あるがままに・そのままに

—鬱陶しい亭主の場合—

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第742話 あるけれどないもの

第742話 あるけれどないもの
 
 毎日毎日目先のことに追い立てられてヒイヒイ言いながらフと思うのです。この世には人知を超えた巨大な何かがあるのだと。
 でも。その何かとはあまりに人知からかけ離れているものですから。それは人の認識力では捉えられないものですから人にとってそれはこの世に存在しないのと同じことです。それは「あるけれどないもの」なのです。
 だから人はその何かに気づくことなく気にすることもなく己一人の内に沸き上がる他愛のないものを頼りにして夜郎自大に振る舞うばかりなのだろうなと。残念ながら人とはそういうものです。
 「人とは」と書いていますが私のことです。高いものが見えているようでいて実は何も見えていません。「あるけれどない」なのです。夜郎自大は皆同じことです。
 誰も彼もが夜郎自大。身体障害者用駐車場にシャアシャアと停めた物置小屋に車輪がついたような車から周囲を威嚇するような目つきで降りてくる寝間着のような服を着た金髪の一家。彼ら彼女らと私とで存在のあり方に何の違いもありません。
 そして上のようなことをいくら書いたからといって何かがどうにかなるものでもありません。何も変わりはしません。どんなに偉大なものがこの世にあろうともこの身にとってはないのと同じなのですから。あるけれどないもの。どうにもなりません。地を這いながら空を見上げてみるばかりです。それは空の彼方のものではなくこの身の回りに満ちているかもしれないのに。
 

2014/08/19

ついでに一言
 
 もちろん目先のことはとても大事ですよ。それをしなければご飯を食べられませんから。
 
 


おまけにもう一言
 
 でも目先のことばかりでは心が枯れますので。