第六章 天空の里で 作者:クレア
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ここは高度一万メートルの雲の世界。
そこには12人の子供と1人の大人で統一された小さな天空の里
…タースの里があった。
そこでは死者の魂から蘇ったとされるタース族が平和に暮らしていた。
……今日平和に終止符を打つ朝を迎えるとは知る由もなく……。
「クレア〜?起きているかぁ!?」
「『あ、シドだ』起きてるよぉ〜!シド!」
クレアは元気にベッドから飛び降りる。
シドと呼ばれた少年は、銀髪に青いバンダナをまいた風変わりな少年だった。
そのクレアとよばれた少女は可愛く、すらりと整った顔をしていた。
どうやら今日はタース族の特権である、魔法を使う初練習らしい。
そのせいか、二人とも生き生きとした表情で面会した。
「えーとぉ…上着きて…靴はいてぇ……」
おっとりしているクレアに
「ほらぁ〜、早くしないと教えてもらえないぞ?アシェリーさんは、時間に厳しいんだからさ♪」
シドはわざと嘘をつく。
「……うそ」
クレアはあせった。
「え、えぇ?!じゃ、早くっ!広場に行かなきゃ!」
『単純だな…。』
とシドは思いつつ、クレアと共に雲の広場へ行った。
「…ねぇ……まだだれもきてないよ〜?」
「あたりまえじゃん、もうみんないるなんて一言もいってないぞ?」
「何それ…!!」
クレアは頬をふくらましてぷぅ〜と不機嫌な仕草をした。
『……。可愛い…。』
シドがそう思っていると、タース族のみんながやってきた。?
「あら、クレア。シド様を寝取ろうだなんていい度胸じゃない?」
噂好きでシドが好きなルーム。シドと仲がいいクレアを冷やかしたのだ。
「シドは友達だよ?変な事いわないでよね」
「…ならシド様の横は私よ!どきなさい!」
『友達……』
そうシドがショックを受けている間に…
「ほら、なに喧嘩してるのぉ?仲良くしないと、魔法は教えないわよ?」
「アシェリーさん!?」
アシェリーはタース族で唯一大人である女性だ。
魔法を教えてくれる先生であるし、天空の精霊の血をひいていた。
なにより、今子供しかいないタース族の長でもある。
「…わかった…仲良くする」
ルームとクレアはしぶしぶいった。
二人ともよき友達であり、ライバルだったからだ。
「じゃ、さっそくおしえるわ…」
突然アシェリーの目付きが変わった。警戒している目付きだった。
「おやや…?タース族がみんないるねぇ?」
うえから声が聞こえる…
空中に浮かんでいたのは…シドに似た髪で、目の赤い少年がだったた。
「ただものではないな…。誰だ!?」
クレアは寒気がした。
『逃げたい……!』
だが、足が動かない。他のみんなもそうだった。
「このなかに時の巫女の力を持つヤツがいるのは知れているんだ
…怪我したくなきゃ、素直に出しなよ」
!!ききおぼえのある夢を思い出した。時の巫女?…
「そんなのいないわ!去りなさい!」
「…。ならばこいつとお遊びしてもらうよ!」
―パチン!―
少年は指を鳴らし、スルリと消えた……
逆にあらわれたのは…不気味な大蛇だった……。
第六章 天空の里で
2005年3月27日 作者:クレア
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