「フッフッフ…!ようやく見つけたぞ…!!」
ガノンドロフはさも嬉しそうだ…
「約束…は…?!」
クレアは聞こえるか聞こえないかぐらい擦れた声で問う。
だがガノンドロフは残酷だった。
「ハッハッハッハ!そうだな、確かに私はゼルダを殺さない…しかしだ!
ガブリエルが闇の狭間に封印する!
知恵のトライフォースはわが物になるのだ!ガブリエル!!任せたぞ」
「あいよ〜。ったく、人使い荒いんだから…」
―パチン!!―
ガブリエルは軽く指を鳴らした。
するとゼルダの足元に、あの青い魔法陣がかかれた。
―そう、ヘレンを封印したときと同じ―
「きゃぁぁぁぁぁぁぁ!」
「姫様!!」
インパがスカルフォスからするりと逃げ、ゼルダのもとに、駆け寄ろうとする。
「ゼルダ……!!」
リンクは一瞬…時が止まったかのように思った。
…ゼルダの姿はもう無く、ゼルダが居たところには、
知恵のトライフォースが浮いているだけだったからだ…
絶望する人もいれば、歓喜をあげる人もいた。
「ハッハッハッハッハッハッハ!知恵のトライフォースと時の巫女!確かに手に入れたぞ…」
勝ち誇ったガノンドロフがトライフォースに触れようとする。
…その時だった。
―ピィィィィィ!―
「なんだ!?これは?!」
知恵のトライフォースは突然強烈な光を放ち…
七つに割れ、光を纏いながら飛んでいってしまったのだ。
「なんだと…トライフォースが割れた!?そんな馬鹿な!!」
ガノンドロフは突然の出来事に焦る。
「ガブリエル!貴様はこの小娘を捕らえていろ!!」
ガノンドロフはすぐさま、魔術で消えていった。
「本当に人使い荒いんだから…。まぁいいとするか!さぁ〜て子猫ちゃ……」
そうガブリエルが振り替える先には、クレアも居なかった。
インパが連れて逃げ出したのだ。
「インパ!」
リンクが叫ぶと、インパは瀕死のクレアを抱きながらいった。
「私はクレアをつれて逃げる!おまえは今何をするべきか考えろ!」
そういって、リンクにクレアが持ってきた星の精霊石を投げた。
「チッ…二人ともクリスタルにおとなしく捕まりなっっ!」
ガブリエルはクレア達に魔法をかけて、クリスタルに封じようとしている。だが…
「あっ!よく見りゃ、あの子猫ちゃん、賢者の石のペンダントつけてるじゃん!やっば…!」
よくはわからないが、クレアは封印系の魔法は効かないようだ。
ガブリエルがあたふたしてるうちに、インパ達はすでに馬に乗っていた。
リンクも城から急いで駈け降り、あとを追い掛ける…
「クレア!インパ!絶対無事でいろよ!!」
リンクはそう叫ぶと、消えていく二人を見続けていた……
すると後ろから。
「あららのら…逃げちゃった!あれ?君はお邪魔虫!
いたんだ…まあいいや、今君に用はないよ。じゃあね〜」
「あっ!待て!!」
リンクが叫ぶ頃には、ガブリエルは魔法で竜をつくりだし、
クレアが逃げたほうとは違うところに飛んでいった後だった……
「畜生……!!」
リンクは今、自分がゼルダをを救えなかったことに腹を立てていた。
『ゼルダ…俺は君を救えなかった…ごめん…ごめん………!』
そんなリンクをナビィは一喝する。
「…リンク!早く時の神殿に!悩んでる場合じゃないでしョ!?」
ナビィが現実に引き戻す。そうだ…いまはガノンドロフを倒すのが先決だ。
そのためには……
「ああ!マスターソードのとこへ行こう!!」
悩みたい気持ちを抑え、リンクは神殿にむかった。
時の神殿の外部はかなり破壊されていたが、かろうじて内部は無事だった。
中はあのときと何もかわってないようで、ホッとするリンク。
リンクは四つの精霊石を台座に置き…オカリナで時の歌を奏でた。
「♪♪〜♪〜……」
扉はゆっくりと開く……
…あの剣がみえた。
――迷ってる暇はない――
リンクは自分にそう言い聞かせ、ゆっくりと近付き…台座に深く刺さった剣を握る。
「ダァッッ!」 リンクは思い切り剣を抜いた。
その瞬間、あのときと同じ光が…リンクを包んでいった……。
「ごめん、おっさん。逃げられちゃった〜…はぁ…」
「こっちもだ…くそ!ゼルダの知恵のトライフォースの後継者はあの小娘かと思って安心していたが……なぜ七つに割れたんだ…?」
「さあね?僕にはわからないけど」
「くそう…こんなことだったら小僧を殺しておけばよかった……まあいい。
あの小僧が目覚めるのは七年後……それまでには見つかるだろう。両方な…!」
ガノンドロフは不敵な笑みをうかべていた。
第十九章
壮絶なる戦いへ
2005年5月15日 作者:クレア
|