- ゼルダの伝説 オリジナル小説 -
1st 〜悲しい旅立ち〜 作者: ひつじはねこ

この世は今や全てが闇に支配されていた。
この国には今、太陽は昇らず、月も光を暗き暗雲に隠 されて今は昼なのか夜なのかすら分からない。そんな中人々はこういつも思っただろう。
「本当に光輝く月や太陽などあるのだろうか・・。平和とはなんだろう」
そう、今のこの世界に月も太陽も存在しない。そんなものは遠い遠い過去に忘れ去られ、今では言い伝えくらいにしか出てこない。人々はまぶしい日差しや淡い月の光を目にした事がないのだ・・。かつてはこの国も緑豊かだったという事も今は誰も知らない・・
 
そんな国にもいくつか小さな集落があった。しかし最近は魔物や災害でいくつも村が消えていった。近隣の村人は恐れていた。
「いつかこの世界は崩壊する・・濃い闇に音もなく飲み込まれるように。太古の神々に見捨てられたのだから」 誰もがそう思った。これからの未来など人には予想すらつかなかった。

とある村に住む少年「ニルク」は今、夢にうなされていた・・。自分の背後から生じる影、それが自分の形になって全てを飲み込んでしまう。と、そこで目が覚めた・・。最近は妙な事にいつも今日と同じ夢をみるのだ。だが今のニルクにはそれがなにを意味するのか分からなかった。正直ただのくだらない夢にしか思えなかった。ニルクは目をこすりながら部屋の戸を開けた。ニルクは今日から、騎士養成学校入試に行くのだ。ニルクはおはようと家族に言った。母はニルクに微笑んで「おはよう、ニルク・・。」と言ってパンと牛乳を差し出した。父は大工でいつも忙しい。「おぅ!おはようさんニルク、お前今日から養成学校の入試行くんだろう?まだ大丈夫なのか?もう8時半だぞ?九時には入試始まるんだろう?」 ニルクはパンをくわえて時計を見て焦った。「フムーーーーーッ」 喉に詰まったパンを牛乳で無理やり流し込んだ。「ご馳走さん!」そう言ってニルクは食器を流しに浸け、二階に駆け上がって行った。階段ですれ違った弟のキリクは言った。「相変わらず兄ちゃんは大変だね。入試行くんでしょ?僕応援してるからね!がんばれ!」 ニルクは「サンキュ!」 と言って部屋に戻った。洗面と歯磨きをすましてから五分ほどしてニルクは着替え終えたのか、部屋から出てきた。短い金髪でウルフにされた整った髪。耳にはピアスと銀のカフスをしている。服装は中に白の長袖緑の半袖で、腰に茶のベルト、ベージュのズボンに茶色い革のブーツ。そして腕には茶色のグローブだ。そして剣と盾を背にしょっている。「兄ちゃんかっこいい!まるで勇者みたい!勇者ニルクは勇者!」 キリクが手をたたいて言った。ニルクは時計を見て、階段の手すりに足をかけて一気に滑り降りた。外へ出て行こうとしたニルクを母が止めた。「ちょっとまちなさい。今日はお前にとって特別な日なんだから!ちょっとここまで来て?目をつぶって。」 ニルクは言われたとおりにした。「はい、目を開けてごらん?」 ニルクは目を開けて首もとをみた。綺麗なペンダントだ。鳥の翼の上に掲げられた金色の三角形。キラキラ輝いている。ニルクは言った。「いいの?こんな高価なもの・・。」 母は言った。「いいのよあげる。それはね、昔・伝説の勇者に宿っていたという「勇気のトライフォース」のかけらのお守りよ!きっと貴方を助けてくれるわ!ほら!早く行きなさい!もう45分よ!がんばってね!」 そういうと母はニルクの背を押した。ニルクは「うん!」 とうなずいて。馬小屋に行った。自分の馬を出して、すぐに養成学校に向かった。
 
この国の平原はとてもひどく荒廃していた。草木は枯 れはて、川の水も枯れて生き物など一匹たりともいな かった。しばらくして養成学校が見えてきた。馬を急 がせた。
養成学校のある町はこの辺りでは一番豊かだ。食料も ある程度あるし、皆この町に買い物に来るのだ。だが この町も幾度となく魔物に襲われて被害をうけてい る。ニルクは町に入り、養成学校の前に馬をとめた。 受付には四十人程人が並び、自分の番を待っている。 しばらくして、ニルクの番がきた。いきなりの実戦で ある。相手は騎士二人。合格条件は自分がダメージを うける前に相手を討てということだ。始めの鐘が鳴 り、ニルクは一気に踏み込んだ。相手の騎士も同時に 踏み込んだ・・騎士が言った。「小僧!俺に勝つつも りでこい!!」 ニルクは「少なくともそのつもり だ!」 と言って剣を振り下ろした。「速い!」 騎士は 何とか剣でニルクの剣を受け止め、振り払ったその瞬 間 ニルクは剣を剣をクルリと180℃向きを変えて そのまま突き刺した。騎士は剣を落として言った。
「まいったな・・君の名は何だい?」 ニルクは剣をし まって言った。「ニルク・マギナンです。貴方の名 は?」 すると騎士は言った。「私はジェルディアナ・ ギルバスだ。ニルクか・・合格おめでとう今日から君 も我等の仲間だ!よろしくな!ニルク!」 ニルクは 「ええ、よろしく」 と握手した。しばらくして合格書 を貰い、村に着いた時だった・・・・。あの夢で感じ た恐ろしい邪気を感じたのは・・。でもニルクは気の せいだと馬を走らせた。
村に入った瞬間、一瞬にしてあたりは火の海になっ た。ニルクは家に向かって走った。「父さん!母さ ん!キリク!皆無事でいてくれ!」 ニルクは家の戸を 開けた。すでに火が中に回り込んでいた。そこで目に したのは・・横たわる両親、よく見ると魔物に襲われ て深い傷を負っていた。ニルクは上に駆け上がった。 さいわいキリクは深い傷は負っていたがまだ息はあっ た。急いで外にキリクを連れ出したニルクは、キリク を横たわらせた。その瞬間後ろから魔物が現れてニル クを切り殺そうとした。ニルクはキリクを守りながら 戦った。何匹いただろうか・・。10、いや20はいただ ろう・・。全ての魔物を倒した後ニルクはキリクを抱 えた。キリクの小さなまぶたが半分だけ開いた。「兄 ちゃん・・助けて・・このままじゃ・・・み・ん な・・殺されちゃう・・兄ちゃん勇者なんだもん・・ 皆助けてあげて・・・。」 その瞬間キリクの小さなま ぶたがゆっくりととじた・・・・。ニルクは何度も呼 びかけた「キリク!キリク!返事しろ!キリク・・・・。」 ニルクはキリクをギュッと抱きかかえて大声で泣いた。そしてニルクは旅立った。弟の仇を討つために・・・・。


1st 〜悲しい旅立ち〜 
 2005年6月26日  作者: ひつじはねこ