- ゼルダの伝説 オリジナル小説 -
第十章 月夜の演奏会  作者:クレア


「はぁ〜…」
ナビィと共に森をでたリンク。
「どうしたのリンク?ため息なんかついちゃって」 ナビィが言う。
「あのさ、ナビィ。さっきのウルフォスみたいなやつがまた出たら…
 俺らはまた負けちまうかな」
「えっ………」
「あれはガノンドロフの手下がつくったなんだろう…。
  あのウルフォスはまだ弱いほうなんじゃないか?
  そうしたら…俺たちは弱すぎる…って思うんだ」

リンクはムジュラの仮面を倒した実力がある。
だが、その実力を過信しすぎてたのではないかと思ったのだ。

「うん………。………?」
ナビィがいきなり立ち止まる。
「ナビィ?」
「リンク、静かに!」
「??」

敵でもいるのかと思い、息をのむリンク。
だが、なぜナビィが聞き耳をたてたかすぐわかった。

《♪♪〜〜♪〜》

――美しい…――

音色の第一印象だった。リンクとナビィが今まできいたことのない…

「フルルっ!」
歌の好きなエポナが鼻息を荒くする。

――近くにいこう!―― そう言っているかのようだった。

「リンク、牧場から聞こえるよ!」
ナビィもエポナと同じ気持ちのようだ。もちろんリンクもだった。
「よし、ちょっくら聞いていくか!エポナっ!」
リンクはエポナの向きをかえさせると、音色の主へ一直線で駈けていった。



牧場につくリンク達。 音色の主はフルートと少女だった。
よく見ると…マロンも音色に聞き惚れていた。

「きれいな音色ね…」
ナビィもそうつぶやき、少女の演奏に聞き惚れている……

《♪♪〜〜♪〜〜》

何だかリンクは、全身の疲労感がなくなる感じがした。
…いつまでもこの音色を聞いていたい…。

そう思った丁度、演奏はおわった。
皆が、拍手をする。ここでリンクと少女の目が合った。

「「あっっ!」」
二人は同時に叫んだ。
月明かりに照らされた少女の顔は、まるで天使のような風貌だった。
あまりの美しさに、リンクは叫んでしまったのだ。
その少女…クレアはリンクが緑の衣をまとった少年だと直感し、
叫んでしまったのだった。

「あー!妖精君!久しぶりじゃない!」

リンク達の存在に気付いたマロンは、リンクの所へ駆け寄る。

「ねぇねぇ、フルートの演奏素敵だったよね〜♪このこはね、
  クレアちゃんっていうんだ!ちなみにこちらは妖精君。え〜と…」
「リ、リンクって言うんだ!よろしく!」

本名を思い出せないマロンのかわりにリンクが自己紹介する。

「こっちが妖精のナビィで、この馬は俺の愛馬、エポナだよ」
「は…は初めまして!リンクにナビィにエポナ」

クレアはどもりながらも、皆に笑顔であいさつする。

「あの…リンクさん」
「あ、リンクでいいよ。なんか用があるの?」
「うん…実は、明日ハイラルのお姫さまに会いたいんだ…会い方を知らないかなぁ?」

無礼かな?とおもいつつ、クレアは聞く。

「あ、ゼルダに用があるのか?俺もなんだ!じゃあ明日一緒に会いにいこうよ!」

リンクは直感した。
――そうか、この子が 時の女神に選ばれた少女なんだ――

クレアは安心する。
「うん!よかったぁ…」
「じゃ、二人とも今日の宿は決まりね♪」
マロンが明るくいった。


第十章 月夜の演奏会
 2005年4月9日 作者:クレア