「夢で見たこと…それが真実だと確信しています」
ゼルダは落ち着き払った態度で話し始めた。
「私たち賢者はリンクが目覚めさせてくれたおかげで、
ガノンドロフを倒し、闇の狭間に封じ込めることができました。
しかし、実はその封じ込めている力の源は…時の女神の力をもつ人。
つまり時の巫女…ヘレンの力なのです。
ヘレンは時の神殿をまもる…守護霊のようなものです。
彼女がいて初めて賢者は力を発動できた…… 。
リンク、時のオカリナにもヘレンの力はあるのをご存じないですか?
…リンクが時の女神の力が必要にになったとき…オカリナは力を発動させたのです」
――確かにそうかもしれない。
このオカリナのおかげでムジュラを倒すことができたのだから――
リンクは納得できた。
「ですがいま…ヘレンはガノンドロフに封印されてしまった様なのです…。
おそらく400年というながい時のなか…時の神殿を司ってきたのだから…
力が衰えたところにガノンドロフは闇の狭間からぬけだしたのでしょう。
そのとき、二度と力を発動出来ないようにしようと、ヘレンを封じたのです」
「え……!?時の巫女がいなくなってもこのハイラルは大丈夫なの?」
こわごわとクレアが聞く。
「すべての時がとまります。人も…植物も…大地も…すべてが滅ぶでしょう」
冷静に言うゼルダ。
「じゃあなんで今は平気なの?ヘレンって人がいないのに…」
「それは、ヘレンとおなじ力…女神の力を持つものがこの世にいるからです。
その子だけが…この女神のフルートを奏でられる…お分りですか?」
―クレアは気付いてしまった‥‥リンクもだった― 「そう…クレア…。あなたが今のハイラルの時の巫女なのです…!」
「………!」
言葉が出ない……!
私なんだ…私が…ハイラルの運命の鍵なんだ…! だから…
「ちょ、ちょっとまてよ!」
リンクが憤慨した。
「別にクレアは霊なんかじゃないぞ!?それでも時の巫女といえるのか?」
「ええ…」
ゼルダは頷く。
「それこそがおそらくガノンドロフの目的です。
ヘレンではなく、クレアでないと出来ないこと…それが何かわかりませんが…。
リンク。今、時の扉が封じられている力は精霊石四つと時のオカリナ…
それでまた解くことが出来ます。…私たちがやるべきことは一つ…」
「…マスターソードをまた蘇らせ、ガノンドロフを倒すしかないんだね?」
「はい、その通りです…しかし今のガノンドロフは強すぎる…!
何かの力を手に入れたに間違いありません。
リンク、私は種族の長に精霊石を渡してあります。
お願いです…クレアと共に再び精霊石を集めてくれませんか?」
「え…でもクレアはガノンドロフに狙われているだろう?危ないんじゃ……」
「確かに外のほうが危険でしょう。
ですが、リンクだけの力ではガノンドロフのしもべは倒せません。
クレアの魔術も出し切って共に戦えば…きっと倒せます!」
迷いなんかなかった。
リンクの目は強い視線を放っている…また新たな決意をした目だった。
「…よし!クレア、ナビィ!三人で精霊石を集めよう!」
「そんな…私なんかで…平気なの?」
尻込みするクレア。
自分が狙われていると聞いて、恐くなったのだろう…顔色があまりよくなかった。
そこにリンクは目線を合わせていう。
「クレアは自分に出来ることをやってくれればいい。俺はクレアを絶対守るから!」
この一言で、クレアは吹っ切れた感じがした。
「…うん!頑張る!よろしくね、リンク!!」
「クレア…リンク…ナビィ。
ハイラルの平和はあなた達にかかっています…どうか気を付けて!」
「ゼルダも…。ガノンドロフに狙われているかもしれないから…用心しろよ」
「はい!」
「OK!なら、早くダルニアさんに会いにいきましョ!」
…こうしてリンク、クレア、ナビィの三人は精霊石をさがしにデスマウンテンへとむかっ
たのだった……
「お手並み拝見するよ…新たな時の巫女さん…」
上空には、あの銀髪の赤い目をした少年が、クレアを見据えていた……
闇と光が再び激しくぶつかり合うまで。時間は長く、短いものなのだ………
第十二章
新たなる闇の気配
2005年4月17日 作者:クレア
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