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2011年の修羅の行列


私の今日を


不幸をヒトのせいにする母は

幸せもヒト任(まか)せにしてきた

私があいつと別れた夕べ

私の中でそんなハハが泣いていた



自分勝手で頑固な父の

口癖はヒトに優しくだった

私が独りで目覚めた夜更(ふ)け

鏡の中でそんなチチが睨(にら)んでいた



それも私

それが私

それでも私



ハハの涙を拭い  拗(す)ねるチチをなだめ

窓を開けて朝日を吸おう

私の今日を始めるために





       2011年12月21日
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ブタの幸せ


ブタはベチャベチャランチを食べながら

隣のブタを横目でにらんでいた

あんたは気付いてないようだけど、私の方がご馳走なのよ

取られないよう気をつけなクッチャクッチャ



ブタはゴシゴシブラシを掛けられながら

隣のブタを横目でにらんでいた

あんたはきれいなつもりだろうけど、私のわき腹見てご覧

ずっときれいに磨いてもらっているルンルン



お前は誰よりおりこうさん

素直に太ってくれてありがとう

お前のお蔭で私ら一家、何とか冬を越せそうだ



ブタは乾いた寝ワラでイビキをかいて

昨日の美味しいご飯の夢を見ている

最期の明日など思いもよらないブタの幸せ



       2011年11月24日
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今をまた


コドモの時、鬼ごっこをしなかったわたしは

いま、ダレカを追い駆ける鬼になっている

コドモの時、かくれんぼをしなかったわたしは

いま、ダレカに見つけてもらいたがっている



少女の時、恋に身を焦がさなかった私は

妻になったいまになって、恋を求めている

少女の時、夢を見つけようとしなかった私は

母になったいまになって、夢を探している



遣り残しの宿題ならば今片付けられても

遣り残しの過去は取り戻しようもなく

いま、今をまた遣り残していく



いま、コドモを遣り残したままの少女は

やがて、ショウジョを遣り残したままの母になるのか

それとも、ハハになれないままの母になるのか



       2011年11月14日
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片刃の正義


正義は片刃の剣
(つるぎ)

自分に楯
(たて)突く相手を敵と見なし

自分に刃向う相手を悪と決めつけ

一方的に切り付ける



正義は片刃の剣

振りかざしても自分は傷付かず

振り下ろした刃の背に手を当て

相手の首を切り落とす



善意の陰の傲
(おご)

誠意に覗く侮
(あなど)

同情に透ける嘲
(あざけ)


