はすべてあなたにかかっています。 どうかご無事で……!」
そういうと、再びリンクを柔かい光が包んだ………
第二十章
伝説の始まり
2005年5月15日 作者:クレア
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