「ルト姫っ!他のゾーラ族をつれて里に入るんだ!」
「わかったゾラ!リンク…負けるでないぞ!」
そういってルト姫達は避難する…
だが、その直後だった。
「グルァァァァァッ!!」
ドスッ!!
「うわぁっ!」
「リンクっ!!」
鈍い音とリンクの悲鳴が枯れた泉に響き渡った…
グリフォンがリンクに突っ込んできたのだ。
あまりの突然の出来事にリンクは盾すら構えられず…地面に叩きつけられてしまう。
「イテェ…!」 ―くそ…足をやられた―
「…クァルディ!」
クレアはリンクの周りにバリアを張る。
なんとクレアは自分で制御しなくてもバリアを張れるようになっていた。
「クレア!何するつもりなんだ!?」
「リンクは休んでて…私だけで戦う!」
「!!?無茶だ!危険すぎる!」
「お願い、戦わせて!!」 その時、クレアの瞳にはわずかに涙が潤んでいるようにみえた…
「私…悔しい!何だか…あいつに会うとまた恐くなっちゃって…
私は何も変わってない…あのときとまったく変わってないんだ!
そう思い知ったよ……だから…だから…こいつを倒して…
私は変わったって…見せたいの。天国のアシェリーさんに…」
リンクは黙って聞いていた。だが、どっちにしろ自分は戦えない…
「…わかった。けど、無茶するなよ」
「うんっ!」
その時だった。痺れを切らしたグリフォンがクレアに襲い掛かったのだ。
「わっ!」
だがクレアは華奢な体を利用して、さらりと攻撃をかわす。
「クレア!こいつの弱点は真ん中の頭だよ!!」
「了解、ナビィ!」
そしてクレアは、再び突っ込んでくるグリフォンに杖をむけた。
「ア・ディンス!!」
クレアが叫ぶ。
すると杖先から、黄色い閃光が吹き出した。
――稲妻だ!!!――
「ギャァァァァッッ!!!」
グリフォンは叫び…呻き…そしてマテリグルズのように消えていった…。
「あーぁ…子猫ちゃんが倒しちゃった…ま、いいか!
今頃ガノンのおっさんが城下町を襲ってる頃かな…?見に行くとするかな〜」
今までの戦いを見ていた少年はするりと消えた。
その話を一人聞いていたルト姫……
「な、なんじゃと…!?大変ゾラ!!」
グリフォンが消えると、栓が砕けた。
噴水のように水が勢い良く出て…泉はみるみるうちに満ちていった。
「よかった…これでゾーラの里は元どおりだ」
「そうだね…」
どうやら今この泉には癒しの力があるようで…
リンクの足の怪我は見る見るうちになくなった……
だが、戦いは終わっていなかった……
「リンクーーーーー!大変ゾラぁー!大変ゾラぁ!」
ルト姫がパニックになってこちらに走ってきた。
「ど、どうしたの!?」
「リンク…これを持って……城下町がっ」
そういいながら、水の精霊石…ゾーラのサファイアを渡す。
「落ち着いて、ルト姫!何があったんだ!?」
「今ガノンドロフが城下町を襲ってるんじゃ!間違いない…
さっきの小僧がさも仲間のように言っていた!!」
リンク達は目の色をかえる。
「それが本当なら…ゼルダが危ない…!!城へいこう!ナビィ、クレア!」
リンク達は里を後にした…
「…ラッキー!あの子猫ちゃんが時の巫女ってあきらかになるなぁ…
消えたふりしてよかった☆」
そして三人…いや、四人は急いで城へ向かうのだった……。
第十七章
小さく大きな決意
2005年5月6日 作者:クレア
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