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N162 性同一性障害 (TS/TG)  2001年
紹介記事目録
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記事紹介の留意事項




























朝日
2001/10/02
朝刊 27
No .N162a011002m27

神戸学院大学教授


大島俊之
シリーズ・特集; 私の視点
見出し:
性同一性障害  拘置・刑務所の処遇に配慮を
メモ :
タレントのカルーセル麻紀容疑者(本名・平原徹男)が2001年9月18日、コカインなどを所持していたとして、麻薬及び向精神薬取締法などの違反で逮捕された。「性同一性障害」という言葉が日本で生まれるはるか前に、、性転換手術を受けた人として有名であるが、今回、男性として留置されたと聞く。
しかし、手術を受けたのなら女性として処遇しなければいけないと考える。
この機会に、拘置所・刑務所などの施設において、性同一性障害の人々をどのように処遇するか、考えてみたい。これは、収容された人の基本的人権に関する重大な問題である。
(中略)

施設に収容する場合、まず男子用、女子用のどちらにするかという問題がある。個人の尊重を規定した憲法13条により、収容される人の性自認(自分は男か女かという自覚)は、最大限に尊重されなければならない。他方で、施設内の秩序維持にも配慮しなければならない。そこでそこで、次のような基準が考えられる。

男性から女性に移行する人の場合、
@ 手術が完了している場合は、女子施設に収容する。
A 手術を完了していなくても、ホルモン療法などを受けて男性としての生殖能力を喪失している場合は女子施設に収容する。ただし、他の女性収容者のプライバシーに配慮して、ある程度、隔離する。
B 手術を完了しておらず、男性としての生殖能力を保持している場合は、男子施設に収容する。ただし、本人の安全などに配慮して、ある程度、隔離する。
女性から男性へという人の場合も考え方は同様で、手術が完了していなければ女子施設、完了していれば男子施設に収容するのが望ましいだろう。

なお、収容施設を決定する際、戸籍上の性別表記を基準にしてはならない。現状では、性同一性障害者の希望によって戸籍上の改名は比較的、見とめられるようになったが、性別表記の訂正は許可されないことが多いからである。私は、、一定の要件を満たす場合には戸籍訂正を許可すべきだと考えている。

アメリカの連邦刑務所では、男性の場合、手術を完了していれば女子刑務所に、それ以外では男子刑務所に収容している。メーン州で、手術を完了していない男性を、女子刑務所に収容し、同室にされた女性収容者が、プライバシー権の侵害だと当局を訴え、その男性は隔離されたという事例があった。

次に、施設に収容されている間も、女性または男性ホルモンの投与を認めるかどうかという問題がある。私は逮捕直前に処方されていたホルモン療法の継続を認めるべきだと思う。ホルモン剤の服用を中止させる事は性同一性障害者に多大な精神的苦痛を与えることになり、憲法36条で禁止する「残虐な刑罰」に該当すると考えられるからだ。
アメリカでは1994年、連邦刑務所が収容開始直前と同程度のホルモン剤の服用を認めたが、分量、費用などを巡って受刑者が刑務所を訴える裁判が起きている。

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朝日
2001/06/26
夕刊 12
No .N162a010626e12
岡山県



岡山大学医学部付属病院
シリーズ・特集;
見出し:
性別適合手術始まる
メモ :
岡山大医学部付属病院は2001年6月26日午前、自分の性に強い違和感を持つ性同一性障害の女性患者に対する男性への性別適合手術(性転換手術)を始めた。女性から男性への手術は同大では初めて。学内の倫理委員会の承認を経た国内の性別適合手術は9例目となる。

患者は数年間ホルモン療法などを続けてきた。
手術は約4時間掛けて子宮・卵巣の摘出と尿道の延長などをし、半年から1年後に患者自身の皮膚などを使って男性器をつくるという。

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京都
2001/06/12
朝刊 1
No .N162k010612m1





シリーズ・特集;  凡語
見出し:
メモ :
お役所の書類から何気ないアンケートにいたるまで氏名や年齢などとともに男女を問う性別の欄がある。その記載に悩み抜いて暮らしている人達がいる
▼先日、「性同一障害」のため性転換手術を受けた6人が戸籍の姓も同じにしてもらいたい、と東京家裁などに訂正を申し立てた。法律上の性別も変わらない限り日常生活が困難、と訴えた
▼性同一性障害の人は「肉体としての性」と「意識としての性」が一致しない。肉体は男性だが心では女性と認識している。あるいは肉体は女性だが心では男性と認識している。社会の無理解から差別を受けている。
▼解決方法を手術に求めた人達は海外や、国内では闇で手術を受けてきた。日本精神神経学会が治療指針を示し、埼玉医科大が1998年に正式な医療行為として初の手術に踏み切った。その後、岡山大を含めて9人が意識とする性と同じ肉体を得た
▼戸籍は家裁で新しい名前に変えることも可能だ。だが、性別訂正は「社会一般の承認を得ていない」などとして認めていない。戸籍を直接使う場合はもとより、健康保険証などからも性転換は分かる。使用をためらうなど日常生活は損なわれている。
▼国内の性転換手術は海外に比べ遅れてきた。性別訂正も時間の問題だとは思う。ただ、その為に自らをさらして闘わねばならない社会を一日も早く変革しなければならない。