正義の剣を帯びる者よ

切り裂かれた者の血を見るがよい

それが君と同じ赤色であることを



       2011年11月14日
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実験室


試験管の水に電気を流したら

水は水素と酸素に分かれた

そこに火花を散らしたら

水の滴が結ばれた



クラスに微妙な空気が流れ続けて

みんなはバラバラになっていた

それに火を付けた奴がいて

みんなの頬に涙が伝った



学校の実験室は理科室だけじゃない

昼休みの教室、放課後のクラブボックス

体育館の裏、外階段の踊り場、トイレの個室も自立のための実験室



理科の実験は安全第一だけど

人生の実験は挑戦第一

たくさんの失敗を重ねて大人になろうじゃないか



       2011年11月14日
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ジャングルの夢


大地に寝そべるジャングルが

夢見る御馳走は唯一つ

ゆらゆら沈む太陽を

まるごとごくりと飲み込むこと



深い緑に青い水

たっぷり湛えているけれど

あんなに大きな赤い色

飲んだらどんなに美味しかろう



朝は真珠を溶かし込み

昼には金のシャワーを降り注ぎ

夕べは獣の血を流す



ずっしり闇を抱き込んで

ジャングルは夜明けを待ち構えている

次に昇る太陽が空から落ちてくる時を




       2011年11月11日
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花を贈る


山があるから登る人がいるように

花があるから私は贈る

花ならどれでもよいわけではなく

似合う花を選びます



あの人には紫陽花を

その人には撫子を

この人には椿を



贈る相手がいなくなったら

花は黙って実を付けるでしょう



花は売らずに贈るもの

花は買わずに育てるもの



花がなければ種を蒔いて水を遣る

花が咲くから私は贈る

相手は誰でもよいわけではなく

喜ぶ人を探します



向日葵ならあの人に

桔梗ならその人に

菫ならこの人に



私が水遣りできなくなったなら

陽が射し雨も降るでしょう



花は売らずに贈るもの

花は買わずに育てるもの



       2011年11月9日
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瞳の洞窟


湿った闇の奥で目を凝らし、独り不安に震えていた

彼方に微かな光が瞬いた時

かすれた声で光に叫んだ

「助けて ワタシはここにいる」



乾いた闇の奥で息を凝らし、独り不安に慄いていた

彼方に仄かな光が揺らめいた時

声を立てずにつぶやいた

「どうか アナタに見つかりませんように」



あなたのホントを知りたくて

あなたの瞳を見つめると

あなたはいつも目を逸らす



暗い瞳の洞窟のずどーんと深い闇の底

光を求める住人と光に怯える住人が

互いを知らずに同居する



       2011年11月9日
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ズル


わたしはいつもウソついて

あなたのご機嫌取っている

あなたはいつもホンネを言って

わたしにどっぷり甘えてる



わたしのウソに気付きもしないで

あなたは無邪気に笑ってる

だからわたしは言えないの

あれもこれもウソだって



あなたはいつも正直な

わたし任せの無責任

自分のズルさに気付きもしない



わたしがホンネを言った日に

あなたは笑って許すでしょうか

それとも黙って去るのでしょうか



       2011年11月5日
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あなたの瞳に


「エコヒイキはしないでください」

確かにあの子は可愛いし

確かにあの子はそうだけど

不公平は許せない



自分に自信がある分だけ

得するあいつが憎らしい

自分に自信がない分だけ

損するわたしが可哀そう



あの子じゃなくてこっちを向いて

みんなの中の一人じゃなくて

わたし一人を瞳に映して



「エコヒイキはしないでください」

だれかの恨みを買わないように

わたしを瞳に閉じ込めて



       2011年11月4日
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ホントのワタシを抱けますか


素直に言えないことがある

言葉にできないホントがある

ホントはいつも傷付き易い

だからウソの殻で守ってる



言葉の裏にはトゲがある

ひっくり返ってヒトを刺す

だから言葉を飲み込んで

独りで痛みに耐えている



アナタに殻が割れますか

トゲの痛みに耐えられますか

ホントのワタシを抱けますか



言葉にできない哀しみと

言葉にしない優しさが

机をはさんで座っています



       2011年11月2日
