一筋の光。暗黒の空間にさす唯一の勇姿。光の先には
リンクが横たわっている。死んでいるのか寝ているの
か、ピクリすら動かない。
人が必ず無心になる時、それは死す時。この時以外、
人は何かを思考している。ぼうっとしている時も、も
ちろん寝ている時も。
しかし、例外がある。それは『神に選ばれし者』であ
る。『神に選ばれし者』は寝ている時、周りがどんな
状況・環境にあっても必ず無心になると言うのだ。
今のリンクは、まったくその通りであった。内面はど
うかはわからないが、外面だけで見ると無心そのもの
である。
どの箇所を見ても完璧に静止していて、小さな鼾どこ
ろか、呼吸も行っていないように見えるほどだ。
いや、本当に息をしていないのかもしれない・・・。
しかし、一分が経つと彼の指が、五分後には寝返りを
打つようにまでなった。
彼は、次の日には目覚めたが、妙な記憶が頭に残って
いた。夢か、それとも現実か。記憶はこう覚えてい
る。
『一筋の光、世界を平和とす。が、その光、森の迷路
を通り、高き山を登り、深き湖にもぐり、暗黒の中をさまよい、
砂の嵐の奥に地下水路を見いだし、
さらに奥にある聖地に納められし聖剣を手にし、
闇を倒し平和を築くという長く辛い道のりを経る。
しかし、この平和は一時的なものでしかない。
永遠の平和を得るには、…。
リンクが思い出せたのはここまでだった。
この先はどれだけ思い出そうとしても、
頭の何かにつっかかって出てはこない。
まるで、頭が思い出すなと言ってリンクの行動を邪魔するかのように…。
リンクが目覚めたとき、最初に目に入ったのは、
円形の窓からまばゆく降り注ぐ一筋の光だった。
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