- ゼルダの伝説 オリジナル小説 -
第七章 少女の旅立ち 作者:クレア

「シュラァァ〜〜………」

大蛇はずるずると近寄り動けないアシェリーに噛み付いた。

「うわぁぁぁっっ!」

その瞬間…。みんなの金縛りが解け、大蛇が消えた。
だが噛み付かれたアシェリーはぐったりと倒れる…

「アシェリーさんっ!」

クレア達が駆け寄った。
どうやら蛇の牙には毒があったようで、アシェリーの傷口には紫の斑点があった。
アシェリーは喋るのもままならず、息をするのも苦しそうだ……

「アシェリーさん…死なないで…!」

クレアは泣きだす。

「クレア…クレア」

意識が薄れてきてるはずなのに…アシェリーはやさしくクレアに語りかけた。

「あなたは…時の巫女がどうと…そんな夢を見たの?」

クレアは泣きながら頷く。

「うん…………でも、何で…」
「知ってたかって?私も似たような夢をみたわ…
ハイラルがあぶないと…警告だった…。
下の世界…ハイラルは知ってるわね…?
前話したわね…勇者がハイラルを救ったとゆう話で……」

シドが口を挟む。

「確か…魔王を封じたと」
「その魔王が復活したの…間違いないわ。クレア…あなたしか頼めない…」

そういうとアシェリーは青いフルートと精霊石…
タースのダイヤをクレアに渡した。

「あなたの家に魔術馬の子馬がいるはず…
 その子にのってハイラルへ行き、緑の衣を着た少年をさがすのです。
 そして、神に選ばれたハイラルの姫にあい…このことを伝えるのです」

クレアは戸惑う。

「そんな…私は魔法もできない…。無理だよ……」
「いいえ…できます!あなたしか…できないことなの…
 あなたのなかにある知恵と勇気。それを信じる強さが…魔法となるのです。」

クレアは頷く。

「杖は私のを使いなさい…使い方は前教えたとおりよ
  ………………………………クレア…運命を憎まないで……」

そこまで話すと…アシェリーは息を引き取った。

「…アシェリーさん!?アシェリーさん!!目を開けてよ…アシェリーさん………!」

クレアだけでなく、みんなが涙したのは言うまでもなかった。





その日の晩。

「誰にも言わずに行くのか?」

シドは荷物を整理してユニコーンのニコラにのったクレアに話し掛けた。
クレアは今にも丘から飛び降りそうだ……

「…みんなが寝てから行かないと…心配しちゃうかなって思って」
「…やっぱお前らしいな」
「え?」

みんなに心配かけまいと、熱があるのに無理したあの日。
危険を省みず、雲から落ちそうになった自分を助けてくれたあの日。
シドはいま、クレアのあの笑顔と二度と会えないんじゃないかと心配だった。 

「…すぐ戻ってこいよ!」

といいながら、ペンダントを渡す。

「え…?」
「………///」

ペンダントを渡すというのは、タース族にとって告白と同じ意味だった。

「…うん!!」

答える代わりに、クレアはペンダントを受け取り、
すぐにつけ、満月にむかって飛び降りた。
そしてクレアの旅が始まった。



第七章 少女の旅立ち
 2005年3月27日 作者:クレア