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汚いあんたを


気分悪くてムカついてても

辺り構わずゲロ吐くな

ゲロはバケツに吐いとくれ

みんなはあんたのバケツじゃない



溜まり過ぎてこらえきれずに

そっこら中でクソを垂れるな

クソはベンキに垂れとくれ

みんなはあんたのベンキじゃない



背中をさすってほしければ

いっくらだってさすってあげる

ほしけりゃティッシュを一箱あげる



あんたが自分で噴き出した

ゲロとクソにまみれていても

あたしはあんたを拭ってあげる



       2011年10月29日
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一杯の愛


心が渇いてたまりません

ライムの青い香り立つ

グラス一杯の愛をください

爪先まで染み透る愛をください



心が冷えてたまりません

ホットショコラの香り立つ

カップ一杯の愛をください

背筋まで温まる愛をください



昨日は神社の鳥居脇

今宵は街の駅裏で

哀しい愛の量り売り



春は桜の花びら浮かべ

秋は色付く紅葉を沈め

愛のおかわりもう一杯



       2011年10月28日
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イノチノハタラキ


ブタのハタラキはブタを殖やすこと

生きたブタにはイノチがあるが

死んだブタには肉と脂と革があるだけ

それはすべてブタの抜け殻



ヒトのハタラキはヒトを殖やすこと

ヒトのためにブタを育てブタを殖やし

ブタを殺し

ブタの抜け殻でヒトは殖えた



ある日ヒトはヒトとは違うジブンに気付いた

ジブンとヒトとは別のもの

果たすべきはジブンのハタラキ

ヒトとは違うジブンのハタラキ



ジブンのハタラキはジブンを殖やすこと

ジブンのためにヒトを殖やしてハタラカせ

ヒトから奪い

邪魔ならヒトを殺しさえした



やがてジブンばかりが地に溢れ

ヒトは地平の彼方に去った

ジブンは地上にひしめき合って

ジブン同士の殺し合い



ジブンはジブンを愛せずに

ジブンはジブンを傷つけた

ジブンはジブンに絶望し

ジブンのジブンを殺してしまった



ジブンを愛せぬジブンになって

愛するジブンも失って

ジブンは独りしゃがみ込み

ジブンの抜け殻見つめてた



日が落ちやがて日が昇り

夜露に濡れた抜け殻が

乾いた風にゆすられて

微かな声で歌いだす



オマエハスデニジブンデハナク

ジブンヲシラヌヒトデモナイ

オマエハナニニイノチヲヤドス

ドコデイノチノハタラキシメス



日が落ちやがて日が昇り

イノチは立って歩き出す

抜け殻残して歩き出す

地平の彼方に歩き出す



       2011年10月22日
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見えないあなた


一人でお箸を使えても

私はお米を作れない

一人でナイフを使えても

私は牛を飼えないし

魚を捕りに海へは行けない



オハヨッて目覚めた時に声掛ける

チュッと頬にキスをする

ギュッと背中を抱きしめる

一人じゃできないことばかり



独りで出来ることはただ一つ

サヨナラ一つ言わないで

この世の生を閉じること



見えないあなたはいつもいる

私はあなたに活かされて

あなたのためにここにいる



       2011年10月22日

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コビンチョ


気が付いたら好きになってた

なぜか知らずにそうなっていた

小っちゃなことで嫌いになった

どうしようもなくそうなった



仲良しこよしは移ろいやすく

小っちゃな自分は頼りなく

あっちへフラフラこっちにユラユラ

行きどころなく漂う小ビン



小っちゃな心に寄せるさざ波

好きでひかれて嫌いでひいて

はじけて消える水の泡



小っちゃな好きしか入れられず

小っちゃな嫌いが溢れ出る

小っちゃな小っちゃな私はコビンチョ





       2011年10月14日
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ヒトになれ


イヌになるな

強い者に擦り寄って尻尾を振り

夜風に怯えて吠え立てる犬になるな

それはイヌのすることだから



ネコになるな

気まぐれに喉を鳴らして甘え

気に入らないと爪を立てるネコになるな

それはネコのすることだから



ニワトリになるな

小さな囲いの中でつつきあい

飛べない羽をばたつかせるニワトリになるな

それはニワトリのすることだから



カラスになるな

ゴミをあさって死肉をついばみ

ガラス玉で巣を飾るカラスになるな

それはカラスのすることだから



ヒトになれ

深い情感を芸術に高め

理想を掲げて夢を追え

それがヒトのすることだから





       2011年10月14日
