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2006年の修羅の行列

意味ある日々


  耳を澄ますと君にも微かに聞こえるだろう

  ヒューーン

  宇宙の彼方の暗闇で握り拳ほどの石ころが

  無限の弧を描きつつ真空を切り裂く音だ

  僕はずっと待っている

  重力ばかりになった僕を解き放つため

  誰かの願いを受けた流れ星が

  交差点にたたずむ僕の頭蓋骨に落ちてくることを



  誰かとお喋りの最中君は不意に聞くだろう

  コツリ

  この星のどこかで小指の爪ほどにちびた石ころが

  弧の終着点となる僕の頭に当たる音だ

  君はその時きっと知る

  分けられた僕の肉は新たな役目を担い

  誰かにそれを与えられた分だけ

  形を失った僕に意味が与えられることを



  その日の肉の弾力を保てるように

  僕はテクテク夜道を歩き

  星を見上げて深呼吸する

  それが今日一日分の生きる意味



  その日がやがて来るまでは

  求める君に血を分けよう

  求める君に言葉を分けよう

  それが今日一日分の生きる意味



2006.03.20

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卒業


彼らの卒業式が終わった今日

君はこの学校の最先端に立って

何を見つめているのだろう。



君の前にあるのは

人が決めたわずかばかりのスケジュールと

希望という名の先の見えない不安だけ。



君の卒業式までの三六五日を

君がどんなふうに暮らすのかは

君にだってわからない。



君の卒業式までの一日一日を

君がどう暮らしたいのかは

君だけが知っているはず。



君がそれを知らないなら

君が何から卒業したいのか

君自身に問うべきだろう。



君がそれを卒業した時

そこで君を持っているのは

希望という名の新たな試練かも知れない。



君の卒業式が終わった日

君はこの学校の重力から切り離されて

どこへ漂っていくのだろう。  



2006.03.01

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