あるがままに・そのままに

—鬱陶しい亭主の場合—

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第751話 ゾウの像

第751話 ゾウの像
 
 何と言いましょうか。もっとキラキラした気の利いた文章を書きたいのですが。でも気の利いたことがまるで書けない。ろくなことが脳裏に浮かびません。
 それは私の頭の処理能力が足りないからなのか。それとも頭に入る情報が足りないからなのか。いずれにせよ何でも何の制約もなしに思いついて何の制約もなく書けるというものではないことは明らか。どうにもこうにもならない制限がどうしようもなくあります。おそろしく不自由な状態をやりくりしてやっつけ仕事でメシを食っていかざるを得ないのがこの世におけるこの身というものです。
 入ってくる情報しか入ってこない。思いつくことしか思いつかない。できることしかできない。誰もがそうでしょ?
 はてさてこの世とはそもそも何でしょう。限りある感覚器官で得た限りある情報を限りある処理能力で加工して得ているこの世界。それは本当の本物の世界とは大きく違う何かだろうと思うには思うのですが。でもそのように思うことそのものにも何かしらのバイアスがかかっているかもしれないので結局の所はそもそも正解とは何かという根本的なことさえわからないのです。
 仏教の喩えにありますが。目の見えない人たちがお鼻の長いあの大きなゾウさんに触って。そしてそれぞれがその感触から想像したゾウさんの姿を口々に述べるというもの。我らが得ている世界とはあたかもゾウ(の一部)を触って得たような別の何かなのではないですか。
 我らはどう頑張っても正確なゾウの像を言い当てられないのです……うん。うまい!
 ゾウの像! わーいわーい。気の利いた文章を書いてやったぞ。わーいわーい。
 なんてね。やれやれ。
 

2015/02/10

ついでに一言
 
 あえて書けばこの世は本物の世界を本体として映し出された影絵のようなもの。ならば影絵がどう頑張っても本体に手を出せないとも思いますけどね。
 


おまけにもう一言
 
 でも本物を知らなければならないと思っているのですよ。私は。