第五話 白い悪魔と鍛冶神の娘 作者:
NIGHTMARE |
ニルク達は船を降りて港を見回した。いつもなら人
通りも多く、いくつもの店や物売りの商人なんかがた
くさんいるはずだが、店の建物だけで人はほとんど通
っていない。そんな何も無い町を埋め尽くそうとせん
ばかりに雪はドンドン降り積もっていく・・・。音も
無く静かにゆっくりと・・・。ニルク達は三人に分か
れて人と宿を探す事にした・・・。だが時間はもう夕
方6時を過ぎている・・・。ニルクは一人、町を出てし
まっていた。大きな川はこの寒さで凍りつき、ニルク
の口から出る白い息はその寒さをあらわす。 「寒 っ!」
ニルクは肩を縮めて言った。ヒュっと冷たい風が
ニルクの頬にあたった・・・。
ふと前を見ると、丘の上に大きな館が見えた・・・。
ニルクはそこへと歩き始めた・・・。
徐々に雪は吹雪いていき、しまいには前が見えなくなる
ほど激しさを増していった・・・。それでもニルクは歩いた・・。
遠くに見える館の明かりをたよりに・・・。
30分ほどしてやっと館に着いた。だがそこはすでに
使われていないようだった・・・。「なんだよーーー
ここまで来て廃屋だったなんて・・・もーいや!」ニ
ルクはそうやって愚痴りながらくるっと横になっ
た・・・。そのとき下で変な音がした・・・。ニルク
は起き上がって床を覗き込んだ。その瞬間だった。
「ドバキッ!」「うわああああっ!」床から大きな刀
を持った女の人が襲ってきたのだ・・・。ニルクは焦
ってあとずさった。すると彼女は刀をニルクの首に突
きつけて言った。
「なんだ・・・人間か・・魔物かと思ったじゃないか。
誰だ貴様?こんなとこで何をしている!」
「びっくりしたぁーーーっ!あ、あなた誰?」
ニルクはしりもちついて言った。すると彼女は
余計刀を突きつけて言った。「質問に答えろ!貴様何
者だ!何人で来た!場合によってはここで殺すぞ!」
ニルクは溜息ついて言った。
「ここで殺さなくてもこのままだったら死んでたよ・・・。
オレはニルク。この国の人間だよ・・
久々に里帰りってやつ・・・。貴方は?」
彼女は刀をなおして言った。
「何だこの国の者か・・脅してすまなかった・・・。
私の名はレディオーナ・フェル・アレクサンドルだ。
レディオーナと呼んでくれ。さて・・・何か詫びをしなくてはな・・・。
出来る事があったら何でも言え・・・。私の家はこの地価
にある。一人か・・?」ニルクは立ち上がってお知り
をはたきながら言った。「いいえ、ネオの連れが二人
と動物一羽と一匹。僕ら宿を探してるんです・・。」
すると彼女は言った。「残念だがこの吹雪では外に出
られない。明日まで待つんだな・・・。」ニルクは言
った。「そんな!このままではサファイアとレイアは
死んでしまう!迎えに行かないと!」しかしそんなニ
ルクの腕を引っ張って彼女は地下の扉を開けて階段を
降りていった・・・。「離してください!もう!離せ
ってば!」ニルクは彼女の腕を振り払った。ふと彼女
は足を扉の前で止めた。そしてそこを開けると・・・。
なんとそこは大きな大きな町だった!!!
