- ゼルダの伝説 オリジナル小説 -
第十六章 水のない里で 作者:クレア


「なっ、なんと………!」
飛びながら守護鳥は絶句する。
ゾーラ川は豊かな水がなくなっている ……完全に枯れているのだ…

「うぬぬ…なんて事じゃ…!」
守護鳥は唸り、かつて滝があった所へ飛ぶ。
だが、そこはもう一滴の水もながれていなかった。
そこで守護鳥は速度と高度を落としてゆき…陸に着地した。
そしてリンク達を降ろしながら話す。

「ここからはワシは進むことができぬ。山の守護鳥じゃからな…
  だから後は君たちで頑張っとくれ。任せたぞ!」
「ありがとう、守護鳥さーん!」

守護鳥はまた翼を広げ……再びはばたき、
羽を少し散らしながら飛び去っていった……

「さ、リンク!クレア!ゾーラ族の皆が心配だワ…早くいきましョ!」
「いわれなくても、そのつもりだ!急ごう!」
三人は急いで里へ向かうのだった……


「うわっ…」
「…ひどいワ……!」
「話と違うよ…何が起きたの…!?」
あまりの無残な光景に三人は絶句した。
水のない里は墓場のようだったのだ。
ゾーラ族が食べたと思われる魚の骨や‥‥
哀れ、 ひからびてしまったゾーラ族が何人か倒れている……

リンクはここでふと、あの人の事が頭によぎった。
「ルト姫は何処だろう…?」
「う〜ン…………!!泉じゃない?!
  あそこならまだ水が残ってるかもしれないワ!全滅にしては数が少ないもの!」

ナビィの説を信じ三人は泉へ行ってみることにした。

泉の底には、辛うじて少量の…
一人浸かれるぐらいの水がのこってる状態になっていた。

「よかった!やっぱりゾーラ族がみんないる!」
確かにゾーラ族は皆そこにいて、一人一人交替でその水溜まりに浸かっていた。
その中に……

「……そちは…リンク!?」
「ルト姫っっ!」 あのルト姫がいた。
「リンク、よくぞきてくれたゾラ!実はな…水の湧き出る所に、変
  な栓のようなものが刺さってぬけないんじゃ!
  このままじゃあ、ハイラル中の水が消えてしまう…
  たのむ、そなたも手を貸してくれ!……おや?」

ルト姫はクレアを見つけると、さっきとはうってかわってふてぶてしい態度で話し掛けた。
「そちは何者じゃ?言っておくがの、リンクはわらわの婚約者ゾラ!
  だから、手を出すでないぞ!」

そう、クレアに嫉妬していたのだ。

「………え?」
もっとも、クレアは理解していないようだが。

「ルト姫、今は喧嘩してる場合じゃない!
  その栓をみんなで協力して抜こうよ!他のゾーラ族を集めてくれないか?」

「…わかったゾラ」
ルト姫はしぶしぶと、皆を集めはじめた。


「皆の集!準備はいいか?」
栓にロープを引っ掛け、綱引きのようにとることにしたのだ一同。
リンクもクレアも協力する。

「せーのっ!」
みんながルト姫の掛け声と共に、強くひっぱった。

ガゴン!
すると、少し抜けた音がした……

「みんな!やったゾラ!もう一息…」

「困るんだよね、勝手に計画をかえられちゃあ……」
突然、不気味な声がした。辺りに邪気が…それもたくさん、たちこめる…
「だっ…誰だ!?」

リンク達が上をみれば、いつかクレアがみた… 銀髪に赤い目の少年が空に浮いていた…
「あっっ!」
クレアは思わず声をあげてしまった。
「あ!!…タース族の可愛い子猫ちゃん?
  ここにいるってことは……つまり……なるほどぉ…」
「お前は誰なんだ!?」
「君には名乗りたくないね…ついでに言っとくけど、栓を閉めたのは僕なのさ」 にやりと笑う。

『…恐い…!』
クレアは震える……
そいつはその様子を見逃さなかった。
「あはは!子猫ちゃん、まだ襲わないさ。そんなに震えることないよ!…でもね…」
そういって冷酷な目でリンクをじろりと睨む。
「…ちょっと邪魔なんだよね…アンタ。色々と計画かえてさぁ。
  …悪いけど、君には消えていただくよ…さあ、グリフォン!餌の時間だ!!」

―パチン!―

銀髪の少年は指をならし、フッと消えた。
すると… 「グルルルルル…!」
恐ろしい泣き声と共に三つの頭と羽が鷲、
体がライオンの怪物があらわれたのだった…………


第十六章 水のない里で
 2005年5月1日 作者:クレア