あるがままに・そのままに

—鬱陶しい亭主の場合—

HOME | 200109-200506 | 第66話

第66話 邪悪と真面目は等価である

第66話 邪悪と真面目は等価である
 
 私に限らず得体の知れないメールが無遠慮にやってきて迷惑している人は多かろう。
 「未承諾広告※」なんてのはまだ表題でわかるけれど最近は新手の広告手法が登場したようだ。
 「懸賞のご応募ありがとうございます」なんて表題のメールがやってきた。私は懸賞は決して嫌いではない。何に応募したっけ? と思いながらリンク先をクリックするとそこはまったく身に覚えのないサイト。もちろんそこの懸賞に応募した記憶はない。
 はてさてこれは何だっけかなぁと思いながらつらつらそのサイトを見ちゃった挙句に気が付いたよ。なるほどね。そういうことか。その方面に興味のある人だったらそのままそのサイトのお客さんになっちゃうのかもね。苦情があっても「手前どもの間違いでございました。失礼いたしました」と言えるようにできている。カモがかかればしめたものだし失敗してもヤケドしない。率直に言って大したもんだわ。
 商売に励むことを否定する気はない。お客さんをあの手この手で集める努力には一応の敬意を払うよ。頭もかなり良いらしいよ。人の心理も知ってるし法律も知ってるね。
 でもこれはとってもズルくて邪悪な手法だと思うよ。どうしたもんだろうなぁ。これは。違法じゃないけど邪悪ってのは。頭良いのにズルいってのは。「未承諾広告※」でエロ画像や勃起薬を売ってる人たちの方がまだ順法的だと思うぞ。
 せっかくの良い頭をもっと別な方向で使ってもらいたいと思うのだが一番の問題はどうにもこうにも食って行けなくなっちゃったってことなんだろうな。何が何でもお金を手に入れなきゃいかんとなって頭を振り絞った挙句に邪悪になってしまうってのが悲しいなぁ。
 でもおそらくこれは他人事じゃないだろうね。私も食うに困ったらこれと同じことをやらかしちゃうかも知らんよ。万が一そうなっちゃったらまず未承諾広告から始めようかな。海外の怪しげな業者から怪しげな品物を売ろうというゴミメールは毎日のように届いている。今はゴミだがその気になればそれらのメールはもはやゴミではない。品物に不自由しないぞ。その後は順次手を広げて・・・・!
 だから雇い主様にお願い。
 どうか私をクビにしないでいただきたい。今のまま勤めさせていただきたい。そうすれば私はマジメに勤めますから。スパムメールでメールボックスを一杯にして欲しくなんかないでしょ? だからお願いね。
 

2003/11/17