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読売
2001/05/24
夕刊 14
No .N162y010524e14




日本精神神経学会
シリーズ・特集;
見出し:
性転換者の戸籍変更緊急要望へ/精神神経学会
メモ :
生まれながらの性に強い違和感を持ち、別の性になりたいと悩む「性同一性障害」のため性転換手術を受けた患者について、日本精神神経学会は戸籍の性別変更を認めるよう求める異例の緊急要望を、近く法務省や最高裁判所に提出することを決めた。

埼玉医大総合医療センターなどで手術を受けた患者らが、それぞれの住所地の家裁に戸籍の性別変更を求めて行った申し立てを、同学会が側面支援する形だ。

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京都
2001/05/06
朝刊
No .N162k010506m28
埼玉県/川越市



埼玉医科大学
シリーズ・特集;
見出し:
性同一性障害で手術の6人/戸籍訂正申し立てへ/各家裁に「就職、結婚に支障」
メモ :
埼玉医大で性転換手術を受けた当事者6人が2001年5月24日、戸籍の性別の訂正を各地の家裁にいっせいに申し立てることを2001年5月5日までに決めた。
手術で性器が変わり、新しい性で暮し始めても、戸籍の性別が元のままでは就職など日常生活が困難なため。

当事者らは
@ 現状では憲法で保障された幸福追求権を侵害されている。
A 戸籍法は、記載に「錯誤」のある場合は訂正が可能と定めており、性同一性障害は出生時の性別判定に錯誤があったと考えられる
と主張している。

申し立てるのは、埼玉医大で女性から男性への性転換手術を受けた4人と、米国とシンガポールでそれぞれ女性から男性、男性から助成への手術を受けた二人。関東、東北地方在住の20〜40代で、全員が手術後の性別で暮している。

だが、外見上の性別と戸籍の性別が一致しないことから、戸籍を元にした住民票やパスポート、健康保険証などを使う度に疑われ、性同一性障害である事を明らかにせざるを得ない。
このため、就職できなかったり、医療を受けにくかったり。差別や嫌がらせに合うなど深刻な事態に直面している。
さらに、恋人がいても戸籍上は同性のため結婚できないケースが多い。

性同一性障害を理由にした戸籍性別訂正をめぐっては、東京家裁が1980年、米国で性転換手術をした当事者の申し立てを認めたことがあるが、近年は軒並み却下されている。

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京都
2001/04/11
朝刊 15
No .N162k010411m15




日本精神神経学会
シリーズ・特集;
見出し:
学会、治療指針を見直しへ/時間がかかりすぎる…性同一性障害で改善を求める声/ヤミで性転換手術の例も
メモ :
1997年に日本精神神経学会は性同一性障害の治療指針を定めた。それに基づき埼玉医大と岡山大が本格的な治療を開始した。
指針は
@精神科に通いながら、望む性で実際に生活してみる。
A安定した実生活を1年以上送った成人に限り、ホルモン剤を投与する。
Bそれでも不充分な場合、のど仏や乳房の切除、性器の摘出と形成などの手術を行う
と段階的な治療を定めている。

しかし、精神科医の阿部輝夫さんによると、昨年までに性同一性障害と診断した341人の3割が、ホルモン治療など指針から逸脱した治療を受けていた。
指針に準拠しない国内医療機関や海外で性転換手術を住ませた人も28人に上った。

当事者で作る「TSとTGを支える会」が最近実施したアンケートでも
「精神療法の期間が長過ぎる」
「(外見の変化をもたらす)ホルモン療法や乳房の切除なしで、望む性で生活するのは無理。外見さえ整えば、性器の手術までは不要という人もいる」
「対応できる病院が少なく、治療を受けること自体が難しい」などと切実な声が上がった。
特に女性から男性への性転換を目指す当事者の間では、早期に乳房切除を認めてほしいとの要望が強い。