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大人になる勉強


お母さんにしか子供は産めません

でも産んだだけでは

お母さんにはなれません

子どもに育てられてお母さんになるのです



先生には免許がなければなれません

でも免許があるだけでは

先生にはなれません

子どもに教えられて先生になるのです



子どもは生まれた時から子供です

でもいつまでも

子どものままではいられません



年だけ取った子どもにならないように

君は今 ここで何を学んで

どんな大人なりたいのでしょう




       2011年10月11日
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ドレッシングカップル


彼はいつも健康志向で

血液サラサラなるように

体がやらかくなりますようにと

毎朝欠かさずオスを飲む



彼女はもっぱらガッツリ系で

骨付きから揚げガリガリかじり

フライドポテトをほおばって

アブラまみれの指なめる



それでも二人は結構いい仲

普段は別れて暮らしていても

一緒に踊ればトロントロン



塩やコショウやハーブも加えて

泡立て波立てシャバンシャバン

二人は美味しいドレッシングカップル




       2011年10月5日
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粉々に砕いてください


言葉はいつも嘘をつく

私の思いを伝えない

嘘の言葉に閉ざされて

私の声は届かない



言葉はいつも嘘をつく

あなたに思いを伝えない

嘘の言葉に覆われて

私の姿は闇の中



嘘は私に囁きかける

お前を守っているのだよ

お前がそれを望んだように



言葉の嘘を砕いてほしい

そんな願いも伝わらない

あなたにさえも伝わらない




       2011年10月3日
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すっぱいあなた


わたしはすっぱいものが好き

レモン、ピュレグミ、ヨーグルト、酢だこ、梅干し、ゆずポン酢

すっぱいものはおいしいし体にだっていいんだから

なのにあなたはすっぱいものはダメだという



熟していない青リンゴ、期限の切れたロースハム

すっぱい味やすっぱい匂いは体に毒な危険のしるし

動物ならば避けるのに人間だけが口にする

そんなリスクを背負うのはおれは御免こうむりたい



ハンバーガーのピクルスを指で挟んでつまみだし

コンビニ弁当の小さな梅をはしの先で横によけ

サラダのハムを嗅いでいる



あきれたもんだとバカにはするけど

わたしはあなたが大好きよ

だってあなたの靴下はすっぱい香りがするんだもの




       2011年9月10日
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悪くて悪いか


父は目が悪いから

眼鏡をかける

    私は人が悪いので

    迷惑をかける



祖父は耳が悪いから

補聴器をつける

    私は機嫌が悪いと

    難癖をつける



母は口が利けないから

手話を覚えた

    私は鼻が利かないけど

    気にしていない



祖母は足が悪いから

車椅子を押してもらう

    私は覚えが悪いので

    繰り返し教えてもらう



悪くたって

ちゃんと生きてる

    悪いだろうけど

    悪くて悪いか




       2011年9月12日
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負荷不可


熱くてやけどしそうな願いを

私にあびせかけないでください

いくらあなたの胸の中で

それが沸騰していても



重くて背骨が折れそうな願いを

私にのしかけないでください

いくらあなたの腕の中で

それが軋んでいても



じっと待って

そっと待って

負荷は不可



私に宿る願いは

ふかふかの綿毛に包まれて

いま孵りかけているところです




       2011年7月22日
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光の結び目


えっ?わたしにとって一番大切なものはなにかって?

そう、それはもう失われた過去

遠ざかる記憶の闇の奥底から

微かにわたしを照らしてる



えっ?今あるもので一番大切なものはなにかって?

それなら、わたしのまだ見ぬ未来の夢

果てしなく拡がる天の真ん中で

わたしを導く北極星



思い出を持たない悲しみ

夢を持たないむなしさ

形あるものへのこだわりから抜け出すこと



過去と未来の結び目で

二つの光に支えられ

わたしは凛と生きていく




       2011年9月8日
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野分待つ  落ち着かなさも また楽し


