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2007年の修羅の行列

うつむかないで

晴れた空を見上げもせず

うつむいたまま歩くのは

空の青さが恐いから

心に染みて痛いから



地平線に夕陽が落ち

闇が街を閉ざしたころ

小さな溜息つきながら

にじんだ星を見上げてる



うつむかないで

空の青さに身を浸し

生まれ変わりたい



君の笑顔を見つめられず

うつむいたまま話すのは

澄んだ瞳が恐いから

隠した傷が疼くから



ドアの向うに君が去り

残した紅茶が冷めたころ

冷えたカップを手に取って

映る自分を見つめてる



うつむかないで

瞳に君を映しつつ

想い告げたい



2007.11.14

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宇宙共済「ウルトラの星」

怪獣映画を観るたびに

思わず想うことがある

ゴジラやモスラやガメラが

潰して燃えた家



心配御無用御安心

月々わずかの掛け金で

あなたの家を守る

ウルトラ火災



    ワンダバダバ  ワンダバダバ

    暮らしを守る  ウルトラの星



毎週テレビを観るたびに

ぼんやり想うことがある

バルタン星に残された

妻と子どもの未来



心配御無用御安心

宇宙の果ての支店でも

24時間受け取れる

ウルトラ生命



    ワンダバダバ  ワンダバダバ

    いのちを守る  ウルトラの星



毎朝ニュースを見るたびに

密かに想うことがある

隣の国の目障りな

あいつを何とかできないか



心配御無用御安心

先制攻撃特約で

敵を倒す怪獣を

ウルトラ防衛



    ワンダバダバ  ワンダバダバ

    平和を守る  ウルトラの星



2007.10.26

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風待ち歌

たとえ嘘でも「ここに居て」って

云ってくれるの待っていたわ

だけどそれは儚い夢

夢見ている間にあなたは去った

丸い地球の上に乗り

まわる私の人生

くるくるまわる風車

風を受け



たとえ嘘でも「ここに来て」って

呼んでくれるの待っていたわ

だけどそれは果たせぬ夢

夢見てる間にあなたは死んだ

流れる星にまたがり

消えるあなたの姿

青い地球に見送られ

さようなら



夢でもいいから「帰って来て」って

独りつぶやき待っていたわ

だけどそれは叶わぬ夢

夢が覚めてもあなたはいない

朝日に染まるベランダに

ゆれるレースのカーテン

今日も風が吹いて

いるだけ



2007.10.19

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汝弥陀 (namida)

na mida  a mida

悲しみに暮れた夕べ

a mida  na mida

痛みに耐えた朝
(あした)

浮かぶ涙に宿るものは

慈しみ深き救いの光



na mida  a mida

na mo a mida



na mida  na mo a mida

悲しみ抱きとめる

na mo a mida  na mida

痛み掬
(すく)い取る

(こぼ)れた涙受けるものは

優しい腕
(かいな)と大きな胸



na mida  na mo a mida

na mo a mida



2007.10.17

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汝弥陀 (namida)  改作

na mida  a mida

悲しみに暮れた夕べ

a mida  na mida

痛みに耐えた朝
(あした)

浮かぶ涙に宿るものは

慈しみ深き救いの光



na mida  a mida

悲しみ抱きとめる

a mida  na mida

痛み掬
(すく)い取る

(こぼ)れた涙受けるものは

優しい腕
(かいな)と大きな胸



na mida  a mida

悲しみを力に変え

a mida  na mida

痛みを優しさに変え

涙をぬぐい見つめるのは

(あした)に薫る一輪の花



na mida  a mida

na mo a mi da



2007.11.19

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地球の溜め息

夕星(ゆふつづ)(とも)る  夕間暮れ

涙に暮れてうつむく

娘の零
(こぼ)した涙を

土が掬
(すく)

消えては浮かぶ青空の

雲は  地球の溜め息

だから見ているだけで

切ないの



明星
(あかぼし)残る  東雲(しののめ)

泣き明かして眠る

娘の頬の涙を

風が拭
(ぬぐ)