性転換手術の費用は、場合によって300万円を超えるのに、健康保険は適用されず、思春期の当事者へのホルモン療法の是非なども論議を呼んでいる。

日本精神神経学会は、特別委員会を設置し、早急に指針を改定する方針だという。

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京都
2001/02/21
夕刊 4
No .N162k010221e4

高校教員


宮崎留美子
シリーズ・特集;ひと 立ちばなし
見出し:
性別を超え認め合える社会を
メモ :
体の性に違和感を持つ性同一性障害に対し、日本でも性転換手術が実施されるようになったが、別の性で生きたいと願うトランジェンダー(TG)の人々への差別は根強い。
高校教員の宮崎留美子さんは男性として生まれたが、思春期の頃から隠れてスカートをはき、化粧をするようになった。結婚後は妻と話し合った末、週末だけ自宅外で女性に変わっている。
昨年、自分がTGであることをを教え子に告白し半生記「私はトランスジェンダー」を著した。

宮崎さん
「TGは決して変態ではない。障害や病気でもなく、個性だと私は考えています。男らしさや女らしさから自由になって、多様な生き方を認め合える社会をつくりたい」

   管理人:宮崎さんのサイト紹介は162008


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京都
2001/02/09
朝刊 19
No .N162k010209m19




平安名夫妻・伊藤悟
シリーズ・特集;
見出し:
性的少数派/性別より価値観が大切/多様でのびやかな関係/新たな風景/自然体/性別を越えて/難しい線引き/ジェンダーの視点で「シネマ女性学」出版/さまざまな性の構成要素
メモ :
男と女の関係が揺れている。ヒトとヒトとの性的なかかわり合いは、どう変わっていくのか。最近注目を集める性同一性障害や同性愛など性的少数派の生き方からは、男女の性役割に縛られがちな多数派とは違う、多様でのびやかな関係が見えてくる。

自然体/
大阪府堺市に住む平安名祐生(29)さんと恵(28)さんは一見普通の夫婦だが、見た目は男性の祐生さんの戸籍上の性は女、見た目は女性の恵さんの戸籍は男になっている。
性同一性障害を持つ人は、心の性に合わせ、一般の男女以上に男らしさ、女らしさを追求することもある。
しかし、恵さんは体験を踏まえ「自分が100%女だと思っても、周りは認めてくれない。元は男だったことも含めて、ありのまま、自然体でいいんじゃないでしょうか」と話す。
祐生さんも「性は百人百通り、いろいろ選べると思えば楽になる」と発想の転換を勧める。ホルモン療法の副作用など厳しい条件に囲まれているが、二人の暮らしを心から楽しんでいる。

関連図書はこちら

性別を越えて/
関西地方に住む30代の田口香さんは、前夫との離婚協議を重ねていた4年前、友人を通じて20代の「彼女」にであった。同性と恋に落ちたのは始めてだった。ところが、3ヶ月ほどして彼女は性同一性障害と診断され、現在男性として会社で働いている。彼自身「男らしさは追求しない。性役割からは自由でありたいから」と言い切る。田口さんの子どもと会わせ三人の共同生活は家事はそれぞれがやるのがルール。「いっしょに暮らすには、性別より価値観の方が大切だと思う。うちでは今の状態が自然なんですよ。」

難しい線引き/
同性愛者の人権擁護活動を続ける伊藤悟さん(47)は「異性愛者でも同性にひかれることはある。性の在り方は極めて多様で、線引きは難しい」
性的多数派は婚姻届を出し同居して子どもを作るという従来の「結婚の方定式」に束縛されがち。それに対し、制度からはみ出した少数派は「二人の関係をどう築いていくか考えざるを得ない。だからこそ、新しい選択肢を見つけ出す可能性がある」と伊藤さん訴える。

関連図書「同性愛がわかる本」No.B161011

さまざまな性の構成要素/
男女にはっきり二分されるように見える生物学的性も、染色体などが中間的、両性的な半陰陽のヒトがいる。せいは個人によって大きく異なり、必ずしも明確な境界はない。

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朝日
2001/01/31
朝刊 12
No .N162a010131m29-1
岡山



岡山大学医学部
シリーズ・特集;
見出し:
性転換手術無事に終了/岡山大
メモ :
延期されていた手術が無事終了。埼玉医科大学以外でも、こうした例が増えれば何より。TSとTGを支える人々の会では、今後戸籍上の性別変更などの改善を期待している。

埼玉医科大学では1998年10月以降2001年1月までに7例の手術を実施。今回はまだ2施設目。


    管理人:性転換じゃなくて「性別再指定」と新聞が報道するようになる日はいつか?


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