〜マロンの家に泊った次の日の朝〜
「じゃあ、この馬車に乗るだーよ!」
エポナとニコラを牧場に預けることにしたリンクとクレアは、
ハイラル城にとどける牛乳を乗せる馬車に乗せてもらえることになったのだ。
「マロン、インゴーさん!どうもありがとう!」
クレアはマロン達に手をふる。
「うん!妖精君も、クレアちゃんも、また遊びにきてねぇ!」
「ああ、きっといくよ〜」
リンクがいい、馬車は出発した…
「じゃあハイラルを救った勇者は、リンクなの!?」
荷台に揺られながら、リンクの話を聞いていたクレア。
「すごいなぁ〜…リンクは…強いんだね〜」
クレアにまじまじとみられたリンクは、少し恥ずかしく感じた。
「つ、強いだなんて!俺はまだ半人前だよ……」
「おーい、ついただーよ!」
あっという間にハイラル城へついていた。
リンク達は馬車をおりる…するとそこの門番がリンク達をみていった。
「おっ!牛乳ありがとう!おや?君はもしかして…時の勇者君かい?」
「はい!そうです!ゼルダ姫に会いたいんだけど…ダメですか?」
「いやいや、とんでもない!ゼルダ様は君をよんでいたんだ。
きみがきたら私に会わせなさいって。
そういえば、名前はわからないが、一緒の女の子もっていってたなぁ…」
「え…もしかして私?リンク」
「間違いない、クレアだよ」リンクはピンと来る。
―たぶん、予知夢で予知したんだなぁ――
「ささ!二人とも案内するから、ついてきてくれよ」
リンク達は兵士についていった。
「さ、ここだよ!くれぐれも失礼のないようにね」
ゼルダはいつものように中庭にいた。
なにかの本を読みながらうたた寝をしている…。
「ゼルダっ!ゼ・ル・ダ!」 リンクは悪戯っぽくゼルダを起こした。
「わあっ!……!!リンク!リンクなの!?」
ゼルダはリンクをみると、とても安堵した表情をみせた。
「よかった…私リンクが危ない目にあってるって夢で見て…
とても心配だったの…無事でよかった」
「あの〜…」
「クレア…ですね?夢で見ました。時の女神に選ばれた少女…」
「ゼルダさん…それってどう言う意味なんですか……?」
そこでクレアは、身に起きたすべてを話し始めた。
アシェリーが殺されてしまった事…精霊石をもってきたこと。
リンクもゼルダも、黙って話を聞いていた。
「それに…青いフルートを授かってきました。ゼルダさんにみせてって」
そういい、ゼルダにあの時のフルートを見せるクレア。
「これは……!!」
ゼルダは息をのんだ。
「女神のフルート……!?」
「??」
クレアもリンクもまったくその意味がわからなかった。
「リンク…次はあなたの身に起きたことを…偽りなく話してください」
リンクもすべてを話した。
ウルフォスが強すぎたこと…。
ヘレンという人が助けてくれたこと。
すべての話を聞き終えたゼルダは深いため息をついた。
「リンク…クレア…今から私が知っているかぎりのすべてを話します…。
このハイラルに…何が起き…何が起ころうとしているかを…」
緊迫した空気のなか、蝶だけが美しく舞っていた。
第十一章
姫と少女と勇者
2005年4月17日 作者:クレア
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