窓のガラスを伝う

雨は  空の涙

だから見ているだけで

切ないの



雲は地球の溜め息

雨は空の涙

だから見ているだけで

切ないの



2007.10.12

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交差点のラブソング

横断歩道の縞縞が

三途の河の釣橋に

浮かんで見える宵の街

私は決まってこの角で

ギター抱えて唄ってる

タララッタ  タラリッタ  タラルラ  リレロ



向いの信号赤になり

誰もが足止め聞いている

七つの祝いの「通りゃんせ」

だけど誰も聞いてない

私の陰気なラブソング

足も止めずに行き過ぎる



あなたの背中に  タラリッタ  リレロ

私今日も  タラリラ  ルラロ

あなたが私に気付くまで

タララッタ  タラリッタ  タラルラ  リレロ

タララッタタ  タラリッタラ  タラルッタラ  リレロ

タララッタタ  タラリッタラ  タラリララ  ルラロ



横断歩道の縞縞は

這いつくばった縄梯子

昇りもできず降りもせず

私は決まってこの角で

ギター抱えて唄ってる

タララッタ  タラリッタ  タラリラ  ルラロ



向いの信号青になり

誰かが思わず鼻歌で

七つの弔い「通りゃんせ」

だけど誰も唄わない

私の切ないラブソング

気にも留めずに行き過ぎる



あなたの背中に  タラリッタ  リレロ

私明日も  タラリラ  ルラロ

あなたが私の歌唄うまで

タララッタ タラリッタ  タラリラ  ルラロ

タララッタタ  タラリッタラ  タラルッタラ  リレロ

タララッタタ  タラリッタラ  タラリララ  ルラロ



2007.10.09

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参考 :  『通りゃんせ』    作詞・不詳 本居長世 編・作曲
通りゃんせ 通りゃんせ
ここはどこの 細通じゃ
天神さまの 細道じゃ
ちょっと通して 下しゃんせ
御用のないもの 通しゃせぬ
この子の七つの お祝いに
お札を納めに まいります
行きはよいよい 帰りはこわい
こわいながらも
通りゃんせ 通りゃんせ
通りゃんせ 通りゃんせ
ここは冥府の  細道じゃ
鬼神様の  細道じゃ
ちっと通して  下しゃんせ
贄のないもの  通しゃせぬ
この子の七つの  弔いに
供養を頼みに  参ります
生きはよいよい 還りはこわい
こわいながらも
とおりゃんせ とおりゃんせ

フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』より


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さまよえるドザエモン

浮腫んだ空に蒼ざめ

ビルの谷間プカプカリ

街の何処にもあたしの

吸える空気はとうに無く

見果てぬ夢に浮かぶ

あたし街のドザエモン


プカリプカリさまよって

昇る昇るターミナル

上り詰めたホームから

プカリプカ  空の果て

プカ プカプゥ

プカ プカプゥ


浮腫んだ月に蒼ざめ

ビルの谷間ユラユラリ

街の何処にもあたしの

吸える空気はとうに無く

見飽きた夢に沈む

あたし街のドザエモン


ユラリユラリさまよって

降りる降りるターミナル

着いたメトロのホームから

ユラリユラ  地の果て

ユラ ユララ

ユラ ユララ



2007.09.29

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Melt down  Melt away

メルトダウン  メルトアウェイ

なんて優しい響き

分子の鎖解(ほど)かれ

原子の核も融ける

かつてあったままに

微かな光り浮かべて  闇に消える



メルトダウン  メルトアウェイ

なんて愛しい響き

群れの絆解(ほど)かれ

私の過去も融ける

かつてあったままに

仄かに光り浮かべて  闇に消える



メルトダウン メルトアウェイ

なんて優しい響き

メルトダウン  メルトアウェイ

なんて愛しい響き

かつてあったままに

微かな光り浮かべて  闇に消える

仄かに光り浮かべて  闇に消える



2007.09.13

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ゴミすくい

白く光る浜辺で

飲み干されたポカリは

私の体すり抜け海に還った

白い空(から)のボトルは

いつか風にはためくヨットのセイル

空(から)になった私は潤うことなく

しぼんで枯れる浜茄子



ポカリもボトルも活かされて

死んで行くのは私だけ

飲まれたものは拾われて

飲んだ私が捨てられる



青く光る山辺で

飲み干されたペプシは

ゲップ一つ響かせ空に還った

青い空(から)の缶は

いつか雲に輝くジェットの翼

空(から)になった私は弾けることなく

しぼんで縮むゴム風船



ペプシも缶も活かされて

死んで行くのは私だけ

飲まれたものは蘇えり

死んで行くのは私だけ



ボトルも缶も蘇えり

空(から)の私がゴミになる

ゴミの私をすくうのは

谷吹く風か夜の波



2007.09.13

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真夏の着せ替え人形

神社の裏の樫の幹

茶色く透けてへばりつく

アブラゼミの脱け殻はがし

こっそり着てみた

だけどガサつくばっかりで

あたしはあたしのまんま

ちっともアブラゼミにはなれなかった

そりゃそうね、まったく

アブラゼミは空の果て

脱ぎ捨てられた殻を着たって

あたしはあたし



澱んだ池に垂れた針

水草と泥が絡まった

ザリガニの脱け殻はずし

こっそり着てみた

だけど生臭いばっかりで

あたしはあたしのまんま

ちっともザリガニにはなれなかった

そりゃそうね、まったく

ザリガニは泥の底

脱ぎ捨てられた殻を着たって

あたしはあたし



蓬覆う畔の際

干からびてなお陽に光る

ヤマカガシの脱け殻拾い

こっそり着てみた

だけど寝そべるばっかりで

あたしはあたしのまんま

ちっともヤマカガシにはなれなかった

そりゃそうね、まったく

ヤマカガシは藪の穴

脱ぎ捨てられた殻を着たって

あたしはあたし



そりゃそうね、まったく

脱け殻は脱け殻

脱ぎ捨てられた殻を着たって

あたしはあたし

そりゃそうさ、まったく

脱け殻は脱け殻

脱ぎ捨てられた殻を着るのは

真夏の着せ替え人形



2007.09.13

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Mari  3   Catch


君が投げたボールを

僕は受けとめるつもりさ

思いきり胸めがけて

ズドンと恋のストライク



君が腕振りかぶり

僕に投げつけたものは

硬い石のつぶてで

ゴツンと頭血まみれさ



僕がいくら強くても

石のつぶては受けられない

それとも僕はそれほどに

鈍感過ぎるのでしょうか?



僕がいくら優しくても

石のつぶては受けられない

それとも僕はそれほどに

敏感過ぎるのでしょうか?



君が投げたボールを

それでも僕は受けとめる

だけど石のつぶてだけは

いくら僕でも ごめんなさい。



君は僕が嫌いなの

それとも僕を試してるの

だけど石のつぶてだけは

いくら僕でも ごめんなさい。



2007.0723

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Mari  2   Dodge


私いつも逃げてた

投げつけられる球から

だけど気付かなかった

誰も私なんかを

狙ってなんて いなかった



私いつも追ってた

こぼれ球の行先

だけど拾う気もなく

かける人の背をみて

小さな影を 踏んでいた



私いつも待ってた

球を受けてくれる子

だけどそれがわからず

誰がそれかわからず

目を閉じ闇に 投げつけた



私いつも逃げてた

だからいつもひとり

私いつも追ってた

なのにいつもひとり

私いつも待ってた

だけどいつもひとり



2007.0723

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Mari  1   Bounce


叩いて  叩いて  叩いて  叩かれ

弾かれ  弾かれ  弾かれ  弾いて

暗い路地裏石畳

きょうもきょうとてまりをつく



叩いて  叩いて  叩いて  叩かれ

弾かれ  弾かれ  弾かれ  弾いて

石の響きと手の痺
(しび)

包み包まれ目を瞑
(つむ)



叩いて  叩いて  叩いて  叩かれ

弾かれ  弾かれ  弾かれ  弾いて

(ひらめ)くほんの気紛(きまぐ)れに

それて転がる石畳



叩いて  叩いて  叩いて  叩かれ

弾かれ  弾かれ  弾かれ  弾いて

まりは光の街に消え

蔭の静寂
(しじま)の昼下がり



2007.0723

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分相応の幸せを

 君への別れを告げるため

 “Good-by”と書きかけて

 Goodの中のGodに気付いた。

 Good - God = 0
(ゼロ)

幸せは神とともにあることか。



 そういえば、「幸」の中の「辛」に気付き

 幸
(さいわい)と辛(つらさ)とを分ける「一」が何かを問うた詩人がいた。

       幸いの中の人知れぬさ辛さ

       そして時に

       辛さを忘れている幸い

       何が満たされて幸いになり

       何が足らなくて辛いのか

                           ―― 吉野  弘

 でも、足らないから辛いとばかりは限らない

      苦しくても夢は追いかけている間が一番楽しい。

 満たされているから幸せだといえるだろうか

       失うことの恐れに縛りつけられる私本来の自由。

 辛さを忘れた幸いなどほしくもない

       痛みを共感できなくなったら、それはすでに人でなし。



 どうせなら、“しあわせ”は皺
(しわ)と汗(あせ)でできていると思いたい。

 掻いた君の汗
(あせ)の分、刻んだ君の皺(しわ)の分、

 君に幸あれ。    然様
(さよう)なら



2007.03.20

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