うらみになみだを


あなたはわたしをあざむいた

いく度もかわいた嘘をつき 数え切れない隠しごと

しらばっくれてしらを切り しめっただんまり決め込んだ



それでもわたしは信じてる

今はそんなあなたでも いつかはきっと変わるはず

その日が来るのを信じてる



わたしはあなたを知っている

つめたい悪意はないけれど あなたが約束破ること

ほのかな熱意はあるけれど あなたがそれをしないこと



わたしにすべては分からない

今のあなたのじれったさ 今のあなたのひっかかり

それでもあなたを愛してる



うらみになみだをぬぐっても

あなたの明日を信じてる

あなたの今日を愛してる




       2011年9月1日
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あたふたと  想定内の  嵐待つ


それでいい


地面すれすれの低空飛行でも

墜落しなけりゃそれもあり

小さな空地を見付けては

燃料補給すればいい



めったに浮かばぬ潜水艦でも

沈没しているわけじゃない

静かな入り江に立ち寄って

空を眺める日があればいい



人は鳥や魚にあこがれて

星やあの世にあこがれて

道具と神を造り続けた



人は大地を歩くもの

肩寄せ合って眠るもの

あなたがいればそれでいい




       2011年7月19日
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蝶々は 梅雨の晴れ間に 朝ご飯


A ku I


人は他人
(ひと)を愛すると

他人に囚われ

他人を失うことを恐れ

他人を奪おうとする他人を憎む



自分を愛する人は

自分を傷つける他人に怯え

自分を無視する他人に怒り

自分を愛さぬ他人を恨む



愛の芯には苦が宿る

愛するほどに苦は燃える

悪意となって他人をやく



悪意漂う人の世に

愛に渇いた人がいる

苦に満ち満ちた人がいる




       2011年6月28日
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昼日中 人の血を吸う 身重の蚊


二発目の銃弾


今、生きている者に必要なのは


獣から身を守り獲物を仕留める人の知恵

人は獣でも獲物でもないことを悟る人の知恵

奪い合うのではなく分かち合って生きる人の知恵



気が付いた時


親娘を狙う銃口がそこにあった

親は娘を背中に庇い身を盾とした

銃は無表情に一発の銃弾を放った

親はその身に弾を受けて倒れた



親はたった一つの命を失った


失いたくないたった一人の

娘のために失った



倒れた親の後ろで


娘は銃口に身を曝してそこにいた

悲鳴も上げずに立ち竦んでいた

銃は無表情に二発目の銃弾を放った

娘はその身に弾を受けて倒れた



娘はたった一人の親を失った


守ってもらったたった一つの

命を守れず失った



死んだ親娘に必要だったのは


鋼の盾と鋭い剣

助けを求める声と逃げのびる脚

それとも天に召される信仰だったのか



2011年6月20日

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青虫の食べ残したるミントの香


見えぬゾワゾワ


一雨ごとに虫が湧く


光の差さぬ地の上で

シロアリムカデダンゴ虫、黒いゴキブリ白いウジ

ゾワゾワゴソゴソ蠢いて

落葉の中を這い廻り、小枝の隙を縫いながら

ふやけた木の実や朽ちた幹、腐れた死骸を取り巻いて

ゾワゾワゴソゴソ食い破り

知らずに土を肥やしている

たゆまぬ虫は常に無私

気付かぬ人は常に無知

飼われぬ虫のたくましさ



一雨ごとに虫が湧く

一人ひとりの身の上で


腹の虫やら疳の虫、浮気の虫にジンケンムシ

ゾワゾワモゾモゾ蠢いて

人の影を這い廻り、心の隙を縫いながら

黒い噂や赤い恥、黄色い息をまき散らし

ゾワゾワモゾモゾ悔いもなく

知らずに人を壊している

はびこる虫は常に無恥

傷付く人を常に無視

おのれの虫を飼いならせ



       2011年6月17日

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村の噂


しばらく住んだ村のあぜ道で

おばさんたちが和やかにおしゃべりをしている

会釈をして通り過ぎようとすると

「毎朝目刺しばっかじゃ精がつかんだろう」と声掛けられた

どうしてうちの朝ごはんのおかずを知っているのか?

返事に困って戸惑う私の顔に

「うちの鶏の卵、ほしけりゃ取りにおいで」の笑顔



平和な田舎の風景を支えているのは人の噂

誰がどこで何をしているのか誰もが気にかけ噂をし合う

あることないこと悪い噂を立てられぬよう

世間の陰に光る目に陰の陰から目を光らせる



街の暮らしに疲れた身には田舎暮らしは暖かい

田舎暮らしは窮屈で街の暮らしにあこがれる



しばらく住んだ島の食堂で

おじさんたちが親しげにおしゃべりをしている

塩サバ定食を頼もうとすると

「フェリーで来た人は恋人か?」と声掛けられた

どうして昨夜人が訪ねて来たことを知っているのか?

あれは兄ですって答えようとする矢先

「島に子供が増えるのは大歓迎さ」の笑い声



単調な田舎の風景に色を添えているのは人の噂

誰がどこで何をしているのか誰もが気にかけ噂をし合う

面白おかしく噂にされていないか

世間の風の囁きに息を凝らして耳を澄ませる



街の暮らしに疲れた日には田舎の空気は清々しい

田舎暮らしは窮屈で街を目指して人は発つ



2011年6月11日

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ドクダミの花に  心を癒しおり


光の影に宿るもの


嫉妬はあこがれの影?

あの人が持っているのに

持っていない私の  悔しさ

嫉妬の深さの分だけみじめになる



嫉妬はプライドの影?


あの人ばかりがなぜ

負けを認めたくない  苛立ち

嫉妬の深さの分だけ傷は深まる



許せないあんな人 こんな私


内に揺らめく炎を隠せないのは罪?

私を救えるのはあなた? それとも私自身?



嫉妬は恋しさの影?


