あるがままに・そのままに

—鬱陶しい亭主の場合—

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第739話 バカじゃなかろうかと

第739話 バカじゃなかろうかと
 
 バカじゃなかろうかと。そう思うのですが最近のマイブーム。それはボールペンでのペン習字。暇さえあれば字を書いています。
 文字通り六十の手習いです。まだ60歳まで何年かありますけど。そう思いつつ「六十の手習い」を調べてみると「学ぼうとするのに年は関係ない」「何歳からでも学べる」というポジティブな意味でした。年をとってからでは遅いよという程度の意味かと思っていたのですから大きな誤解をしていました。
 自慢じゃないですが字は下手ですよ。私は。我が事ながら怖じ気づくような悪筆でして。OA化によるペーパーレス化はすなわち手書きレス化ですが。ワードプロセッサが現れたときはこれで手書きから解放されるとたいそう嬉しかったものです。それが今ではせっせと手書きしているのですから変われば変わるものです。
 今のところ字はまるで上達していません。でもお習字の成果は間違いなくありますよ。文字ピッチ・行ピッチが見事に安定してきましたもの。文字の並びだけは見違えるように整ってきました。なるほど努力は予期せぬところから成果をもたらすものであるなぁと。妙に感心しているところです。
 それともう一つ。ペンごとに書き味がずいぶん違うことを感じ取れるようになりまして。油性にせよ水性にせよゲルにせよ。銘柄ごとに固い・柔らかい・渋い・滑らかなどの違いがあるのがわかります。
 で。ここからが本題。
 実はそういう微妙なところで上達したり感触が鋭敏になったりするとその後は蟻地獄なんですよね。たかがボールペンではないのです。書ければよいのではないのです。たとえばカメラのファインダーです。その見え味の微妙な違いがわかるようになるのと同じです。それで何が始まるかというと……書かなくてもわかりますよね。
 そんなわけで今はボールペンをいろいろ買い集めてとっかえひっかえ試しているところです。そして試し書きして放ってあるボールペンがたくさん。全部のインクを使い切るまで使うには数年かかります。現状の勢いを維持しても3年はかかるでしょうね。
 3年だと? その間にインクが劣化して書き味が落ちてしまうじゃないかと。まったくもったいないことをしているよなと。バカじゃなかろうかと。
 でもまあこの先数年お習字を続けるのなら。そうならば今は粗末な文字であっても少しは洗練されるのではなかろうかと。そうなるなら今買い込んでいるボールペンはまったく無駄ではなかろうと。
 ――そんなふうに自分の愚行を合理化しようとしてこんな文章を書いてみせる哀れな亭主でございます。
 ――というふうに合理化をしてみせようとして実際にしてみせてその挙げ句に自虐ネタに仕立ててみせる。そんな持って回ったことをするところがオイラの心底バカなところだろうなと。そんなふうに思う醒めた亭主でございます(これもまた臭い文章ですけどね。)。
 

2014/07/23

ついでに一言
 
 古いタイプの油性ボールペンなら10年くらい放置しておいても問題ないですけど。最近の低粘度タイプのインクを使ったものはどうなんでしょうか。
 


おまけにもう一言
 
 楽しいものですよ。六十の手習いは。これが生涯学習ってやつですかしら。