- ゼルダの伝説 オリジナル小説 -
第十八章 魔王と巫女 作者:クレア


気付けばもう夜だった。
だが今のリンク達にはまったく問題ないだろう。
走って…走って…走って…!

「遅かった……!」
城下町についたとき、三人を迎えたのは残酷な光景だった。
家や店はすべてがなぎ倒しになっていて、地面には逃げ遅れ、殺された人々がたくさん重なっている。中には子供や女性も…
「畜生…ガノンドロフのやつ…!」
だが、城からも悲鳴やうなり声が聞こえる…。
「リンク!今はゼルダ姫を助けるのが先決よ!」
「わかってる!」
三人は急いで城へと向かう……

魔物と人間の戦い。まさしくそれが城で行われている。
入り口には、あの門番が魔物と苦戦していた。
「デャアッ!」
リンクは魔物を切り倒す。
「ありがとう、時の勇者君!今、ゼルダ様が
  城の中枢のバルコニーにいるんだ! 助けだしてくれないか…!?」
「当たり前だ!」

その通りだった。門のうえには、ガノンドロフに追い詰められたゼルダが見える。
だが、いざ中に入ると、二つの階段があった。魔物もたくさんいる…
「クレア!二手に分かれていこう!俺はこっちから行く!」
「わかった!気を付けてね!」
今思えば、これが間違いだったのだろう……


「ガノンドロフ……!」
そのころゼルダはインパと共にスカルフォスに囚われ…
ガノンドロフの尋問を受けていた。
絶体絶命…それが二人の今の状況だ。
「ゼルダよ…俺としては今すぐ貴様を俺と同じよう…
  闇の狭間に封じて、知恵のトライフォースを奪い取りたいところだ。
  だがな、一つ聞かねばならぬ事がある……
  さあ、インパの命が惜しければ答えろ!時の巫女は何処だ!」
「姫様!答えてはなりません!」
その時だった。
「あれー?おっさん、まだ聞き出せねぇの?」
あの少年がするりとあらわれたのだ。突然のことにゼルダとインパも驚愕する…
「ガブリエル、貴様今まで何を…」
「まあ、怒んなよ。いまおっさんが探してるやつがくるからさ…」
「ゼルダっ!」
ガブリエルの話が終わるとほぼ同時に、息を切らしながらクレアがやってきた。
そしてゼルダのもとへ駆け寄ろうとする…
「クレアっ!きちゃだめ!逃げて!!!」
「え……!?」
遅かった。
後ろを振り向くクレアに向かって、何かがクレアに正面から当たる……

「クレア!!!」

一方リンクは魔物と苦戦しながら…
そして、まったく効いていない剣を振り回し、急いで階段を上っていた。
「邪魔だ!失せろ!…くっそお、あっちの階段が正解だったのかな?」
「リンク!そのドアから風が入ってる!」
たしかに、ひんやりとした風が入ってきた。
―よし!―
リンクは思い切りドアをあける……

「……クレア……!?」
出たのは三階のバルコニーだった。そこから中枢のバルコニーがみえる…
…クレアはまともにガノンドロフの魔法を受けたらしく…全身がアザだらけで倒れていた。そしてクレアの手の先には…真っ二つに折れた杖と…あのフルートがあった。


「………痛………」
たった一発の魔法で、意識が朦朧とするクレア…
後に知ることだが、クレアは闇の魔法に弱いのだ。
…そんなクレアにガノンドロフは交換条件を言う。
「小娘…そのフルートを奏でろ。さすれば、ゼルダ達を殺さず助けてやる」
それは、クレアが時の巫女であることを証明させる手段……
「ダメよ!クレア!奏でてはダメ!!」


―みんな死んではいけない…私の命一つでみんながたすかるなら―
クレアはフラフラと立ち上がった。そして…フルートを奏で始めたのだ。
するとどうだ…
今まであんなに暴れていた魔物達は音色を聞くとみな苦しみ、霧になっていっく…。
自分を犠牲にしてまで、ゼルダ達を助けたい……。
その汚れない気持ちは、奏でているフルートの音色に溶け込んでいるようだったのだろう………。
だがガノンドロフは目付きをかえた……。

―ついに見つけたぞ…!時の巫女…!―


第十八章 魔王と巫女
 2005年5月6日 作者:クレア