- ゼルダの伝説 オリジナル小説 -
第二章「チロルで・・・<後編> 作者:バッタ


リンクはガントツ爺さんの家へと向かっていた。
今から、10分ほど前、町庁へ向かう途中で自分(ガントツ)
の家の方に向かっているガントツを見かけたからだ。
ガントツはハイラルトップ3に入る鍛冶屋であり、チロル一の町好き、
頑固者(根は優しいが)で、負けず嫌いでもある。
町好きに頑固者、負けず嫌い・・・
この三つと自分の家に向かっているということ
(ついでに言っておくとガントツの家はチロル一の武器庫と言われている)
によりモンスターが襲ってきても維持でも町を守り続ける
ということになる可能性がないともいいきれなかった。
それを心配したリンクはガントの制止を振り切って、
単独でガントツの家へと急いでいたのである。
途中で数回、ゴブリン数匹とあったが、それを瞬時に
蹴散らしガントツの家へと猛ダッシュで向かった。

リンクがガントツの家に着くと家の前に完全武装し、
いつもと違った目のガントツがいた。

「ガントツ爺さん!」
そうリンクが叫んだが、ガントツ は冷静な目のまま武器を下ろした。
「リンクか・・・。驚かせよって。」
そういうと、ガントツは首を鳴らした。
「そんなことはどうでもいいから、早く逃げよう!」
このリンクの疲れとあせりの声に対して、ガントツは
冷静で、ドシッとしたしっかりした声でこう言った。

「そうはいかん。モンスターから町を守る使命があるからの。」
この言葉が終った瞬間、リンクは確信した、自分の予想が当たっていたことを。
だが、この一言でさえリンクに反論をゆるさなかったし、
リンクに“あきらめ”という感情をわき上がらせるほど、
普通の時の声とは“何か”が違っていた。
それから数分、これから如何するべきか考えるための時間稼ぎ
のための会話をしていたリンクの背後から、ゴブリンが近づいてきた。
少し、異様な形の。

「ダ・ゴブリンか。調度いい、腕直しにはちょうどいいかな。」
ダ・ゴブリンとはゴブリンの一つ上の種類でゴブリンの群れの1つ
(ゴブリンが約50〜100)に3〜5匹程度しか居ない。
はずなのだが、その時のダ・ゴブリンの数は10を超えていた。

「ガントツ爺さん、無理だって!それよりも逃げよう!」
それに対し、今までと違い少し優しい声で
「リンク、これを持ってくれ。」
といい、リンクに少々分厚い本を押し付けた。
「何?これ・・・?って、うわっ!?」
ガントツはリンクがそれに気を取られている隙に、後ろにある谷にリンクを突き落とした。
「“時の勇者の生まれ変わり”ならば、これくらいでは死ぬまい。
 後は任せたぞ・・・リンクよ。さて、先ずはあいつらを片付けるかな・・・。」

ガントツはリンクが見えなくなるのを確認すると大剣を持っている手に力を入れた。
すると、手から緑色の光が溢れ出した。
そして、精神を集中させ、ガントツが大剣を一振りすると、
凄い衝撃がガントツの前方に広がり、それが過ぎ去るとダ・ゴブリンの動きが止まっていた。
そして、次の瞬間。ダ・ゴブリンは爆発して塵になってしまった。
一息つくと、ガントツはその場から町へと向かった。
その後のガントツの行方を知るものは居ない。



第二章「チロルで・・・<後編>
 2005年4月30日 作者:バッタ