あるがままに・そのままに

—鬱陶しい亭主の場合—

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第743話 金ピカのクソジジイ

第743話 金ピカのクソジジイ
 
 父が亡くなって以来進めてきた相続手続きもほぼ終わり。次のステップは父の代で積み上がった負債の整理です。父が残した借財ですから父が残した不動産を売って払おうと。そう考えて懇意にしている不動産会社にお願いしているのですが良い買い手がなかなか現れません。しかたがないので二の矢三の矢を準備中です。
 生前の父がしばしば口にしていたセリフがありました。負債が多ければ多いほど相続税は軽くなる。相続税が軽くなれば税を払うために資産を手放すことはない。だからオレはオマエたちのために借金をしているのだ。ありがたく思うようにと。これは耳にタコができるほど聞かされたことでして。私もそんなものかと父の保証人になっていました。
 しかし現実はどうでしょう。なるほど負債は相続税を減らします。ウソではありません。ただし相続税制だけに話を限るならばですけど。父が思い描いていた相続対策はとっくのとうに破綻していたのでした。
 問題は負債が相続対策として適当な範囲を大きく超えていることです。借りたものは返す。これが世間の常識です。税の支払いのためにではなく借金の返済に苦慮して相続した不動産を売ろうというのです。これでは相続対策もへったくれもありゃしません。調べてみるとこれは相続対策失敗の典型例であるようです。
 父がやらかしたことについて思うことは多々あります。でもそれはそれ。今は私の負債です。不動産がすぐには売れないのであれば次の手を打つまで。近々銀行と交渉です。それがうまく進めば相続対策の失敗はなかったことにできるでしょう。
 あの手この手の悪あがき。組織の歯車もお気楽でよろしゅうございますが独りで勝手放題にやれる自営業も案外悪くはないものだなと。イヤミで脂ぎった金ピカのクソジジイを目指して頑張る所存です。
 

2014/09/05

ついでに一言
 
 あの世まで債権者は追いかけてこない。あの世に負債は持って行けない。死とはまことに結構なことですね。
 
 


おまけにもう一言
 
 生きている者は人事を尽くして天命を待つのみ。それでいいのです。これで父も成仏できるでしょう。