独り占めしたいしされたいし

嫉妬の深さの分だけ深まるのは愛?  それとも




        2011年6月7日
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紫陽花の色  変えるのは 土の精


言葉で育てる愛

      よい批評は相手の特徴をつかみ取り

      導き育てるもの



      優れた批評は相手の気付かぬ良さを発見し

      飛躍させるもの



      悪い批評は誰もが気付く悪さをあげつらい

      打ち砕くもの



      自分好みをほめ、気に食わぬものをけなすのは

      自己満足



      批評が語るのは語る人の知性と感性

      そして愛



      異国の神は天地を「光あれ」の一言で創造したという

      私はどんな言葉で何を生み出すことができるだろう



       2011年6月6日

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タンポポに キスするごとく 綿毛吹き


ひとりとみんな

今そうしていたいなら

一人で座っていたっていい

君も分かっているように

どこにいようと独りでは生きていられない

誰もの隣に誰かがいて

気付かない何かの支えがそこにあるから

一人の自分も生きているってことを忘れなければ



今そうしていたいなら


みんなと騒いでいたっていい

君も気付いているように

みんなと居ようとみんな一緒はあり得ない

みんなは違う一人のあつまりで

違うみんながみんなの周りにいくつもあって

どれも同じに大切だってことを忘れなければ



2011年5月10日

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新緑を ゴクリゴクリと 鯉のぼり


拙い私


悩んでいる私


困っている私

黙っている私

気付いてもらえない私がいる

自分の殻を脱げない私

どうしたらいいかってことぐらい分かる

分かっていてもできないのが私の拙さ



余裕のない私


視野の狭い私

自己中心の私

気付いてあげられない私がいる

それに気付けない私の幼さ

どうしたらまずいかってことぐらい分かる

分かっていてもできないのが私の拙さ



見過ごしてしまう私


巻き込まれたくない私

偉そうにと思われたくない私

気付かせてあげられない私がいる

私に足りない優しさと強さ

どうしたらいいかってことぐらい分かる

分かっていてもできないのが私の拙さ



2011.04.28

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春雷に 何だか忘れた 探し物


素直な目で

  素直な目で世の中を見つめると

  常識の非常識が見えてくる

  非常識の勇気が見えてくる

  誰かが掲げた正義の向いに  はためく

  もう一つの正義が見えてくる



  素直な目でその人を見つめると

  強がりの弱さが見えてくる

  ぶっきらぼうの優しさが見えてくる

  誰もが何かを抱えながら  何かを

  背負って歩く姿が見えてくる



  素直な目で自分を見つめると

  隠した嘘が見えてくる

  隠れた願いが見えてくる

  誰にも言えないことだけど  もっと

  素直になりたい自分が見えてくる



2011.04.22
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葉桜を 仰ぐ背中の  しなやかさ


いつもここに

    夢が壊されたって嘆く人がいるけど

    そんなことはないさ

    夢は形のないものだから

    自分があきらめない限りここにある



    魂を傷付けられたって嘆く人がいるけど

    そんなことはないさ

    魂は神様が下さったものだから

    誰も傷つけることなんてできやしない



    愛が失われたって嘆く人がいるけど

    そんなことはないさ

    愛は自分の内から湧いてくるものだから

    どこにも行きはしない




2011.04.13
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午後の陽の さくら吹雪に 埋もれたい


摩擦が生む光

私は磨く

靴を磨く、床を磨く、窓を磨く、便器を磨く

ピカピカになるとうれしいのは

私の努力が光るから



私を磨く

歯を磨く、肌を磨く、腕を磨く、女を磨く、知性を磨く

歯と肌はツルツルになるけれど

他のは磨けているか分からない



母が私を磨けば

私の光は母の喜び、私の曇りは母の悲しみ

父が私を磨けば

私の光は父の誇り、私の曇りは父の苛立ち

私が私を磨かなければ

光は私のものにはならない



付いた汚れを取るだけなら、柔らかな布で拭えばいい

楽をしたいなら、艶出しワックスを塗ればいい

でも私は、本当の私の光を放ちたいから

痛みに耐えて、私より硬いものと擦れ合う



2011.04.11
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スロープのさくら待ちたる 学びの舎


未知の器


形の固まった大人なら  無理して自分が壊れないよう

自分になじんだ形を守るのもいい

でも  君はまだ柔らかな娘

傷つきやすい分だけ  可能性に満ちている

過去の自分にとらわれず  今の自分のままではない

未知の形を求めよう

何かに合わせるのではなく

誰かに型押しされるのでもなく

自らぐっとひろげて  ぐいっとひねって

思いのままに形を作ろう

思いがけないことになっても  思わぬ発見を楽しもう

疲れてきたら休み休み  力が湧いたら続けよう

今  大切なのは傷つかない堅さじゃなくて

傷つきやすい柔らかさ

今  必要なのは傷つくことを恐れない勇気

柔らかさを保つ愛の潤い



2011.04.07
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