第51話 望む・悩む・ゲノム
第51話 望む・悩む・ゲノム
ヒトのゲノム配列を解読したとかしないとか。ゲノムってなに? ってことを根本的に理解していないのだがヒトとチンパンジーのそれとがほんの数パーセントしか違わないことが明らかになったそうだ。
ほんの数パーセントしか違わないといっても生き物としての基本仕様はヒトもチンパンジーも同じだろうからゲノムのほとんどは合致していて当然だろう。数パーセントも差があったという方が驚きなんじゃないのかしら。
ゲノム研究は単なる学術的な興味だけで進んでいるわけじゃなくて例えば画期的な新薬開発などの巨万の富につながっているようだから誰にも止めることはできないだろうね。この先どんどん研究が進んでいく一方だろう。
行くところまで行くと理想的なベビーをデザインすることも可能になるそうだ。しかし赤ん坊なんぞもういいやと思う私だったらゲノム研究の何を何に使うかなぁ・・・・今の自分を改造することが可能になるならお金払うかもしれないな。たとえば力は機関車より強く高いビルなどひとっ飛び! ・・・・ってふうに都合よくいくわけないよな。
肉体が肉体である限りどうあがいても限度はある。何もデザインされずに生まれちゃった私としては万病に効くクスリでも出てくれることを望むくらいかな。
私としては人工身体の研究を進めて欲しいもんだな。体にガタがきたら首から下はソニー製にするとかね。重厚なのが欲しい人はカワサキ製とか。ちょっとお金のある人は真っ赤に塗ったフェラーリ製にするとか。お値段しだいでは毎年買い換えてもいいかも。
そうなると問題は首から上か。頭もどんどんボケるだろうから頭も改造しないといかんな。図書館まるごと記憶できちゃうとかね。お値段次第では毎年メモリーを増設してデータを買ってもいいかも。
ハハハ。
ゲノムにせよ何にせよ体にお金をかけはじめたらキリがない。しかもそこまでやって何をしたいのかという問題が最後の最後に残るだろう。最後はその人の哲学なり人生観なりが問われるわけね。
これから怖い世の中がやってくるよ。お金をしこたま貯め込んでおくか。それとも自分の人生観に磨きをかけるか。つくづく考えたほうがいいね。難しいことをあれこれ望むし悩むしというのがヒトとチンパン君との最大の違いだろうからさ。