- ゼルダの伝説 オリジナル小説 -
第5章「強敵の出現」・・・前編 作者:バッタ


チロル川では、モンスターを見かけることもなく、リ ンクは平凡な旅を楽しんでいた。 その小さな旅の途中、リンクはなくしていたハイラル の盾を見つけ、さらにはファイアルビーという火を起 こす事のできる珍しい石をいくつか見つけた。

出発から二日目の正午、ガントツ爺さんに落とされた ところを通ったが、リンクは顔を落とし知らないふりをして通り過ぎていった。


そして、出発から4日後、ようやくチロル山の頂上付近まで登り詰めた。
 「ふぅ・・・。たった4日でつけるとは驚きだな。」
シットが苦笑いをしつつそういった。しかし、リンクはのんきにこういって見せた、
 「そうなんですか?」
こんなのんきなリンクの返答にシットは唖然とした顔
で言い返した。
 「お前知らないのか?チロル川もチロル山も魔物の住処として有名なんだぞ!」
だが、それでもリンクは、「へぇ・・・。」のひとことだけだった。
 「へぇ・・てなぁっ・・。はぁ・・、まあいいや。」
しかし、あと少しで頂上だというのに段々霧が濃くなり先がまったく見えなくなった。 それでも、リンクとシットは前へ進んだ。

そして、日もくれようとしていた時、
どこからともなく謎の建物がリンクとシットの前に姿を表した。
 「ん、これが・・・神殿・・・なのか?」
少し考えると、シットは棒読みでこういった。
 「・・・・・・リンク、見に行ってきてくれないか?
  俺は外で待っているから。」
 「一緒に行かないんですか?」とリンクが顔をかしげいった。
シットは少し恥かしそうにこういった、
 「もし、あそこが神殿だとしたら、また本みたいに電気を喰らっちまうかもしれないからな。」
その答えに苦笑いで答えて、リンクは神殿へと向かって行った。

チロル神殿の中は別に複雑でもなく大きな広間がひとつだけあった。
その真ん中に“光るもの”が納められている石製の台があった。リンクが恐る恐る近づいていくと、その姿がはっきりとわかってきた。どうやら光っているものは石で、勾玉のような形をしていた。それも、あの本の窪みとよくにていることがわかった。
リンクがそれを手に取ろうとしてみた瞬間だった。後ろから声が聞こえたのは・・・
 「待て、時の勇者リンクの生まれ変わりよ・・・。」
 「なにっ!?」リンクが振り向くとそこには黒いフー
ドをかぶった“何者か”がいた。
 「誰だあんたは?」
 「私か?・・・私はロギイ。ある方に命じられてお前の行動を邪魔するようにといわれているものだ。・・・場合によっては殺してもいいとおっしゃってくださった。」
その言葉に一瞬驚いたリンクだったが、段々外にいたシットのことが心配になってきた。
 「・・・・・・外にいた人はどうした?」
このリンクの問にロギイとなのった男は、くすくす笑いながら答えた。
 「ん?ああ、あの命知らずな男か。安心しろ、死んではいない。」
 「くっ、お前・・・!」
リンクはその答えを聞いた直後、剣を引き抜き盾を構えた。
 「ほう、やるきか・・・。よかろう。なら、この技を避けて見せろ!」
そういいながらロギイとなのった男は手に紺色の球を作り出した。
 「行くぞ。」
そう一言言うとロギイは手に作っていた球をリンクに向かい投げた。
リンクは避ける暇も無く、構えていた盾は真っ二つになり、その衝撃でリンクは壁にたたきつけられた。それを見たロギイは、顔をしたにむけてこう呟いた。
 「これが本当に時の勇者リンクの生まれ変わり? あれ位の攻撃を避けられないとは・・・。」
ロギイは再び紺色の球を作り始めた。それもさっきより大きいものを。
 「くっ・・・。このままじゃ・・・絶対に・・・・・やられる!!」
しかし、リンクは意志とはまったく逆に力が抜けていった。
 「終わりだ!」
そういうと、ロギイはリンクに向け紺色の玉をリンクに向って投げつけた。
今のリンクにこれをかわす術はない。



第5章「強敵の出現」・・・前編
 2005年6月19日  作者:バッタ