「はぁ?なんで地下にこんな大きな町が?」ニルクは
目を大きく開けて言った。彼女は微笑んで言った。
「ここは城下町の者が逃げ込んで出来た町だ・・・。
それなりに物資や食料もある・・・。少し休んで行く
といい。まずは私の家に来るといい。鍛冶屋と酒場を
経営しているんだ。長老もいるから会わせたい。こっ
ちだ!」彼女はニルクを連れてまた歩き出した・・。
大通りを抜け、裏通りに入っていくと大きな酒場があ
った。階段を上って行き、扉を開けるとそこには大勢
の客が集まっていた。なにやら論争になっている。
するとある大男が言った。「やっぱりこいつら信用な
らねえ!いっそぶちのめしちまおうぜ!」
ニルクとレディオーナは間を割って前に出た。その時
ニルクは大声で言った。「ああっ!レイアさんにサフ
ァイアさん!何でここに!?」すると二人は言った。
「いやーーーー、王宮の地下監獄から抜け道見つけて
はいりこんだらこのザマよ。」レイアが笑って言っ
た。するとサファイアがにっこり笑ってニルクに言っ
た。「そーですよ全く。どっかのバカな!誰かさんが
後先考えずにこんな地下監獄なんていうバカみたいに
目立つところから入るから・・・お前ほんとに脳みそ
詰まってんのか!?。まったくバカな兄貴を持つと苦
労しますよホント・・・こっちの身にもなれ!ってカ
ンジ。魔物は腐るほど追っかけてくるし、兵隊に見つ
かってそーとー怒鳴られるし!これで国交が途絶えた
らどうするんですか!あーもー、いっそ国交途切れて
死罪になっていっぺん死んで来い!!!って感じです
よホント・・・。ほら、皆さんと私にに多大なご迷惑
おかけした事謝ってくださいよ!!何とか言ったらど
うです!?あ、皆さんこいつかまわずぶっ殺しちゃっ
て下さい。そっちの方が私も手間が省けるってもんで
すから。あ、あと棺と牧師さんか誰か呼んでくれま
す?」「こ、こわーーーーーーーーっ!」その場にい
た全員がそう思ったそうな・・。 ニルクは撃沈して
いるレイアをつまんで言った。「いや、もうそれ以前
から冷たくなって魂抜けてるよ。」
すると奥から声がした。「ったく!お前の毒舌ぶり
は相変わらずだな!サファイア!それにお前もだな!
レイア!弟にまーた叩きのめされてやがる・・・。い
い加減成長しろっつーの!」奥の扉が開いた。すると
そこから出てきたのは・・・、金髪ウルフに左頬に黒
い刺青。耳に金ピアス6個に口にタバコくわえているカ
ッコイイけどかなりイカツイお兄さん。腕には黒い髑
髏に鎖の刺青がずーっと入っている。すると彼はいき
なり怒鳴り散らした。「おい!テメー等!ギャアギャ
アしゃあしいんだよ!こっちは仕事中で3日前からずー
ーーーーーっと徹夜で仕事して酒飲んで二日酔いなん
だよ!!!おかげで大事な仮眠時間無くなったじゃね
ーかコラァ!ここで吐くぞ!大体雇い主のこのオレが
徹夜しなくちゃなんねーんだ!テメー等全員首飛ばす
ぞォ!それが嫌ならさっさと仕事しろ!この図体だけ
デケェチンカスどもがーーーーーーっ!!ドン!ド
ン!ドン!」銃が3発鳴り響いた。すると周りにいた男
どもが震えて言った。「ザ、ザルスの兄貴!す、すん
ません!今すぐ仕事に戻りますから・・・。」すると
ザルスは見下して言った。「あれぇ俺の声聞こえ無か
ったかなぁ。さっさと言われた事しろーーーーーーー
っ!この間抜けがーーーーーっ!」「ひいぃぃぃ!ご
めんなさーーーーぃ!」男達は皆奥に駆け込んで行っ
た。するとザルスは扉にギロチン仕掛けてそばにあっ
た椅子に座ってニルクに言った。「ったく!これで寝
られるぜ!ってアンタ誰?」ニルクは言った。「ニル
クって言います。ライアン様とゼルダ姫様からある依
頼を受けて・・・。」ザルスは言った。「あぁ、アン
タが。おれザルスっつーの。オレもあのくそロン毛(ラ
イアン)からいい餌がいるから片付けろって言われて仕
方なく来たの。あの二人やライアンとラルフとは腐れ
縁だな。全く野郎とつるんで楽しい事なんかねーっつ
ーのに。ま、仲良くやってこーや。」ニルクは苦笑い
で言った。「ど、どうぞよろしく・・・。」(ほんとに
こいつ等何者なわけ・・・?あぁ、おれは生きてこの
旅を終えられるんだろうか・・・。)
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第五話 白い悪魔と鍛冶神の娘
2005年12月24日 作者: NIGHTMARE |
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