- ゼルダの伝説 オリジナル小説 -
第十九章 壮絶なる戦いへ 作者:クレア


「フッフッフ…!ようやく見つけたぞ…!!」
ガノンドロフはさも嬉しそうだ…
「約束…は…?!」
クレアは聞こえるか聞こえないかぐらい擦れた声で問う。
だがガノンドロフは残酷だった。
「ハッハッハッハ!そうだな、確かに私はゼルダを殺さない…しかしだ!
 ガブリエルが闇の狭間に封印する!
 知恵のトライフォースはわが物になるのだ!ガブリエル!!任せたぞ」
「あいよ〜。ったく、人使い荒いんだから…」
 ―パチン!!―
ガブリエルは軽く指を鳴らした。
するとゼルダの足元に、あの青い魔法陣がかかれた。
 ―そう、ヘレンを封印したときと同じ―

「きゃぁぁぁぁぁぁぁ!」
「姫様!!」
インパがスカルフォスからするりと逃げ、ゼルダのもとに、駆け寄ろうとする。

「ゼルダ……!!」
リンクは一瞬…時が止まったかのように思った。
…ゼルダの姿はもう無く、ゼルダが居たところには、
 知恵のトライフォースが浮いているだけだったからだ…
絶望する人もいれば、歓喜をあげる人もいた。
「ハッハッハッハッハッハッハ!知恵のトライフォースと時の巫女!確かに手に入れたぞ…」
勝ち誇ったガノンドロフがトライフォースに触れようとする。
…その時だった。

―ピィィィィィ!―

「なんだ!?これは?!」
知恵のトライフォースは突然強烈な光を放ち…
七つに割れ、光を纏いながら飛んでいってしまったのだ。
「なんだと…トライフォースが割れた!?そんな馬鹿な!!」
ガノンドロフは突然の出来事に焦る。
「ガブリエル!貴様はこの小娘を捕らえていろ!!」
ガノンドロフはすぐさま、魔術で消えていった。
「本当に人使い荒いんだから…。まぁいいとするか!さぁ〜て子猫ちゃ……」
そうガブリエルが振り替える先には、クレアも居なかった。
インパが連れて逃げ出したのだ。
「インパ!」
リンクが叫ぶと、インパは瀕死のクレアを抱きながらいった。
「私はクレアをつれて逃げる!おまえは今何をするべきか考えろ!」
そういって、リンクにクレアが持ってきた星の精霊石を投げた。
「チッ…二人ともクリスタルにおとなしく捕まりなっっ!」
ガブリエルはクレア達に魔法をかけて、クリスタルに封じようとしている。だが…
「あっ!よく見りゃ、あの子猫ちゃん、賢者の石のペンダントつけてるじゃん!やっば…!」
よくはわからないが、クレアは封印系の魔法は効かないようだ。
ガブリエルがあたふたしてるうちに、インパ達はすでに馬に乗っていた。
リンクも城から急いで駈け降り、あとを追い掛ける…
「クレア!インパ!絶対無事でいろよ!!」
リンクはそう叫ぶと、消えていく二人を見続けていた……
すると後ろから。
「あららのら…逃げちゃった!あれ?君はお邪魔虫!
  いたんだ…まあいいや、今君に用はないよ。じゃあね〜」
「あっ!待て!!」
リンクが叫ぶ頃には、ガブリエルは魔法で竜をつくりだし、
クレアが逃げたほうとは違うところに飛んでいった後だった……


「畜生……!!」
リンクは今、自分がゼルダをを救えなかったことに腹を立てていた。
『ゼルダ…俺は君を救えなかった…ごめん…ごめん………!』
そんなリンクをナビィは一喝する。
「…リンク!早く時の神殿に!悩んでる場合じゃないでしョ!?」
ナビィが現実に引き戻す。そうだ…いまはガノンドロフを倒すのが先決だ。
そのためには……
「ああ!マスターソードのとこへ行こう!!」
悩みたい気持ちを抑え、リンクは神殿にむかった。


時の神殿の外部はかなり破壊されていたが、かろうじて内部は無事だった。
中はあのときと何もかわってないようで、ホッとするリンク。
リンクは四つの精霊石を台座に置き…オカリナで時の歌を奏でた。
「♪♪〜♪〜……」

扉はゆっくりと開く……


…あの剣がみえた。
――迷ってる暇はない――
リンクは自分にそう言い聞かせ、ゆっくりと近付き…台座に深く刺さった剣を握る。
「ダァッッ!」 リンクは思い切り剣を抜いた。
その瞬間、あのときと同じ光が…リンクを包んでいった……。

「ごめん、おっさん。逃げられちゃった〜…はぁ…」
「こっちもだ…くそ!ゼルダの知恵のトライフォースの後継者はあの小娘かと思って安心していたが……なぜ七つに割れたんだ…?」
「さあね?僕にはわからないけど」
「くそう…こんなことだったら小僧を殺しておけばよかった……まあいい。
 あの小僧が目覚めるのは七年後……それまでには見つかるだろう。両方な…!」

ガノンドロフは不敵な笑みをうかべていた。


第十九章 壮絶なる戦いへ
 2005年5月15日 作者:クレア